投資マンション失敗
ワンルームマンション投資は失敗して危険?赤字になるのは本当!?
このコラムでは、ワンルームマンションを投資する上で必ず知ってほしい、失敗してしまう7つの原因を紹介します。
どうすれば投資に成功することができるのか?失敗した時の対処法についても解説します。
目次
ワンルームマンション投資の仕組み
マンションの一部屋を購入して、一部屋ごとに賃貸し、家賃を入居者から受け取ります。その際、所有するマンション管理のために入居者との間に賃貸管理会社を入れる、サブリース契約にするケースも一般的です。
建物全体は管理会社に月額の管理費を支払い、維持管理を委託します。マンションの経年劣化などによりメンテナンスが必要になれば、管理組合により総会を開き修繕をおこないます。
維持管理に手間がかからず、投資の初心者にオススメです。
ワンルームマンション投資の収入
一室だけを所有するワンルームマンション投資における収入源は、家賃、更新料、礼金の3つです。しかし、サブリース契約の場合、更新料と礼金はサブリース会社に通常支払われます。
賃料
所有しているマンションの入居者から支払われる賃貸料です。ワンルームマンション投資の主な収入源で、入居者がいる限り安定した収入が入ってきます。
更新料
マンションの賃貸契約には、契約期間が設定されています。その契約を更新する場合、手数料として家賃とは別に更新料が発生します。更新料の相場額は家賃の1〜2ヶ月分です。
一般的に2年毎に更新料は支払われますが、地域や物件によって更新料の有無や金額は変わります。
礼金
賃貸契約を結んだ際に、入居者からお礼として支払われます。礼金の相場額も家賃の1〜2ヶ月分です。
敷金も同じタイミングで支払われますが、家賃滞納の補填や退去の際の修理費に当てられ、残った金額は返還するので収入に含まれません。
ワンルームマンション投資の支出
マンション経営を続けていくと、その管理や維持費用が必要です。その他にも税金や保険料など、支出は多岐にわたります。
管理費・修繕積立金
管理費・修繕積立金は、バルコニーなどの共有部分の管理維持費用や、建物の経年劣化により必要になる大規模修繕のために積み立てるお金です。
ローン返済額
ワンルームマンションを購入する際に、高額な出費のため金融機関から融資を受ける方が多いでしょう。利息も含めて毎月のローン返済も支出になります。
賃貸管理手数料
所有するマンションの管理を委託する場合には、マンション管理に対しての手数料を管理会社に支払います。
固定資産税・都市計画税
マンション所有者が毎年支払う税金です。年4回に分けて支払います。
リフォーム・設備交換費用
入居者の退去にともなう原状回復作業や部屋のリフォーム、またリノベーション時にかかる費用です。
火災保険料
万が一の火災などの災害に備えるために保険の加入も必須です。割引率が高くなるので、長期契約を結ぶのが一般的です。
ワンルームマンション投資が失敗する原因
サラリーマンにとっても手頃な金額からはじめられ、銀行からの融資も比較的受けやすいため、ワンルームマンション投資は人気ですが、失敗することも少なくありません。失敗している原因を分析すると、いくつか共通点が見えてきます。
新築ワンルームマンションを購入
そもそも中古相場と比べて高い新築物件。購入した次の日に売却した場合でも、すでに70%程度の価格になってしまいます。
新築物件の値下がりが早い原因は、デベロッパーの建築コスト・販売コストが上乗せされ割高になってしまうためです。初期費用が高くなってしまう結果、値下がり額が大きい新築物件は売る時に大きな赤字になります。
築年数による価格推移は下記のコラムを確認ください。
ワンルームマンションの築年数による価格の変化グラフ(2021年成約データ)
賃料が値下げになる
築年数が古くなるにつれて家賃は低下します。最初の価格設定のままでは維持できません。新築時と比較して10年で10%ほど下がることも。家賃が下がる前提でキャッシュフローを計算しないと、値下がりにより収支が赤字に転落します。
空室が長期化する
満室想定で購入すると、空室の際にローン返済を自己資金で賄わなければいけません。また、賃貸付けに苦戦をする競争力のない物件(郊外・古い・駅遠い)は空室期間が長くなりがちです。いくら利回りが良くても、空室では一切収入がありません。
管理費・修繕積立金が上がる
