なぜ解約させてくれないのか?実際の解約の成功率は、何パーセントなのか!?
このコラムでは、オーナーであれば知っておきたいサブリース解除ついて詳しく説明しています。
サブリース解約の正当理由と、解約の流れ、注意点も解説しています。
サブリース解除の利点とは
解約によるメリットと、解約にかかる手間と費用のデメリットを天秤にかけて決めましょう。経済的な合理性がなければ解約しない方が得策かもしれません。
しかし、解約によってさまざまなメリットが生まれるのも事実です。
利回りが向上する
サブリースは相場家賃の80~90%に設定されているので、解約による家賃収入の向上、礼金や敷金の受け取りなど収入面の上昇が期待できます。
都内の物件など、入居率の高いエリアや物件は家賃保証なしでも空室リスクは低く、順調に家賃を得られるでしょう。
高く売却できる
利回り計算で価格が変わるため、利回りの向上によって売却価格が伸びます。
残念ながら、サブリース物件は投資家に人気がありません。なぜなら、購入した人は自分のお気に入りの業者や、以前より付き合いがあり信頼関係のある会社に依頼したいからです。
もし解約できれば購入希望者は、約5倍に増えるでしょう。
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賃貸管理を変更できる
解約により、自分で直接管理したり別の会社に依頼したりと賃貸管理先を変更できます。その結果、管理手数料を安く抑えられるかもしれません。
リフォームや設備交換もサブリース業者指定で割高なケースが多いので、安くできるでしょう。
入居希望者の選定も自らできるので、トラブルを少なくできる可能性があります。
なぜサブリース会社は解約させてくれないのか
マンションオーナーにとって、メリットがあるサブリースの解約ですが、サブリース会社にとっては好ましいものではありません。
利益が減少する
家賃の10〜20%の差額分がサブリース会社の利益です。
家賃以外にも、サブリースが管理者になることで、入居者から礼金や更新料の臨時収入も入ってきます。
サブリース会社のグループ会社がマンションのリフォームや修繕を請け負うことで、そこから利益を得るケースもあります。
管理変更が増加している
景気が上向きのため取引数が多く、管理会社の入れ替わりも激しく奪い合いになっています。新築の分譲は少なくなっているため、デベロッパー、販売会社の管理戸数が減少しているのが現状です。
サブリース会社は新規の管理物件を獲得しづらい状況の中、規模が小さくなるとスケールメリットを活かせず、コストだけが大きくなっています。
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サブリース解約の成功率は30%!?
弊社に相談したオーナーの近年の解約率は約30%です。年々成功率が下がってきている印象があります。
中古の売買増加により管理変更が増えたことを背景に、解約を認めない会社が増えました。
また、借地借家法による判例を根拠に、入居者としての権利主張をする会社も増えてきています。
解約できる理由は、「期間満了による解約」、「予告期間による解約」、「立退料・違約金による解約」、「空室による解除」、「賃貸の逆ザヤによる解除」などさまざまです。
逆ザヤとはオーナに9万円で家賃保証しているものの、実際の入居者からサブリース会社には8万円しか家賃収入がない場合のことを指します。長期で運営していて、オーナーに家賃減額交渉ができなかったケースです。
解約できない場合は、サブリース会社が「借地借家法による正当事由がないので解約できない」と断ってくるケースです。立退料を払う相談をしても、「受取る気はないし交渉できない」と強硬に回答してくる業者もしばしば見受けられます。
そもそも、サブリース会社は「購入時に空室の不安を抱える」、「オーナーの為に家賃保証する」などのアフターサービスを目的とした会社が多いはずなのですが、自社の利益の方が優先されてしまうのが現状です。残念ですがこのような業者が増えています。
プロが語る。サブリース解約の難しさ
サブリースの解約が難しい理由
サブリース契約は長期的に家賃が保証されるといったメリットがあり、多くのオーナーが利用しています。
しかし、経済動向やオーナーのライフスタイルの変化によってサブリースの解約を希望するケースがあります。しかし、一度締結したサブリース契約は期間満了まで解約が難しいという現実があります。
サブリース契約の解約が難しい理由について解説します。
借地借家法によって借主が保護されている
先ほども紹介したように、サブリース契約は「借地借家法」の適用内にある法律となっており、借地借家法は貸主よりも借主が手厚く守られる内容となっています。
