投資マンション賃貸
賃貸管理会社は変更できる!?
知っておきたい変更の手続きや注意点
不動産投資で不可欠なのが、賃貸管理を依頼する不動産会社の存在です。
しかし、管理会社の業務品質が、求めていた水準に満たないこともあります。
「賃貸管理を変更したいけど、スムーズに進められるか不安」といったお悩みをお持ちのオーナー様に向けて、今回は賃貸管理会社の変更について『変更のきっかけ』、『手続きの流れ』、『注意すべきポイント』などを解説します。
目次
賃貸管理会社は変更できる
賃貸管理を依頼している不動産会社にはいろいろ不満があるけれど、変更することはできないはずだ。
そう考えて対処を諦めてしまう方も多いのですが、決してそんなことはありません。
管理会社には、「建物の共用部を管理する管理会社」と「部屋の中を管理する専有部の管理会社」があります。
前者の変更には管理組合での承認が必要となりますが、後者についてはオーナーの裁量のもとに変更できます。
賃貸管理の変更、と聞くとハードルが高そうな印象を受けるかもしれませんが、正しいステップを踏めば、トラブル回避は可能です。
業務品質の優れた管理会社に管理をお願いすることで、経営にあたってのストレスを軽減できるだけではなく、家賃収入の確保・安定といったメリットも期待できます。
賃貸管理は3種類ある
まずは、賃貸管理の種類を確認していきましょう。
対応する業務の範囲や費用がそれぞれ異なります。
集金代行
オーナーに代わって、入居者からの家賃収入の回収を行います。
また、入居者の募集、滞納催促、クレーム対応、設備交換、退去立会いなどにも対応します。
一般的に、家賃の3~5%の集金代行手数料がかかります。
サブリース(家賃保証)
管理会社が部屋をオーナーから借上げ、第三者に又貸しすることを言います。
入居者の選定や家賃についても、すべてサブリース会社が決定します。
手数料は、集金代行よりも高い設定であるのが一般的です。
賃貸仲介
入居者の募集、契約、更新、退室、リフォームなどの際に、都度費用を払って対応を依頼します。
日常的なの賃貸管理業務はオーナー自身が対応し、入居者と直接やりとりを行います。
賃貸管理会社の種類
続いて、賃貸管理業務を行う会社にどのような種類があるか確認しましょう。
デベロッパーなどの販売会社
新築デベロッパーなど、投資用不動産の販売を行う会社が、賃貸管理業務も手がけるタイプです。
こうした会社は販売事業が主力になることも多く、グループ会社などの別会社が賃貸管理業務に対応する場合もあります。
大手流通不動産
全国に展開する大手不動産会社です。
スケールメリットを活かした安定性が大きな強みと言えるでしょう。
地場不動産
街の不動産会社が賃貸管理業務に対応するパターンです。
社員数や規模はさまざまですが、地域に密着したきめ細やかな対応力が大きな魅力です。
賃貸管理の専門会社
賃貸管理と募集を専門で扱う会社で、管理戸数実績の高さが魅力です。
専門会社ならではの豊富なノウハウがあり、迅速かつ一定以上の品質のサービスを期待できます。
賃貸管理会社が変更になる5つの理由
物件の購入時の約束が守られない
家賃は下がらないという話だったのに、購入の数年後には家賃値下げの交渉を持ちかけられる、
購入時に提示されたシミュレーションがずさんだったために赤字が長期化するといったトラブルは、残念ながらしばしば見られます。
このような事態がたびたび生じ、信頼関係が破綻したことが不満で、管理会社の変更につながるという事例は数多くあります。
対応品質に不満がある
「ホウ・レン・ソウ(報告・連絡・相談)」をしっかり行わない会社は、オーナーとトラブルになるリスクも高い傾向にあります。
退去通知などの重要な連絡が遅い、入居者募集の進捗報告がない、といった事例だけでなく、見積も取らずに工事を進めている場合など、深刻なトラブルにつながる可能性もあるのです。
まずは担当者の変更を依頼することをおすすめしますが、それでも改善しない場合は、変更を検討すべきかもしれません。
空室期間が長い
入居者を募集してから数か月が経っても空室のままで、管理会社から積極的な活動や提案もない……こうした事態が続くようでは、収支は悪化する一方です。
管理費用に見合うだけの営業活動を展開しているか、まず確認してみましょう。
コストメリットが出ない
管理会社に支払う手数料等も確認すべきポイントです。
