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賃貸管理契約の解約方法とは?解約通知書の書き方と注意点を解説

「管理会社の対応が遅い」「入居者対応に不安がある」「手数料に見合う管理ができていない」などの理由から、賃貸管理契約の見直しを考えるオーナー様は少なくありません。
とはいえ、解約通知書の出し方や予告期間、違約金、敷金の引継ぎなど、実際の手続きには注意すべきポイントが多くあります。
この記事では、賃貸管理契約を解約する際に確認すべき契約内容、解約通知書の基本、管理会社変更の流れ、トラブルを防ぐための注意点まで、オーナー目線でわかりやすく解説します。
目次
賃貸管理契約を解約したい主な理由
賃貸管理契約の解約を検討する理由は、オーナー様によってさまざまです。
実際には、突然解約を決めるというよりも、日々の管理対応や収支面に違和感を覚えたことをきっかけに、見直しを考え始めるケースが多く見られます。
また、現在の管理会社に大きな問題がある場合だけでなく、売却や運用方針の変更など、オーナー様ご自身の状況変化によって解約を検討することもあります。
そのため、まずは「なぜ管理契約を見直したいのか」を整理しておくことが大切です。
ここでは、賃貸管理契約の解約を考える主な理由について見ていきましょう。
管理対応に不満がある
賃貸管理契約を解約したい理由として多いのが、管理会社の対応に対する不満です。
たとえば、入居者からの問い合わせや設備不具合への対応が遅い、報告や連絡が十分でない、担当者によって対応品質にばらつきがある、といったケースが挙げられます。
また、実務で多い相談として、賃貸の客付け力が弱く、空室がなかなか埋まらないという不満もあります。
募集条件の見直し提案が少ない、写真や募集資料の改善が不十分、リフォームや原状回復の対応が遅いといった状況が続くと、結果として空室期間が長引いてしまいます。
賃貸経営では、オーナー様がすべてを自分で把握・対応するのは難しいため、管理会社にはスムーズで丁寧な対応だけでなく、空室を長引かせないための提案力や実行力も求められます。
そのため、管理の質に不安を感じる状態が続くと、「このまま任せていて大丈夫だろうか」と感じ、契約見直しを考えるきっかけになります。
特に、入居者対応の遅れやトラブル処理の不備に加えて、客付けやリフォーム対応の遅れによって空室期間が長引くと、家賃収入が入らない期間が増え、長期的にはオーナー様にとって大きなマイナスになりかねません。
そのため、現在の管理会社の対応に違和感がある場合は、単なる不満として流さず、一度管理体制そのものを見直してみることも大切です。
管理手数料が高い
管理手数料とサービス内容のバランスを見直した結果、解約を検討するケースもあります。
毎月一定の管理手数料を支払っているにもかかわらず、実際の業務内容や報告体制が見合っていないと感じると、費用対効果に疑問を持つのは自然なことです。
たとえば、家賃集金や入居者対応はしているものの、空室対策の提案がない、修繕対応の進め方が不透明、定期報告がほとんどないといった場合には、「この手数料を払い続ける意味があるのか」と感じやすくなります。
また、実務では、収支がマイナスになってしまったため、管理手数料を見直して少しでもキャッシュフローを改善したいという理由で、管理契約の変更や解約を検討されるオーナー様も少なくありません。
特に、金利上昇や修繕費の増加、空室期間の長期化などが重なると、毎月の収支に対する管理手数料の負担感は一層強くなります。
さらに、家賃の入出金管理だけであれば自分でも対応できると考え、管理委託の必要性そのものを見直すケースもあります。
管理会社に任せることで得られるメリットが十分に感じられない場合には、「最低限の管理であれば自主管理でもよいのではないか」と考えるのも自然です。
もちろん、手数料が安ければよいというわけではありません。
大切なのは、支払っているコストに対して、どのような管理サービスが提供されているかを冷静に見極めることです。
特に、毎月の収支が厳しい状況では、管理手数料の見直しがキャッシュフロー改善に直結することもあります。今の管理内容が本当に必要かを整理したうえで、契約継続の要否を判断することが大切です。
売却や方針変更を検討している
現在の管理会社に不満がない場合でも、売却や運用方針の見直しをきっかけに、賃貸管理契約の解約を検討することがあります。