サブリースの場合、この借主には入居者ではなく、又貸しをしている不動産会社が該当します。そして、借地借家法の第二十七条では以下のように定義されています。
建物の賃貸人が賃貸借の解約の申入れをした場合においては、建物の賃貸借は、解約の申入れの日から六月を経過することによって終了する。
つまり、借地借家法においてサブリース契約を簡単に解約することができず、解約ができる状況においても、解約の申入れから6カ月を経過しないと契約は終了となりません。
適切に解約するには「正当な事由」が必要
借地借家法の第二十七条によって解約するには6カ月以上前から借主に通達しなければならないとされています。
それに加えて、第二十八条では「通知又は建物の賃貸借の解約の申入れは、(中略)正当の事由があると認められる場合でなければ、することができない。」とされています。
このことからも、6カ月経過すればどのような理由であれ解約できるわけではなく、サブリース契約を解約するに値する理由があることを証明しなければなりません。
そして、「正当な事由」は他のサブリース会社に変更したいという理由や売却したいという理由では認められないことが多いです。
※正当な事由については後ほど詳しく紹介します。
このように、サブリース契約は借地借家法に影響を大きく受けることから、貸主であるオーナーは希望どおりに解約できないことが多いです。
解約すると違約金が発生する
サブリース会社に解約の相談をし、受け入れてくれた場合でも違約金が発生するおそれがあります。
サブリース契約を解約することで違約金が発生すると、契約書に記載されていることがあります。
違約金は家賃の数カ月から1年分を違約金額として支払うことが一般的です。また、入居者に管理会社や家賃の振込先が変わったことを伝える必要もあり、手間がかかってしまいます。
そのため、適切な手段で解約できる方法を模索し、サブリース会社と根気強く話し合いすることをおすすめします。
サブリース解約は、依頼する会社によって結果は変わる?
サブリース解約の事例
売却に合わせて解約交渉
以前から売却するために出口戦略を考えていたAさんは、
2年契約サブリースの更新が、10ヵ月後に控えているタイミングで交渉を開始しました。
最初は解約するつもりがないと難色を示していたのですが、粘り強く交渉をした結果、正当事由しだいだと回答がありました。どうやら立退料を支払えば正当事由にあたり、解約ができると察したAさんは立退料を計算します。現状の相場家賃が8万円で、サブリース料が7万円ですので、サブリース業者は年間で12万円の収益を上げている計算になります。その10年分(120万円)を支払う提案をし、見事に解約することができました。
サブリース解約して売却することで、250万円価格が上昇することがわかっていたので、立退料を支払った方が130万円得になります。
Aさんはサブリースの解約を成功させて、見事に売却を成功させました。
減額交渉にあわせて解約
長期投資の為に区分マンションを購入したBさんは、管理が面倒なためにサブリースを選択しました。投資開始から10年は問題なく運用ができていたのですが、その後サブリース家賃7万円を6万円にした減額の交渉を受けることになります。
経年劣化で想定していた家賃で貸し出すことができないと主張をしてきます。Bさんは、自主管理に切り替えて運用したいのでサブリースを解約したいと提案をします。サブリース業者は、最初は解約しないと主張をしていましたが、どうやら入居者が退去するタイミングが重なり、数か月後に解約をすることができました。
解約後に7万5千円で入居者を付けることができました。依頼をしていたサブリース業者は、リフォームや賃貸募集にリソースがさけず入居者を募集する力がないので、家賃を値下げして空室率を改善する戦略だったと気が付きます。長期でこの業者に付き合っていたら大きく収益が悪化しており解約して良かったと感じています。
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サブリース契約解除の正当事由とは
サブリース契約だからといって、貸主が一方的に契約解除できません。サブリース契約にも裁判所から「借地借家法」が適用される判例が出ているため、一般的な賃貸契約と同様に解約するためには正当事由が必要です。
正当事由には以下の内容が当たります。
- 自分や親族などが物件を使用する。
- 立退料を支払う
- やむを得ず売却する必要がある
- 老朽化などで取り壊す必要がある
基本的に借主側の事情が第一に考慮され、貸主にそれ以上の事情がなければ正当事由として認められません。「貸主物件の利回りを向上させたい」、「高く売却したい」という理由だけでは承認されないことが多いでしょう。