一般的な手数料より大幅に高い場合は、合理的な理由があるかを確認します。
また、サブリースを利用している場合、保証金額が相場賃料より20%以上も安いようでは、メリットを充分に得られているとは言えません。
いずれも、納得のいく説明が得られない場合は、管理会社の変更も選択肢となります。
管理会社の経営が悪化している
管理会社の経営が悪化すると、管理業務を満足できる品質で提供できなくなるだけではなく、最悪の場合、倒産のリスクも生じます。
オーナーは家賃・敷金の回収ができなくなるだけでなく、物件の鍵の回収などの入居者対応にも追われることになります。
こうしたリスクを避けるために、管理会社の経営状況は定期的に確認し、場合によっては変更を検討しましょう。
賃貸管理会社の変更手続きの流れ
管理委託契約の内容を確認する
現在の管理会社との契約内容を確認しましょう。
契約によっては、解約予告期間が設定されており、すぐに管理会社を変更できないこともあります。
また、違約金が生じる場合もあります。契約書を再度よく確認しましょう。
次の管理会社を探す
Webなどを活用し、管理委託契約の移管先を検討します。
1社だけ見て即決するのではなく、複数社を比較検討することが大切です。
以下の4つのポイントは、特に確認しておきましょう。
担当者の対応
メールでの問い合わせの返信が遅い場合などは要注意です。
契約後の対応も、レスポンスが悪い可能性が高いためです。
あるいは、投資用マンションにはあまり力を入れていない会社なのかもしれません。
業務内容
候補となる会社の業態や業務内容をしっかりとチェックします。
入居者募集の方法や、家賃滞納時の対処など、気になるポイントを担当者に問い合わせることも忘れないようにしましょう。
各種の費用
集金代行手数料や更新手数料、サブリースの保証金額など、各種費用を確認します。
一般的な手数料設定などと比較して、大幅に高い場合などは注意が必要です。
投資用マンションの管理実績
実績が豊富であるほど、提供されるサービスの品質も安定する傾向にあります。
空室率などの実績もチェックしておきましょう。
旧管理会社に対して解約通知を出す
定められた解約予告期間を守って、旧管理会社に解約通知を送ります。
入居者の資料や鍵なども忘れず回収しましょう。
また、各種変更書類への捺印ももらっておきます。
また可能であれば、管理会社が変更することを入居者に通知してもらいましょう。
新管理会社と契約し、入居者に連絡をする
新しい管理会社と契約を締結したら、入居者への対応を進めます。
入居者と変更合意書を取り交わし、新しい家賃口座や今後の問い合わせ先を案内します。
保証会社にも変更を伝えましょう。
賃貸管理会社の変更で注意するポイント
保証会社が継承できない
保証会社によっては管理会社の変更にともない、契約が終了してしまう場合があります。
このまま対処せずにいると、入居者の保証会社や連帯保証人が不在となり、滞納リスクが生じてしまいます。
新管理会社と、あらかじめ対処を考えておきましょう。
敷金の移行もれ
新旧管理会社の引き継ぎ時、つい見逃されがちなのが敷金の移行です。
家賃の手続きだけで安心することなく、敷金も引き継がれていることをしっかりチェックしましょう。
入居者からのクレーム
管理会社が変わると、家賃の振込先変更など、入居者の対応を依頼する必要があります。
それなりに手間のかかる作業となるため、理解を得られるよう、丁寧に対応することが大切です。
わかりやすく、また時間に余裕をもって案内することを心がけましょう。
旧管理会社が協力してくれない
設備状態を開示しない、変更合意書に捺印しない、など、旧管理会社が非協力的な態度を取るリスクもゼロではありません。
新管理会社と相談し、トラブルが深刻化しないよう冷静に対処しましょう。
あなたのマンション・アパートの価格が分かる
コラム監修
伊藤幸弘
資格
宅地建物取引主任者・賃貸不動産経営管理士・FP技能士・公認 不動産コンサルティングマスター・投資不動産取引士・競売不動産取扱主任者・日本不動産仲裁機構ADR調停人
書籍
『投資ワンルームマンションをはじめて売却する方に必ず読んでほしい成功法則』
『マンション投資IQアップの法則 ~なんとなく投資用マンションを所有している君へ~』
プロフィール
2002年から中古投資マンションを専門に取引を行う。
2014年より株式会社TOCHU(とうちゅう)を設立し現在にいたる。