たとえば、物件売却を進める場合には、管理契約の内容によっては事前に整理しておくべき事項が出てきます。
また、今後は自主管理に切り替えたい、新しい管理会社に任せたい、といったケースでも現在の契約を見直す必要があります。
特に売却を視野に入れている場合は、賃貸管理契約の解約時期や入居者対応、敷金や書類の引継ぎなども関わってくるため、早めに確認しておくことが大切です。
単に「今の管理会社が悪いから解約する」というだけでなく、オーナー様自身の今後の方針に合わせて契約を見直すという視点も重要です。
賃貸管理契約の解約前に契約書を確認する
賃貸管理契約の満了日
賃貸管理契約は、2年の契約期間となっていることが一般的で、自動更新されることもよくあります。期間満了日に解約する場合は違約金が発生しない場合もあるため、まずはこの日付を含め、契約内容をしっかり確認しましょう。管理会社が解約に対して協力的ではない場合は、約定解除による交渉を検討しましょう。
解約予告期間
解約をする場合、解約予告期間が設定されています。1~3か月程度と設定されることが多いですが、契約により異なりますので、契約書を確認しましょう。
また、入居者に賃貸管理会社が変更されることを案内するためにも、一定の時間が必要です。慌てて手続きを進めてしまって入居者を混乱させないよう、入念な計画のうえに手続きを実施していくことが大切なのです。
違約金の計算
これも契約書に定められている内容です。事前に確認をせずに進めてしまい、解約後に想定外の高額な請求を受け取った、ということのないよう、解約の申請時に必ず確認しておきましょう。
預り敷金
入居者の敷金や保証金を、賃貸管理会社が預かっている場合があります。どのように返却するのか、といった手順もあらかじめ確認して理解しておかないと、移行に失敗してしまうリスクもあります。
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賃貸管理の解約通知書
解約通知書は、一般的にはこのような内容となっています。このひな形で、どういった事項を記載する必要があるのか、イメージをつかんでおきましょう。対象となる物件や、解約の日付などは特に重要な情報です。記載内容に誤りがないか、しっかりとチェックしましょう。会社によっては、指定のフォーマットでの提出が必要なこともありますので、作成前に賃貸管理会社に確認します。

解約通知書に記載すべき項目
賃貸管理契約を解約する際には、解約通知書を提出するのが一般的です。
すでに雛形を用意している管理会社もありますが、内容を十分に確認しないまま提出してしまうと、後から「認識が違った」「引継ぎ内容が曖昧だった」といったトラブルにつながることがあります。
そのため、解約通知書は単に「解約したい意思を伝える書類」と考えるのではなく、解約条件や引継ぎ事項を明確にするための重要な書類として扱うことが大切です。
特に、管理会社の変更や売却を予定している場合は、通知書の記載内容がその後の手続きに影響することもあります。
ここでは、解約通知書に記載しておきたい主な項目を確認していきましょう。
物件情報
まず記載しておきたいのが、対象となる物件情報です。
賃貸管理契約がどの物件に関するものなのかを明確にしないと、複数物件を管理している場合や、管理会社側で同名物件を複数扱っている場合に、確認や手続きがスムーズに進まないことがあります。
一般的には、以下のような内容を記載しておくと安心です。
-
物件名
-
所在地
-
部屋番号
-
オーナー名
物件情報を正確に記載しておくことで、「どの契約を解約するのか」が明確になり、後のやり取りもスムーズになります。
特に区分マンションの場合は、部屋番号まで漏れなく記載しておくことが大切です。
契約解除日
解約通知書では、いつの時点で契約を終了したいのかを明確に記載する必要があります。
この契約解除日が曖昧だと、管理手数料の発生時期や引継ぎスケジュールにズレが生じる可能性があります。
賃貸管理契約では、契約書に「何か月前までに解約通知が必要か」といった解約予告期間が定められていることが多いため、通知書を作成する前に必ず契約内容を確認しておきましょう。
たとえば、1か月前通知なのか、3か月前通知なのかによって、希望する解約日どおりに進められるかが変わってきます。