その場合、サブリース会社の減益の補填や立退料などの負担が必要になるケースが多く見受けられます。ただし、サブリース会社が家賃を滞納している場合は、正当事由に関係なく催告による解除が可能です。
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サブリース解約の正当事由が認められる具体的な判例
サブリース契約の解約には正当事由が認められることが前提です。「物件の買い替えのため」や「単に売却がしたい」といった理由では正当事由として認められません。
しかし、正当事由は全く認められないわけでなく実際に認められたケースもあります。これまで認められた事例を確認しておきましょう。
老朽化した自宅の補修改築が正当事由となった判例
老朽化した自宅の補修のために資金を確保する必要があったオーナーが、サブリース契約を解約し自宅と土地を売却することを申し立てました。
建物は60年以上経過した木造平屋で、住むのが困難な状況でしたが、オーナーには資金がありませんでした。建物に居住人がおらずさらに月額の賃料が3万円程度であったことから、サブリース会社には大きな損失がないと判断され、50万円の解除費用を支払うことで契約解除が認められました。
このケースは、サブリース契約がオーナーにとって不利益になる場合、契約解除が可能であることを示しています。
参考:一般財団法人 不動産適正取引推進機構 「RETIO判例検索システム」
ローン返済が困難となる
サブリース契約をしている建物のローンの支払いが困難になってしまうと収益物件の維持自体ができなくなることから、資金確保を目的とした解約ができる可能性があります。
サブリース会社もオーナーが破産してしまうと、利益を得ることができなくなってしまいます。そのため、生活が苦しくなる前にサブリース会社や金融機関に相談することで、解約ができることがあります。
ただし、こういった事例は必ずしも正当な事由として認められるわけではないため、注意が必要です。また、サブリース会社側に落ち度がないため、違約金が発生する可能性もあるため、注意が必要です。
国や自治体から立ち退き命令を受ける
再開発事業や都市計画道路の計画立案など、個人で所有している不動産を国が買取するケースがあります。
こうした都市再編事業は駐車場などの更地だけでなく、住宅やアパート、マンションなどの居住物件があるエリアも対象になります。
そして、こうした法令は借地借家法よりも優先されるケースがほとんどであるため、正当事由として認められやすいとされています。
このことからも、国や自治体から立ち退き命令などの説明を受けた場合には、速やかにサブリース会社に相談し、解約の打診をすることをおすすめします。
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サブリース解約の流れと手続き方法
では、サブリース解約に至るまでの流れを、順を追ってみていきましょう。
1、契約書内の解約についての条項を確認する
初めにサブリース契約の解約条項を確認しましょう。
「契約の満期」、「解約の予告期間」、「解約に伴う違約金」などの記載を探します。
解約条項の記載は解約交渉の材料になり、解約通知書の作成時にも使用します。
2、サブリース会社に連絡をする
相手側とサブリース解約について電話、メールで打ち合わせをします。解約通知書を送り記録を残すことが重要です。担当者とのやりとりは必ず履歴を残し、後日の齟齬を防ぎましょう。
【解約通知書の内容】
- 解約通知日
- 契約終了希望日
- 物件の名称
- オーナーの氏名・住所・捺印
- サブリース会社名
- 契約書の第何条に基づく解約になるのか
- 必要があれば違約金・立退料
3、解約が合意されれば解約成功
可能であれば解約の合意書を作成し、違約金の支払いが必要な場合は期日内に振り込んでください。
オーナーが保管している入居者資料や鍵、敷金などはサブリース会社に移管しましょう。
4、合意できない場合は交渉をする
サブリースに詳しい不動産会社や弁護士に相談し、代わりに契約解除の交渉をしてもらいましょう。交渉には専門知識が必要になり、さまざまな面で大きな労力を必要とするので、サポートを受けることをおすすめします。
5、新しい管理会社を選ぶ
解約後に管理を委託する場合は、新たな賃貸管理会社の選定が必要です。自分で直接管理する場合は不要ですが、入退去などの際に相談に乗ってもらえるように不動産会社には連絡しておきましょう。
6、入居者と変更の合意書を結ぶ
サブリース会社との同一の条件で、賃貸契約を継承する合意書を締結します。保証会社の利用があればそれも継承しましょう。また、新しい振込先や連絡先も合わせて通知してください。
まずはご相談ください!