築年数の経過にともなう経年劣化は不可避で、管理費や修繕費の値上がりも避けては通れません。マンションが売りに出される段階では、分譲時に販売がしやすいように管理費や修繕費は低く設定されています。
たいていの投資マンションは新築時に修繕積立金を安くして、毎月の収支を良く見せて販売しやすくしているケースが多く見受けられます。
それに加えて、販売後に必要な積立金を集めるために修繕積立金の値上げが行われます。特に大規模修繕工事のタイミングに合わせて値上げの決議を取ることが多いでしょう。
相場のタイミングを逃す
下がった時に購入し、上がった時に売却するのが理想的です。売買のタイミングは非常に重要で、自身や業者の都合で決めてはいけません。10〜15年で相場は動いていますので、適切な取引時期を逃さないように注意しましょう。
節税効果が続かない
1年目は諸経費が多く計上できるので節税になり還付が受けられますが、2年目以降は納税額が増える方が大半です。そもそも不動産投資がマイナス収支になってはじめて節税効果があることを忘れてはいけません。
修繕費用が想定されていない
平均して3年に1回は想定される入居者の入退出時の修繕費用も見過ごせない点です。入居者が変わるたびにリフォームや仲介手数料で追加の費用がかかります。
また場合によっては、エアコン・ガス給湯器など交換が必要です。さらに40年近く経過したマンションは、水回りキッチン、ユニットバスなどの交換費用も発生します。
立地が悪い物件を購入した
高い利回りだけを基準に安い物件を、立地の悪い郊外に購入してしまうと、空室率が高くなったり、売却できなくなったりして失敗します。立地が悪いと流通性が低いので安い価格でしか売れなくなります。
内装等を必要以上に節約する
入居者が退去後は、なるべく費用は押さえたいですが、必要な内装や設備交換について節約すると、次の入居者が決まらないことになります。大家業はサービス業と言う認識を持ちましょう。少しでも汚れや古さを感じさせるものは悪影響が出る前に交換してください。
低水準な管理業者に依頼
ワンルーム投資は管理委託している不動産会社に投資しているのと同じです。満足な管理サービスがされない場合は失敗する確率が高くなります。賃貸募集や内装などについて具体的な提案がない場合は変更をしましょう。長期で管理を委託するので慎重に選定してください。
ワンルームマンション投資が成功するコツ
ワンルームマンション投資には、当然失敗のリスクがあります。しかし、あらかじめ発生するリスクを視野に入れて行動すれば、投資の失敗を防ぎ、利益化は可能です。
適時に適切価格で購入する
不動産市況が下がった底値で購入。適正な価格でなるべく安く購入するのがポイントです。そのためには、物件サイトなどで日頃からよく比較して相場観を養いましょう。
業者から転売で購入すると、相場よりも2割ほど高く購入してしまうので要注意です。
立地を選ぶ
一般的に築年数が古くなると建物価格は下がっていきます。しかし、好立地の物件を購入すれば、経年でも値下がりしません。建設用地がなければ希少価値が生まれます。都心で世帯数が増えているエリアがオススメです。
中古を購入する
中古物件は購入時の初期費用が安く、投資額を少なくできます。新築物件に比べて価格が下がりづらいので利益を生みやすいでしょう。
自己資金に余裕を持つ
収支が悪化したら、繰り上げ返済してキャッシュフローを改善できます。急な出費にも対応できるので、安定した投資の判断が可能になります。
良い不動産会社を選ぶ
賃貸も、売買も、適切なアドバイスができる専門家と付き合うことは大事なポイントです。今までに扱った案件数が多く、経験も豊富なワンルームマンション専門業者がオススメです。
ワンルームマンション投資は危険!失敗事例
ワンルームマンション投資の失敗を未然に防ぐために、実際の失敗事例を知ることも重要です。過去の事例から学んでいきましょう。
【事例1】 サブリースの裏切り
サブリース契約をして2年後の値下げにより、マイナス収支に転落した事例。
サブリース契約当初は、相場8万円のところを9万円で家賃保証という契約でした。しかし2年後に、突然7万円の値下げ提案を受けてしまいました。値下げ交渉の際に、嫌であれば8万円で集金代行にすると言われ、泣く泣く承認することに。その時すでに1年間で3軒物件を購入しローンの枠がなくなっていたので、付き合いを斬られたと感じました。