また、解約日を設定する際には、管理会社変更の引継ぎ時期や、売却引渡し日の予定などもあわせて整理しておくとスムーズです。
単に「できるだけ早く解約したい」と考えるのではなく、実務の流れを踏まえて日付を決めることが大切です。
敷金・鍵・書類の返還方法
解約時に見落としやすいのが、敷金や鍵、各種書類の引継ぎ方法です。
これらを曖昧にしたまま契約終了を迎えると、「どこまで返還されたのか」「何が引き継がれていないのか」が分かりにくくなり、後から確認に手間がかかることがあります。
通知書の段階で、少なくとも以下のような点を意識しておくと安心です。
-
預り敷金や保証金の精算方法
-
入居者関連書類や契約書類の返還方法
-
鍵の返却方法
-
設備資料や管理に関する書類の引継ぎ方法
特に、管理会社を変更する場合は、次の管理会社へ何をいつ引き継ぐのかを整理しておくことが重要です。
解約通知書の中で詳細まですべて決めきれない場合でも、「別途引継ぎ内容を確認する」前提を持っておくことで、認識のズレを防ぎやすくなります。
連絡先と送付方法
解約通知書には、解約後も連絡が取れるように、オーナー様の連絡先を明記しておくことが大切です。
解約手続きの途中や、書類返還・精算の段階で追加確認が必要になることもあるため、連絡先が不明確だと手続きが滞る原因になります。
一般的には、以下の情報を記載しておくとよいでしょう。
-
氏名
-
住所
-
電話番号
-
メールアドレス
また、通知書の送付方法も重要です。
口頭だけで伝えるのではなく、書面やメールなど記録が残る形で送付しておくことで、「通知した・していない」のトラブルを防ぎやすくなります。
特に、契約解除の意思表示は後から証拠として確認できる形にしておくことが重要です。
そのため、郵送であれば送付記録が残る方法を選ぶ、メールであれば送信履歴を保存しておくなど、送付方法にも注意を払うことが大切です。
管理会社解約の流れ
1.賃貸管理契約の確認
まずは、上記で説明してきた解約予告期間や違約金、預り敷金などの確認のため、現在の賃貸管理契約の内容をチェックします。
2.現在契約中の管理会社と打ち合わせ
解約通知書をいきなり送るのではなく、賃貸管理会社と打ち合わせのうえで今後の手続きについて両者の認識を合わせることが大切です。
3.解約通知書
打ち合わせの内容にもとづき、解約通知書を管理会社に送付します。
4.入居者への連絡、敷金などの移行
賃貸管理会社が変更される旨を入居者に案内します。敷金などの移行手続きも忘れずに実施しましょう。
変更合意書
変更合意書を、入居者、旧管理会社、新管理会社の間で取り交わします。このひな形で、記載される内容を確認しておきましょう。
対象となる物件と所在地や、契約内容で変更される事項などを記載します。入居者にとっては、賃料や振込先が変更されると大きな影響が生じます。
内容に誤りがないことを確認し、認識にずれがないようしっかりと周知することが大切です。

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管理会社変更時の引継ぎチェックリスト
賃貸管理契約を解約して新しい管理会社へ変更する場合、重要になるのが引継ぎの内容を漏れなく整理することです。
変更合意書の取り交わしが済んでいても、実際の管理業務に必要な情報や資料が十分に引き継がれていなければ、その後の管理に支障が出るおそれがあります。
特に、入居者対応や家賃管理、設備不具合への対応などは、日々の情報がきちんと共有されていることが前提です。
引継ぎが不十分なまま管理会社だけを変更してしまうと、入居者からの問い合わせ対応が遅れたり、敷金や保証会社の情報が不明確になったりすることもあります。
そのため、管理会社変更時には「契約を終わらせること」だけでなく、次の管理体制へスムーズにつなぐことまで意識しておくことが大切です。
ここでは、引継ぎ時に確認しておきたい主なポイントを整理します。
入居者情報
まず確認しておきたいのが、入居者に関する情報です。
現在の管理会社が把握している内容が新しい管理会社へきちんと引き継がれなければ、入居者対応に支障が出る可能性があります。
たとえば、以下のような情報は重要です。
-
入居者氏名
-
契約開始日・契約期間
-
賃料や管理費の条件
-
更新状況
-
滞納やトラブルの有無
-
過去の対応履歴
こうした情報が不足していると、問い合わせやトラブルが発生した際に状況把握が遅れやすくなります。
