投資マンション基礎知識
マンション経営のメリット・デメリット!
知っておきたい成功のコツ!
マンション経営には、それぞれ9つのメリットとデメリットがあります。経営の仕組みについて理解したうえで、こうしたメリットとデメリットをしっかりと検討・評価して判断することが、成功への鍵となります。経営がうまくいかなくなったときの対処方法についても解説しますので、ぜひご確認ください!
目次
マンション経営の仕組みについて
マンション経営とは、ごく簡単に言えば購入した物件(マンション)を第三者に貸し出す事業です。入居者からの家賃や売却時の利益が収入となり、管理会社等へ委託する際に発生する管理費用やローン、固定資産税等が費用として発生します。
今回のコラムでは、分譲マンションの1室を購入するケースを前提としてご説明します。
マンション経営の収支はトータルで考える
マンション経営では、短期間での収支にとらわれることなく、大きな視点で利益が出せるかどうかを見極めることが大切です。ここでは、マンション経営で得られる利益をキャピタルゲインとインカムゲインに分けて考えてみましょう。一方がマイナスだったとしても、もう一方でそれを上回る利益を出すことができれば、トータルでは利益が出ていることになります。
インカムゲイン
インカムゲインとは、継続的に受け取ることのできる収益を指します。マンション経営においては、家賃や更新料による収入がこれにあたります。
キャピタルゲイン
キャピタルゲインとは、保有していた資産の売却により得られる売却益を指します。マンション経営においては、不動産の売買により得られる利益がキャピタルゲインです。
発生する経費
一方、費用としては先ほどご説明した管理費用のほかに、修繕積立金も発生します。また、税金としては固定資産税と都市計画税がかかります。入居者が新たに入る際には、不動産会社に仲介手数料を支払う必要もありますし、お部屋のリフォームや設備交換の費用なども予定しておかなければなりません。ローンの支払いに関連する金利や保証料、売却時の譲渡所得税なども気をつけておきたいところです。
マンション経営のメリット
レバレッジ効果
「レバレッジ効果」とは、少ない自己資金で大きな利益を得ることを言います。マンション経営では、不動産投資ローンで物件を購入できるため、当初の投資資金だけでは得られない大きな利益を得られる可能性が広がるのです。
生命保険の代わりになる
住宅ローンや不動産投資ローンを組む際には、セットで団体信用生命保険に加入することになります。ローン返済中に万が一契約者が死亡したり高度障害を負ったりした場合には、この保険でローン残高を返済することができるというものです。生命保険と同等の効果が得られると考えることもできますね。
不労所得で資産形成できる
物件の管理業務を委託すれば、オーナーは手間や時間を最低限に抑えつつ、コンスタントに収入を得ることができます。労働はほぼ不要で、資産形成ができるのは大きなメリットです。手間がかからないので、副業として始める方が増えています。
老後の年金の足しや相続対策になる
退職後にも一定の収入が安定して得られることから、年金へのプラスアルファとして考えることができます。平均寿命が伸びており、年金だけでは不安がある方が多いです。
また、相続をする場合には、現金の相続よりも評価額が安くなるため、節税効果も見込めます。
投資用マンションの相続税について 相続税対策するか売るべきか?
価格変動がゆるやかである
株式など、他の資産運用の手段は経済情勢に応じて急激な価格変動のリスクがありますが、現物資産である不動産は、これと比較すると価格変動がゆるやかである点がメリットです。
他の投資相場と相関関係もありますので、値動きを確認してから、不動産投資の判断をすることもできます。
流動性が高い
一般に不動産は流動性が低いと言われますが、投資用物件は利回りが重視されるため、適正な値付けをすれば、買い手が見つからないというリスクもかなり抑えることができます。
投資物件の購入者は、実需マンションと違い、駅や市区町村の指定をする方は少なく、金額と利回りの条件に当てはまればすぐに取引が成立します。
インフレ対策
実在する不動産に投資する不動産投資は、経済情勢の影響を受けやすい株式投資やFX等と比較して価格の暴落リスクが少なく、インフレに強い投資であると言えます。
物件購入直後から家賃収入が得られる
オーナーチェンジ物件を購入すれば、すでに入居者がいる状態で物件を入手できるため、購入直後から家賃収入を得ることができます。収支シミュレーションも立てやすいので安定した運営がスタートできます。
節税に有利である
不動産投資事業では、経費として計上できる項目が多数あるため、一般的に他の投資よりも節税効果が高いと言われます。また、仮に不動産投資で赤字が発生した場合にも給与所得などと損益通算が可能で、赤字と黒字を相殺できるため、節税につながります。
ワンルームマンション投資は節税になる? 節税の仕組みや注意点を解説
マンション経営のデメリット
適正価格が分かりづらい
売買や賃貸では適正な価格を設定することが成功への鍵となりますが、取引金額の相場が分かりづらいという声も多く聞かれます。物件サイトなどをこまめにチェックし、定期的に不動産会社に相談することでプロのアドバイスを受けると良いでしょう。
金利上昇による返済増加
変動金利の場合は、金利が上昇すれば月々の返済額が大きくなってしまいます。余剰資金を確保し、一部繰上返済を活用するなどして手を打ちましょう。
災害リスク
地震・水害・火災といった災害はいつ起こるか予測することは非常に難しいものですが、万が一これらが発生して物件に損害が出た場合、資産価値が目減りするリスクもあります。