当時の担当者は退職していて一切連絡がつかず、訴えることもできません。結局、保証された家賃が値下がったまま返済を続けることになってしまいました。最初の契約条件を反古にされて騙されたと思っています。
【事例2】 処分できず負担が続く
投資マンションの収支が悪化して売却を考えましたが、ローン残債が売却価格を大きく上回り、抵当権が抹消できなくなりました。売買価格で足りない返済不足部分の自己資金も用意できず、売りたくても売ることができません。
新築購入5年後に査定をしたら、その時点で購入価格の65%まで価格も下落。値下がりのスピードが大きいため、しばらく残債を圧縮していくしかありません。
毎月のローン返済が収入を圧迫しているので、生活も苦しいのが現状です。そのため、任意売却も検討しなければと思っています。
購入時に売却まで視野に入れておらず、安易な購入だと後悔ばかりです。いつまでこの状態が続くのか、頭を悩ます日々が続いています。
【事例3】 利回りだけで購入した
販売会社の勧めで、郊外の築30年の高利回りの中古物件を購入しました。家賃も高く、大きなプラス収支になる予定でした。
しかし、購入後すぐに入居者が退去に。その退室にともなう内装の修繕費用が、なんと100万円近くかかることが判明。その入居者が長く使用し、更新していたので、ガス給湯、エアコン、フローリング床などが老朽化していたからでした。
しかも、空いた部屋を賃貸募集するも、次の入居者がなかなか決まらず、長期空室でローン返済の負担は増えるばかり。今後も水回りキッチンやユニットバス等の交換が想定され、追加で100万円から200万円の費用が必要になると宣言されています。
利回りが良いと言われ買ったのは嘘では無いのですが、これほど出費がかかるとは正直勉強不足でした。できることならば購入時に戻りキャンセルしたいです。
ワンルームマンション投資に失敗した時の対処法
投資には失敗が付きものですが、ワンルームマンション投資も同様です。しかし、正しい知識や対処法を知っておくことで損害の発生を未然に防ぎ、被害が避けられない場合も損失を最小限に留められるでしょう。
早期売却
素早い損切りにより、ローン完済まで所有するよりも負担を少なくできます。損失を拡大させないようにリスク管理する判断力も重要です。
収支を改善する
収入と支出のやり繰りを調整して、キャッシュフローをプラスにすることが大切です。
支出を抑える
ローンの繰り上げ返済や借り換えをして月額の返済額を抑える、賃貸管理を自身でおこない管理手数料を節約することも効果的です。
ワンルームマンションの賃貸管理は変更できる!? 管理会社の変更の手続きや注意点について
収入を増やす
利回りが良く、キャッシュフローがプラスになる物件を追加購入することで、トータルの収支改善を図れます。
保有し債務圧縮を待つ
ローン残債と売却額の価格差が大きすぎる場合、今すぐ売却できません。その際は債務が少なくなり、相場の価格と折り合いがつくタイミングまで待つしかありません。
まとまった資金が用意できたら繰り上げ返済をして、早期にローンを減らし収支改善を図り売却できるタイミングを待ちましょう。
債務整理
信用が失われるのでお勧めできませんが、最低限の生活にも支障がでる状況ならば検討してもいいと思います。その際は自己破産・任意売却など、法律の専門家に依頼をして処分を進めていきます。
不動産投資の失敗で自己破産の危機。破産しないために必要な対応とは
ワンルームマンション投資は、物件を購入する前では見えづらかった支出やリスクを想定して収支を計算しておかないと、思わぬ出費のために失敗してしまうことも。しかし、正しい知識と対処法を持っていれば収益化も夢ではありません。
もし、賃貸運営や売却に悩んだ場合は、専門知識のある不動産会社に相談してください。
ワンルームマンションの売却に関してはこちらで詳しく紹介しています。
あなたのマンション・アパートの価格が分かる
コラム監修
伊藤幸弘
資格
宅地建物取引主任者・賃貸不動産経営管理士・FP技能士・公認 不動産コンサルティングマスター・投資不動産取引士・競売不動産取扱主任者・日本不動産仲裁機構ADR調停人
書籍
『投資ワンルームマンションをはじめて売却する方に必ず読んでほしい成功法則』
プロフィール
2002年から中古投資マンションを専門に取引を行う。
2014年より株式会社TOCHU(とうちゅう)を設立し現在にいたる。