特に、過去にクレーム対応や設備不具合があった物件では、対応履歴が引き継がれているかどうかを必ず確認しておきたいところです。
鍵・設備資料
次に確認したいのが、鍵や設備に関する資料です。
管理会社が物件の鍵を保管している場合は、何本預けているのか、どの鍵がどこに対応しているのかを明確にしたうえで引き継ぐ必要があります。
また、設備に関する情報も重要です。
たとえば、以下のような資料が対象になります。
-
部屋や共用部の鍵
-
設備の取扱説明書
-
修繕履歴
-
設備交換の記録
特に、設備不具合が発生した際には、過去の修繕履歴やメーカー情報があるかどうかで対応スピードが大きく変わります。
そのため、単に鍵を受け取るだけでなく、設備管理に必要な資料まで漏れなく引き継げるよう確認しておくことが大切です。
敷金・保証金
敷金や保証金の管理状況も、管理会社変更時に必ず確認しておきたい項目です。
ここが曖昧なまま引継ぎを進めると、退去精算の段階で認識のずれが生じるおそれがあります。
確認しておきたいポイントとしては、次のようなものがあります。
-
預り敷金・保証金の金額
-
誰が保管しているのか
-
返還や精算の基準
-
過去の精算履歴
特に、オーナー様ではなく管理会社側で預っているケースでは、契約終了時にどのように返還・移管されるのかを事前に明確にしておく必要があります。
金銭に関する情報はトラブルに直結しやすいため、書面や一覧で確認できる状態にしておくと安心です。
保証会社・火災保険・口座変更
管理会社変更時には、保証会社や火災保険、家賃振込口座などの変更対応も確認が必要です。
ここを見落としてしまうと、入居者への案内不足や入金トラブルにつながることがあります。
特に確認したいのは、以下の点です。
-
保証会社の契約状況と継承可否
-
火災保険の加入状況
-
入居者への案内方法
-
新旧管理会社の役割分担
たとえば、保証会社によっては管理会社変更時に再手続きが必要になる場合もあります。
また、家賃の振込先が変わる場合には、入居者への通知時期や方法を明確にしておかなければ、誤入金や未入金の原因にもなりかねません。
管理会社変更は、単に管理窓口を変えるだけではなく、こうした周辺情報の整理まで含めて初めてスムーズに進みます。
そのため、引継ぎ時には「何を受け取るか」だけでなく、その後の運用に支障が出ない状態になっているかまで確認しておくことが大切です。
新しい管理会社を選ぶ際は、料金だけで判断するのではなく、国土交通省の賃貸住宅管理業法ポータルサイト なども参考にしながら、制度や業者情報を確認しておくと安心です。
賃貸管理契約解約時の注意点
入居者への連絡
最近では、賃貸管理契約の変更を装った振込詐欺も発生しています。案内は慎重に行いましょう。旧管理会社を経由して、入居者に案内してもらえるよう依頼すると良いでしょう。
入居者から家賃を振り込んでもらう口座が変更される点は、特にしっかりと周知しなければなりません。家賃の振込に支障が出ることのないよう、案内は直前に行うのではなく、余裕をもって行うことが大切です。
保証会社の継承
賃貸管理会社を変更すると、保証会社の契約が終了してしまうこともあります。トラブルが発生することのないよう、賃貸管理会社の解約申請前に、保証会社の契約についても確認し、問題なく引き継がれるようにします。引き継ぎに旧管理会社の協力が必要なこともあります。打ち合わせなどで、引き継ぎの流れを確認しておきましょう。
解約申請のエビデンスを残す
解約を申請し、両者で合意したと思っていても、あとになって「申請などは受けていない」などと賃貸管理会社から反故にされる場合もあります。解約申請は、旧管理会社の担当者と口頭でやり取りするだけではリスクがあります。書面やメールなど、エビデンスとして記録をしっかり残すことを意識しましょう。
鍵・入居者資料などの回収
賃貸管理契約の解約後は、旧管理会社からは協力を得られないと考えておきましょう。鍵や入居者資料、敷金など、旧管理会社で預かってもらっていたものは、解約後に回収することが大切です。対象となるものはチェックリストなどで管理し、新管理会社への引き継ぎが漏れなく行われるようにします。回収の期日も決めておきましょう。
新賃貸管理会社の選定方法は下記のコラムもご覧ください。
ワンルームマンションの賃貸管理は変更できる!? 管理会社の変更の手続きや注意点について
サブリース契約の解約とは何が違う?
