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不動産投資の失敗で離婚の危機?投資用物件は財産分与の対象になるのか

不動産投資はリターンが大きい反面、リスクもあります。大きく失敗すると借りたローンも返済できず、場合によっては莫大な借金を抱えてしまうおそれもあります。

不動産投資・投資マンションが離婚の原因となってしまう可能性もあるため注意しましょう。

不動産投資の失敗で離婚を考えるケース

不動産投資が一般的になってきた昨今、夫婦のどちらかが不動産投資で失敗することも考えられます。ここでは、不動産投資が離婚につながるケースを解説します。

夫の不動産投資・失敗例

不動産投資について勉強不足

夫が不動産についてほとんど勉強することなく、詳しくない状態で不動産投資を始めた場合です。

不労所得を得られるという安易な気持ちで始めてしまうと、判断を誤ることもあるため失敗するリスクもあります。

リスクを想定していない

例えば、空室リスクや家賃滞納リスク・家賃下落リスクなどを考慮せず、高利回りという理由だけで物件を購入してしまうケースです。

逆に安さだけで物件を購入し、修繕リスクを考慮していないことも失敗につながります。建物は必ず壊れます。その修繕費用を支払うのは、言うまでも無くオーナーです。

長期的な視点で、リスクを想定しながら学び続ける必要があります。

丸投げ、任せきりにしている

物件購入後、管理会社に管理業務や家賃回収などを丸投げしているケースです。常に満室で経営がうまくいくとは限りません。

物件の状態や管理会社の対応などを把握しておく必要があります。

また、不動産会社の言われるがままに投資物件を選ぶなど、最終決定者である自覚を持たないままに、中途半端な知識で進めていくと失敗する可能性が高まります。

不十分なリサーチで物件を選ぶ

例えば、表面利回りだけで物件を選ぶことです。

表面利回りとは、年間の家賃収入を物件価格で割ったものを表す指標です。つまり、物件がどのくらい儲けやすいかを知るためのものです。

「表面利回り」の計算式

表面利回り(%)=想定される年間家賃収入 ÷ 物件の購入価格×100

※家賃収入は、満室を想定

ただし表面利回りでは、管理費・修繕積立金・水道光熱費などの諸経費や固定資産税・都市計画税などの税金、その他の不動産仲介手数料などは含まれていません。

これに対し「実質利回り」は、表面利回りに購入時の諸経費や年間の諸経費を加えて計算した指標です。

「実質利回り」の計算式

実質利回り(%)=(想定される年間家賃収入-諸経費)÷(物件価格+購入時の諸経費)×100

物件情報サイトの多くは、表面利回りが掲載されています。実際に物件を購入する段階では、表面利回りのみで判断せずに実質利回りでシミュレーションをすることが重要です。

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離婚する際の財産分与

離婚時に行なう財産分与は、夫婦が婚姻中に築いた財産を離婚時に分配することを指します。

民法768条1項に規定されている、法律上認められた権利です。収入の有無にかかわらず請求することができます。

第七百六十八条 協議上の離婚をした者の一方は、相手方に対して財産の分与を請求することができる。

https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=129AC0000000089

財産分与の種類

財産分与は大きく「清算的財産分与」、「扶養的財産分与」、「慰謝料的財産分与」の3つに分けられます。

「清算的財産分与」は、夫婦が婚姻中に形成した共有財産を、貢献度に応じて離婚時に清算します。

例えば、夫婦の共有財産で300万円の預貯金がある場合、150万円ずつ清算すること該当します。

対象となるのは、動産、不動産、貴金属、有価証券、保険、預貯金などです。

どちらの名義であるかは考慮されません。

「扶養的財産分与」は、夫婦の一方が離婚後に生活が困窮する可能性がある場合、一方が他方へ生活費の補助となる、扶養的な目的で財産が分けられることをいいます。

「慰謝料的財産分与」は、相手方の不貞行為などで精神的な苦痛に対する慰謝料としての趣旨を伴う財産分与を指します。

慰謝料的財産分与を請求する場合は、別途慰謝料を請求することができません。

財産分与の割合

財産分与の割合は、夫婦の収入に関係なく原則として2分の1となっています。専業主婦の場合でも同様です。

あくまでも原則なので、必ずしも2分の1にしなければならないわけではありません。

ただし例外として、一方に著しい浪費があった場合や、同居していない期間があったケースでは、財産分与の割合が修正されることがあります。

共有財産と特有財産

夫婦の財産を大きく分けると「共有財産」と「特有財産」に分けられます。