想定外の内装費用
オーナーチェンジで物件を購入する場合は、部屋のなかを確認することができず、内装費用を正確に見積もることが困難です。入居者の使い方が悪いと室内のダメージがひどくなり、想定以上に内装に手を入れなければならない、ということもあります。
入居者トラブル対応
設備の故障や家賃滞納から騒音などのクレームまで、入居者に関連するトラブルは多岐にわたり、ノウハウがなければ手間も時間もかかります。迅速かつ円滑に対応を進めるために、専門の賃貸管理会社への委託も検討すると良いでしょう。
物件の老朽化による家賃下落・空室期間の長期化
物件が老朽化すれば、他の物件と比較して競争力がなくなり、家賃の下落を招きます。売却時の価格も、やはり新しい物件に比べると不利でしょう。また、家賃を維持するにはリフォームや設備交換などを適宜行う必要もあり、これらの費用も見込まなければなりません。
住宅ローンが組みづらい
自宅を購入しようとするときに、投資用マンションのためのローンがあることで融資限度額などの影響が生じる場合があります。投資用マンションを購入する際には、自宅の購入を含めた将来のライフプランを決めておくことが大切です。
管理組合の活動が低調になりやすい
投資用物件の場合、オーナー自身がマンションに住んでいないため、管理組合に積極的に参加しようというモチベーションがなかなか湧きません。しかし、オーナーの管理組合への関心が低いと、管理会社のなかには管理業務をおざなりにするところも現れかねません。
物件の管理業務がストレスになる
入退室の手続きや確定申告など、投資用マンションの経営にあたってはさまざまなタスクが発生します。また、収支がマイナスになるなど、経営がうまくいかない時期が訪れることもあります。こうした場合に、オーナーのストレスが大きくなってしまうかもしれません。
マンション経営を成功させるコツ
不動産投資の知識を強化する
マンション経営も他の多くの事業と同じく、しっかりとした学びを基礎にスタートすることが、成功へとつながります。知識や経験、ノウハウが多ければ多いほど、適切な判断が下せるようになります。地道な学びを重ねることで、堅実な経営を行いましょう。
投資のタイミングの判断は慎重に
市場の相場が安い時に購入し、高いときに売却するのが当然のことながら理想です。投資の時点で、確実に利益が見込めるかどうか、慎重に判断しましょう。
新築マンションより中古マンション
新築マンションにもメリットはありますが、中古の物件の方が価格の下がり方はゆるやかで、一般的には利回りも高くなる傾向にあります。
立地を選ぶ
好立地の物件は、高い資産価値を維持することができます。都心に近く、今後も世帯数の増加が見込めるエリアなら、賃料が下がるリスクも低くなります。
ワンルームマンションの方が利回りがいい
物件の広さが2倍になったからと言って、家賃も2倍になることは基本的にはありません。利回りを考えると、ファミリータイプよりもワンルームマンションの方が有利だと考えてよいでしょう。
ワンルームマンション投資は失敗して赤字になる!?危険なのは本当か?
購入時のシミュレーションの精度を高める
経営に行き詰まってしまうケースでは、購入時の想定が甘いことがほとんどです。売却時の価格や家賃、管理費、修繕積立金、空室率、内装費用、設備交換費用などは、厳しい条件を設定してシミュレーションを行い、あらゆる事態に備えるようにしましょう。特に、収支に大きな影響がある、家賃の値下がりや、管理費の値上がりは想定しておきましょう。
余剰資金の確保
どれほど慎重に経営を進めていても、想定外の事態が起こるリスクは残ります。繰上返済などを利用して、早めにローンを返済していくのが理想的です。そのための余剰資金をできる限り確保しましょう。空室期間が長引いたとしても、資金にゆとりがあれば慌てずにすみます。
良い不動産会社を選ぶ
売買や賃貸管理を依頼する不動産会社のクオリティは、経営に大きな影響を及ぼします。パートナーとして信頼できる会社・担当者を探しましょう。
建物の管理状況をチェックする
建物の維持管理が適切に行われていなければ、資産価値が大きく変わってしまいます。しっかりと現地で確認することが大切です。総会の議事録などもチェックをして今までの修繕履歴も確認をしてください。
購入時から出口戦略を意識する
購入の段階で、いつ頃にいくらで売却をするのかという出口戦略を立てておくことも必要です。物件は老朽化し、資産価値の低下は避けられません。長期的なプランを持って経営しましょう。
マンション経営でリスクを察知したら早期売却がおすすめ
マンション投資は、購入の時点である程度は成功か失敗かが決まってしまうものです。購入後の挽回には、大変な労力と資金が必要です。早期に売却をすることで、損失の拡大を防ぐという判断を行うことも大切です。特に、キャッシュフローがマイナスになっている場合は注意しましょう。投資の早期にマイナスになっていると、ローン完済まで損失が拡大していきます。リターンが得られないばかりか、負担ばかりが増える結果になってしまいます。
あなたのマンション・アパートの価格が分かる
コラム監修
伊藤幸弘
資格
宅地建物取引主任者・賃貸不動産経営管理士・FP技能士・公認 不動産コンサルティングマスター・投資不動産取引士・競売不動産取扱主任者・日本不動産仲裁機構ADR調停人
書籍
『投資ワンルームマンションをはじめて売却する方に必ず読んでほしい成功法則』
『マンション投資IQアップの法則 ~なんとなく投資用マンションを所有している君へ~』
プロフィール
2002年から中古投資マンションを専門に取引を行う。
2014年より株式会社TOCHU(とうちゅう)を設立し現在にいたる。