賃貸管理契約の解約を検討しているオーナー様の中には、**「サブリース契約も同じように解約できるのか」**と疑問を持つ方も少なくありません。
どちらも不動産の管理に関わる契約ではありますが、実際には契約の性質が異なるため、解約時の考え方や注意点にも違いがあります。
通常の賃貸管理契約であれば、管理業務を委託している管理会社との契約を終了する形になります。
一方、サブリース契約は、サブリース会社が借主となって物件を一括で借り上げ、入居者に転貸する仕組みです。
そのため、単なる管理委託契約の終了とは異なり、解約条件や契約期間、賃料保証の取り扱いなど、より慎重に確認すべき項目が多くなります。
特に、「今の管理会社を変えたい」という感覚でサブリース契約を見直そうとすると、思っていた以上に条件が厳しかったり、すぐに解約できなかったりするケースもあります。
そのため、サブリース契約が絡む場合は、通常の賃貸管理契約とは分けて考えることが大切です。
通常の賃貸管理契約との違い
通常の賃貸管理契約は、オーナー様が物件の貸主として立場を持ったまま、管理業務だけを管理会社へ委託する契約です。
そのため、契約を解約する場合も、主には「管理委託を終了する」という整理になります。
一方で、サブリース契約では、サブリース会社が物件を借り上げる借主となり、そこから入居者へ転貸する形になります。
つまり、オーナー様とサブリース会社の関係は、単なる管理委託ではなく、賃貸借契約の性質を持つ契約になる点が大きな違いです。
この違いにより、通常の賃貸管理契約であれば比較的進めやすい解約手続きでも、サブリース契約では同じように進まないことがあります。
特に、契約期間中の中途解約や賃料保証の扱いについては、通常の管理契約よりも慎重な確認が必要です。
そのため、「管理会社の変更」という感覚で一括りにせず、今結んでいる契約が管理委託契約なのか、サブリース契約なのかをまず整理することが重要です。
サブリースは条件確認がより重要
サブリース契約を解約する場合は、通常の賃貸管理契約以上に、契約書の内容を細かく確認する必要があります。
たとえば、解約予告期間、中途解約の可否、違約金の有無、賃料保証の終了条件など、解約に関わる重要な条項が細かく定められていることがあります。
また、サブリース契約では、入居者との関係や賃料回収の流れが通常の管理契約とは異なるため、解約によってどこまでを整理しなければならないのかも慎重に見ておく必要があります。
場合によっては、契約終了後の管理体制や入居者対応をどのように引き継ぐかまで含めて、事前に計画しておかなければ混乱が生じることもあります。
特に注意したいのは、「解約したいと思えばすぐに解約できる」とは限らない点です。
通常の賃貸管理契約と同じ感覚で進めてしまうと、予想外の違約金や調整負担が発生することもあります。
そのため、サブリース契約の見直しを検討している場合は、まず契約書を確認し、必要に応じて専門家へ相談しながら進めるのが安心です。
契約内容を十分に理解しないまま動いてしまうと、かえってオーナー様にとって不利な結果につながる可能性もあるため、通常の管理契約以上に慎重な対応が求められます。
なお、サブリース契約の解約は通常の賃貸管理契約よりも論点が複雑になりやすく、借地借家法や正当事由の整理が必要になるケースもあります。
詳しくは、サブリースは解約できない?契約解除と正当事由をわかりやすく解説 もあわせてご覧ください。
賃貸管理契約の解約に応じてもらえない場合
契約中の賃貸管理会社が、解約に応じてくれないこともまれにあります。このような場合は、民法第651条第1項の委任契約の解除に関する内容にもとづき、交渉を進めることになります。
なお、賃貸管理契約の解約については、民法第651条(委任の解除) の考え方も参考になりますので、契約書の内容とあわせて確認しておくと安心です。
賃貸管理会社によっては、弁護士を立てて交渉を進めようとする場合もありますので、必要に応じて賃貸管理に詳しい弁護士に早期に連絡しましょう。
一般的に、裁判費用のほうが管理手数料屋解約違約金よりも高額です。
このため、裁判にまで持ち込まれる可能性は相当に低いと思われますが、早めに専門家に問い合わせて今後の対応を相談しておくと安心でしょう。
こちらも読まれています:ワンルームマンション売却の流れ。知っておきたい売買契約の注意点
実際にあったトラブル事例① 口頭で了承されていた解約条件が覆されたケース