「共有財産」とは、婚姻中に夫婦が協力して築いてきた財産です。どちらの名義であるかは関係ありません。

実質的に夫婦の共有財産とみられる場合は財産分与の対象になり得ます。

対象は、不動産、自動車、退職金、年金、保険金、宝飾品、電化製品、家財道具などです。

「特有財産」とは、財産が夫婦それぞれの個人的な所有とされる、財産分与の対象にならない財産を指します。

対象は、婚姻前から所有する財産、親からの相続や贈与で得た財産、日常的にそれぞれ使用するものなどです。

具体的には、婚姻前に購入した不動産、自動車、衣類、アクセサリーなどです。

共有財産と特有財産の立証責任

民法762条2項では「夫婦のいずれに属するか明らかでない財産は、その共有に属するものと推定する。」という規定があります。

したがって、特有財産については、特有財産を主張する側に立証責任が生じます。

民法 第七百六十二条

https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=129AC0000000089

離婚時に投資用物件が財産分与対象となるケース

結婚後に購入した投資用物件

結婚後に2人で投資用物件を購入していた場合は、財産分与の対象となります。ただし、必ずしも2分の1になるのではなく、それぞれの貢献度によって変わります。離婚時に物件の評価額を算出し、割合に応じて分与する金額を決定します。

共有名義でローンを組んでいたケース

夫婦の共有名義でローンを組み投資用物件を購入していた場合は、財産分与の対象です。

例:どちらか一方が連帯保証人、ペアローンなど。

一方、どちらかの名義で借り入れを行い、夫婦でローンを返済しているケースも財産分与の対象です。

夫または妻の給与で投資用物件を購入したケース

夫が単独で投資用物件を購入し妻が専業主婦だった場合も、夫婦の協力関係にあり財産分与の対象となり得ます。

一方、妻が単独で投資用物件を購入し、夫が専業主夫だった場合も夫婦の協力関係にあり、財産分与の対象となり得ます。

親名義の家が建っているケース

親からの相続や贈与で得た不動産は財産分与の対象ではありませんが、夫婦が所有する土地に親名義の家が建っている場合は財産分与の対象です。

離婚時に投資用物件が財産分与対象ではないケース

結婚前に買った投資用物件

結婚前に現金で購入した投資用物件は、夫婦の協力関係にならず、原則として財産分与の対象ではありません。

養育費と不動産投資について

不動産収入は養育費算定の基礎となるか、という問題があります。

この問題は判例が多数ありますが、統一された判断がされていないので、個別具体的な事案によって異なります。

例えば、共有財産として所有する不動産から得た収入を生活費として利用していた場合、この不動産収入は養育費算定の基礎とみなされる可能性が高いようです。

一方で、特有財産として所有する不動産から得た収入を生活費以外の費用で利用していた場合、この不動産収入は養育費算定の基礎とならない可能性が高いようです。

参照:https://kamata-law.com/column/2059/

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売却を成功させるなら

離婚を考えるなら、投資物件は売却するべき?

離婚時に、投資用物件を売却するかどうかで迷うかもしれません。そのまま所有しているとトラブルの原因になることがあります。

例えば、夫婦でペアローンを組んでいる場合、支払いが滞ると、いずれ物件が差し押さえられ競売にかけられる可能性があります。

また、夫がローンの契約者で妻が連帯保証人であるケースでは、夫が滞納すると連帯保証人の妻に支払い義務が生じます。

このように後々のトラブルにつながる可能性があります。離婚を機に売却すれば、すぐに現金化でき、いらぬトラブルを防げるかもしれません。話し合いを通じて総合的に判断しましょう。

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コラム監修

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伊藤幸弘

資格

宅地建物取引主任者・賃貸不動産経営管理士・FP技能士・公認 不動産コンサルティングマスター・投資不動産取引士・競売不動産取扱主任者・日本不動産仲裁機構ADR調停人

書籍

『投資ワンルームマンションをはじめて売却する方に必ず読んでほしい成功法則』


『マンション投資IQアップの法則 ~なんとなく投資用マンションを所有している君へ~』

プロフィール

2002年から中古投資マンションを専門に取引を行う。
2014年より株式会社TOCHU(とうちゅう)を設立し現在にいたる。

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