サブリース解約の注意点
サブリース解約にはメリットばかりでなく、当然リスクも伴います。解約により発生する問題点を把握して、解約の判断材料にしましょう。
違約金・立退料が高額
サブリース解約に対する違約金が設定されている場合、その支払い金額は家賃の数ヶ月分から1年分以上必要になるケースなどさまざまです。
違約料に加えて立ち退き料が必要になるケースもあります。立退料の相場は家賃の6~12ヶ月分ですが、明確な決まりがなく想定よりも高い負担になることも。
立退料を払った方が得になるのか、総合的な判断が求められます。
交渉期間が長期化
解約の合意が取れれば、予告期間を設けて契約終了です。しかし、長期化すると半年から1年、最悪の場合サブリース期間の満了日まで待たなければいけません。裁判になると判決が出るまで時間がさらに掛かります。売却などで解約の期日が決まっている場合は、早期に動かないと間に合いません。
家賃が下がる
家賃が上がると思っていたら、相場の家賃よりも安く入居者が入っていて、蓋を開けてみると逆ザヤ契約だったという事態も。
他にも入居者がすぐに退去してしまうなど、サブリース契約の解約によって家賃が下がる恐れがあることも覚えておきましょう。
想定外の出費
サブリース会社が入居者からの修繕依頼を放置していたため、急な出費が発生することもあります。保証会社の引継ぎができない場合はオーナーの負担になることも。
サブリースの解約によって、家賃や売却金額が上がるなどのメリットが多くあります。しかし、解約までに多くの時間や労力を要する可能性や様々なデメリットがあることも忘れてはいけません。
もし解約の判断に迷った場合は、サブリース事例を豊富に持つ専門会社に相談することをおすすめします。
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サブリース解約における法改正と影響
2020年12月15日に、サブリース契約に対する取り扱いが大きく異なりました。
そのため、これからサブリース契約を検討するオーナーはこの章で解説する法改正の影響と変更点、ポイントを把握すべきといえます。
最新のサブリース法改正による影響と変更点
法改正に伴ない、大きく以下の3つが追加されました。
- 誇大広告等の禁止(第28条)
- 不当な勧誘等の禁止(第29条)
- 重要事項説明の義務化(第30条)
誇大広告とはオーナーにとって不利な情報を意図的に隠し、メリットだけを誇張した広告のことです。
このような広告を見たオーナーはサブリースの仕組みを誤認する可能性があるため、借地借家法に基づいた正当な事由が必要であること等は広告の時点で表示することが求められています。
また、しつこい勧誘や一度オーナーが断ったあとの勧誘は不当な勧誘として禁止されることになりました。
さらに契約前には重要事項説明が義務付けられました。不動産の賃貸や売買の際には、不動産会社が重要事項説明書を提供し、その内容を説明することが必須ですが、法改正によって、サブリース契約においても同様の手続きが必要とされるようになりました。
このことからも、法改正によってサブリース会社が不当にオーナーを騙すような行為ができにくくなり、オーナーがより安全に判断できるようになったといえます。
参考:国土交通省「サブリース事業適正化ガイドラインの策定」
サブリース契約者が知っておくべき法改正のポイント
法改正によってオーナーの安全性は向上し、サブリース会社が違法行為によってオーナーを騙すことが難しくなりました。
しかし、100%騙されない状態になったわけではなく結局はいたちごっこになることを知っておく必要があります。そのため、信頼できるサブリース会社を選定するというポイントは変わらないといえます。
サブリース会社の選び方として、誇大広告や重要事項説明書の説明義務化など法改正の内容をしっかり理解しているかどうかという点があります。
こうしたチェックポイントは普段から賃貸に関する法律を勉強していなければ説明できないことが多く、分かりやすく説明するには深く理解していなければなりません。
また、悪徳業者の共通点として、「契約を急かす」ことが挙げられます。質問をしているのに、十分な解答をせずに契約へと進めようとする担当者がいれば、一度立ち止まることをおすすめします。
反対に時間をかけて、一つひとつ丁寧に説明してくれる担当者は信頼ができるでしょう。法改正でオーナーとして安全に取引しやすくなったものの、サブリース会社は慎重に選ぶべきです。
サブリース物件は解約しなくても高く売れるケースもある
代表取締役伊藤幸弘
サブリース契約の解約は、一般の方がやろうと思って簡単にできるものではありません。オーナーから管理会社に交渉してもほぼうまくいかないんです。最高裁まで争われた判例があり、それを持ち出されると、覆すことは難しいでしょう。
サブリースの契約書には解約できると書いてあるんです。しかし、借地借家法がその条文よりも強い法律だということで押し切られてしまいます。
場合によっては、違約金を払えば解約できる会社もあるのですが、そのあたりの情報を持っているのは、やはり不動産会社であることは多いでしょう。