実際の相談事例として、売却に伴って賃貸管理契約を解約しようとしたところ、以前に管理会社から電話で「解約に応じる」と聞いていたにもかかわらず、後からその話が覆されたケースがあります。
このケースでは、当初の担当者から電話で解約に応じる旨を聞いていたものの、その担当者が退職した後、管理会社側からは「そのような合意は確認できない」として扱われ、最終的に高額な違約金を請求されたとのことでした。
請求額は、家賃の12か月分という非常に大きな金額で、オーナー様としても納得しにくい内容でしたが、すでに売却の契約が進んでおり、買主様に迷惑をかけられない事情もあったため、やむを得ず違約金を支払うことになったそうです。
このような事例から分かるのは、電話だけのやり取りに頼るのは非常に危険だということです。
たとえ担当者が明確に了承していたとしても、記録が残っていなければ、後から「言った・言わない」の問題になりやすくなります。
特に、売却のスケジュールが絡む場面では、口頭確認だけで進めると、想定外の費用負担や交渉トラブルにつながるおそれがあります。
そのため、解約に関する重要なやり取りは、メールや書面など、必ず記録が残る形で確認しておくことが大切です。
「担当者が言っていたから大丈夫」と考えるのではなく、後から第三者が見ても確認できる状態にしておくことが、トラブル防止につながります。
賃貸管理契約の解約で困ったときの相談先
賃貸管理契約の解約は、契約書どおりに進められれば大きな問題にならないこともあります。
しかし、実際には「解約通知を出したのに話が進まない」「引継ぎに協力してもらえない」「解約条件について見解が食い違う」といった形で、スムーズに進まないケースもあります。
そのような場合、オーナー様だけで抱え込んでしまうと、時間だけが経過してしまったり、感情的なやり取りになってしまったりすることもあります。
特に、管理会社の変更や売却を予定している場合は、解約が長引くことでその後のスケジュールにも影響が出かねません。
そのため、契約内容を確認したうえでやり取りを進めても解決しない場合は、早めに相談先を整理しておくことが大切です。
ここでは、賃貸管理契約の解約で困ったときに検討したい相談先について見ていきましょう。
管理会社と交渉が進まない場合
まずは、現在の管理会社とのやり取りの内容を整理することが大切です。
口頭だけでやり取りをしている場合は、認識のずれが生じやすく、「言った・言わない」の話になってしまうこともあります。
そのため、解約通知の送付日、メールの履歴、管理会社からの返答内容、契約書の該当条項などを整理し、どの点で話が止まっているのかを明確にしておくことが重要です。
たとえば、次のようなケースでは、論点を切り分けて確認する必要があります。
-
解約通知は受理されているのか
-
解約予告期間の認識に違いがあるのか
-
違約金の有無や金額で食い違いがあるのか
-
鍵や書類、敷金などの引継ぎ条件がまとまっていないのか
こうした点を整理したうえで、書面やメールなど記録が残る形で再度確認を行うと、交渉が前に進みやすくなることがあります。
感情的に対立するのではなく、契約内容と事実関係をもとに冷静に整理していくことが大切です。
また、新しい管理会社への変更を予定している場合は、次の管理会社に相談しながら進めるのも一つの方法です。
実務上、管理会社の変更に慣れている会社であれば、引継ぎ時の確認ポイントや注意点について助言を受けられることもあります。
弁護士や専門家に相談すべきケース
管理会社との話し合いで解決できない場合や、契約内容の解釈が難しい場合には、弁護士などの専門家への相談も視野に入れるべきです。
特に、次のようなケースでは、早めに専門家へ相談した方が安全です。
-
解約に応じてもらえない状態が続いている
-
契約書の内容が複雑で判断が難しい
-
高額な違約金を請求されている
-
敷金や保証金の返還で争いがある
-
売却や管理変更のスケジュールに大きな影響が出ている
-
サブリース契約が絡んでいて一般的な管理契約より条件が重い
こうしたケースでは、オーナー様ご自身の判断だけで進めると、不利な条件を受け入れてしまう可能性があります。
特に、契約書の文言や法的な整理が必要になる場面では、専門家の意見を踏まえて対応した方が安心です。
また、必ずしも最初から法的対立を前提にする必要はありません。
現状の契約内容ややり取りを客観的に整理し、今後どのように進めるべきかを確認する意味でも、専門家へ相談する価値はあります。
賃貸管理契約の解約は、オーナー様にとって今後の運用方針や収支にも関わる重要な判断です。
そのため、「少しおかしいかもしれない」と感じた段階で早めに相談し、問題を長引かせないことが大切です。
実際にあったトラブル事例② 管理会社と連絡が取れず引継ぎが進まなかったケース
もう一つ実際にあった相談事例として、管理会社と連絡が取れなくなり、解約後の引継ぎがほとんど進まなかったケースがあります。
このケースでは、管理会社が電話や連絡にほとんど応じず、入居者情報の開示にも協力しなかったため、オーナー様は入居者へ直接連絡を取ることもできませんでした。
やむを得ず手紙を送付したものの、入居者から折り返しもなく、状況確認が難しいまま時間だけが過ぎていったそうです。
その後、弁護士からの案内を通じて、ようやく入居者と直接やり取りを進める形になりましたが、結果として敷金や鍵などをすべて回収することはできませんでした。
本来であれば管理会社から引き継がれるべき情報や物品が十分に戻らず、訴訟も検討したものの、かえって費用の方が高くつくと判断し、最終的には新しい賃貸借契約書を作成し、敷金についてはオーナー様側が負担する形で整理することになったとのことです。
この事例から分かるのは、管理会社変更時の引継ぎは、想像以上に重要だということです。
入居者情報、鍵、敷金、契約書類などが曖昧なままだと、解約後にオーナー様自身が大きな負担を抱えることになりかねません。
少しでも不穏な対応がある場合は、早い段階で書面化や証拠保全を進め、必要に応じて弁護士などの専門家に相談することが、損失を最小限に抑えるうえで重要になります。
あなたのマンション・アパートの価格が分かる
コラム監修
伊藤 幸弘(いとう ゆきひろ)
株式会社TOCHU(トウチュウ)代表取締役
投資マンション専門家/不動産コンサルタント
プロフィール
2002年より投資用中古ワンルームマンション売買のキャリアをスタート。
20年以上にわたり投資マンション市場に携わり、売主・買主双方のリアルな課題解決を通じて、個人投資家の資産形成をサポートしてきた。
2014年に株式会社東・仲(現:株式会社TOCHU)を設立。
投資用中古ワンルームマンションを中心とした売買仲介・買取事業を展開し、これまでの取扱実績は20,000件以上。
現在、会社には年間7,000件以上の投資マンション売却・不動産投資に関する相談 が寄せられており、多くの投資家の売却戦略や資産運用をサポートしている。
2025年には業界初となる価格透明化サービス 「TOCHU iBuyer」 を展開。
中古投資マンション市場の価格不透明性を解消し、投資家が適正価格で売却できる仕組みづくりを推進している。
「誠実な取引こそが市場の信頼をつくる」という理念のもと、 投資マンション市場の健全な発展を目指して活動している。
専門分野
・投資マンション売却
・投資マンション買取
・オーナーチェンジ物件売却
・不動産投資コンサルティング
メディア掲載・業界実績
投資マンション売却・不動産投資の専門家として、各種メディアや業界媒体で紹介されている。
・NHKにて不動産市場に関する取材
・「住宅新報」にてTOCHU iBuyerが紹介
・「リフォーム産業新聞」にて企業取り組みが掲載
・不動産業界メディア「リビンマガジンBiz」にてサービス紹介
・不動産オーナー向け専門誌「月刊 地主と家主」に書籍が掲載
・ERA LIXIL不動産ショップ全国大会にて成績優秀により複数回受賞。
・不動産業界団体 投資不動産流通協会 の会員として研修・研究活動に参加。
・JAPAN BUILD 「不動産テックEXPO」 のセミナー登壇
不動産取引のデジタル化・透明化に向けた取り組みを発信している。
保有資格
・公認 不動産コンサルティングマスター
・宅地建物取引士
・ファイナンシャル・プランニング技能士
・賃貸不動産経営管理士
・投資不動産取引士
・競売不動産取扱主任者
・日本不動産仲裁機構 認定ADR調停人
著書・実績
『投資ワンルームマンションをはじめて売却する方に必ず読んでほしい成功法則』(クロスメディア・パブリッシング)
『マンション投資IQアップの法則 〜なんとなく投資用マンションを所有している君へ〜』(CHICORA BOOKS)




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