投資マンション失敗
マンションオーナーは儲からない!?マンション経営を改善する方法とは?
マンション投資を検討する際には、収益のしくみをしっかりと理解することが大切です。思うように収益が上がらない場合の対策なども解説します。
目次
マンションオーナーの儲けのしくみ
マンション投資の利益は、おもに賃料による収入と、固定資産税・管理費・修繕費用などの支出の差額により得られます。ローンを組む場合は、その返済金額も支出に含まれます。また、物件を売却する際の価格と購入価格の差額からも利益(あるいは損失)が生じます。支出よりも収入が大きければ儲かる、というシンプルなしくみです。
マンションオーナーの収支シミュレーション
儲かるタイプ
収入が支出を大きく上回る物件は、「儲かるマンション」と言えるでしょう。投資用マンションの場合、長期にわたり保有すると家賃が減少する、あるいは修繕費が増大するなど、現状よりも収支が悪化する可能性を視野に入れて計画を立てることが大切です。余裕を持った返済比率にしておくことが成功の鍵で、1.5倍程度が理想的といわれます。
たとえば以下のようなマンションであれば、「儲かるマンション」のタイプに該当します。
価格:2200万円
ローン:1800万円
返済期間:35年
金利:1.6%
家賃:80,000円
管理費・修繕積立金:10,800円
収支例
収入/月 支出/月 収支/月
購入時 80,000円 66,799円 13,201円
5年後 78,000円 67,799円 10,201円
10年後 76,500円 70,799円 5,701円
時間が経つごとに家賃が下がり、管理費などの支出が増えていますが、10年後にもプラスの収支を維持できています。
儲からないタイプ
先ほどとは逆に、収入がわずかに支出を上回る程度では、長期的には収支がマイナスに転じるリスクが高いと言えます。大切なのは、長期的に見ても利益が出る設定となっていることです。
以下では、儲からないタイプの物件の収支例をご紹介します。
価格:2200万円
ローン:2200万円
返済期間:35年
金利:1.6%
家賃:80,000円
管理費・修繕積立金:10,800円
収支例
収入/月 支出/月 収支/月
購入時 80,000円 79,243円 757円
5年後 78,000円 80,243円 ▲2,243円
10年後 76,500円 83,243円 ▲6,743円
購入時にはわずかに利益が出ていますが、家賃の値下げや管理費の値上げにより、数年経つと収支はマイナスとなっています。時間が経つほど、損は広がる点にも注意が必要です。
ファイナンシャル・プランナーによる
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マンションオーナーの収入
家賃のほかにも、礼金や更新料などがオーナーの収入となります。ただし、近年では礼金を受け取れないケースも増えています。更新料は、家賃の1か月分程度が一般的ですが、不動産会社に事務手数料を支払うと、利益として手元に残る金額は多くはありません。家賃を自身で管理している場合は、更新の手続きを忘れがちですので注意しましょう。
マンションオーナーの支出
主に、管理費、修繕費、設備交換費、原状回復費、リフォーム費、賃貸仲介料、集金代行手数料などがあります。管理の形態によって、費用の項目は異なります。リフォーム費などの設備費用は、オーナー自身では正確に想定することが困難です。不動産会社にあらかじめ確認しておきましょう。
マンションオーナーが儲けを出すためのポイント
キャッシュフローをプラスにする
余裕をもった返済比率を設定し、投資した自己資金の利回りを高めることが大切です。また、不測の事態に備え、利益を留保しておきましょう。十分な資金があれば、ローンの繰り上げ返済で収支をさらに改善することも可能です。あるいは、別の物件の購入の頭金にあてることもできるでしょう。
価格が下がりづらい立地を見極める
都心、駅近、世帯数が増えているエリアといった立地条件を備えていれば、家賃や売却価格の大きな値下がりを回避できる可能性が高まります。
市場相場の動きに合わせた取引をする
不動産市場は常に変動を続けています。市場トレンドを把握し、相場価格が下がった時に安く購入し、上がった時に高く売却することが大切です。
賃貸需要が安定しているエリアを狙う
空室率が低いエリアのマンションを所有することが、成功の鍵となります。駅の乗降客数の推移や市区町村の人口動態統計なども重要な指標となります。
優秀な不動産会社と取引をする
投資用マンションの経営の成否を左右するのは、良質な情報です。こうした情報に通じている不動産会社と取引しましょう。取引実績の多さのほか、資格を持つ社員が多数所属し、情報を積極的に公開している会社がおすすめです。
長期的な視点で考える
利回りの良さや節税効果なども大切ですが、目先の利益だけで判断することは大きなリスクにつながります。少なくとも5年の枠組みで利益が出るかを判断しましょう。投資用マンションでは、しっかりとした事業計画が非常に大切です。
DCF法などを活用し、予想収入と復帰価格について想定をしておきましょう。
不動産投資の知識を身につける
市場の相場を見極めるには、正しい知識が必要です。このほかに、投資不動産の知識や不動産関連の法律知識、会計知識などが成功を大きく左右します。日頃から情報収集や勉強を心がけましょう。
マンション経営が儲からない場合の対策
一部繰り上げ返済を行う
繰り上げ返済により、返済する総額が少なくなることから、収支を改善する効果が期待されます。購入から繰り上げ返済までの期間が短いほど、総返済額を少なくすることができます。
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マンション経営の経費を削減する
マンション経営にはさまざまな経費がかかることは、すでにご説明したとおりです。一つひとつはそれほど大きな出費に見えなかったとしても、積み重なれば相当な金額になってしまいます。それぞれ、削減が可能なものはないかをしっかりと確認し、交渉を進めましょう。場合によっては、賃貸管理会社を切り替えることも選択肢です。
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利回りの良い物件を買い足す
キャッシュフローがマイナスの場合、利回りの良い物件を追加購入し、複数の所有物件を総合的に見て収支をプラスにするという対策もあります。複数の物件を所有していれば、仮にどれかが空室になってしまっても、家賃収入がゼロになることはなくなり、収入の安定を図れます。
売却する
収支がマイナスの状態が続けば、損は拡大していきます。これまでご紹介してきた対策を講じる時間がない場合などは、売却により損切をするという選択肢もあります。
ファイナンシャル・プランナーによる
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なぜマンションオーナーは儲からないと言われるのか
失敗している人が多いから
投資用マンションの経営の成功率は2割に満たないと言われます。確かに、決して成功率が高いとは言えないのですが、失敗談などの悪い情報ほど広がりやすいという点には注意しましょう。
成功しても他人に話さない
投資に成功しても、他人にはお金の話をしない、という人も多いものです。また、自身の成功体験が必ずしも他人に当てはまるわけではありません。無責任に紹介することは控えるべきだ、と考える人もいます。このため、成功した事例がなかなか可視化されないのです。
リスクが多いから
投資用マンションの経営には、確実性の点でリスクがあります。空室や売却価格および家賃の下落、天災、金利の変動といった要素は特に先の見通しが立てづらいものです。投資から利益を得るには、もちろんある程度のリスクはつきものですが、できる限りリスクを減らしていくことが、成功へとつながります。
あなたのマンション・アパートの価格が分かる
コラム監修
伊藤幸弘
資格
宅地建物取引主任者・賃貸不動産経営管理士・FP技能士・公認 不動産コンサルティングマスター・投資不動産取引士・競売不動産取扱主任者・日本不動産仲裁機構ADR調停人
書籍
『投資ワンルームマンションをはじめて売却する方に必ず読んでほしい成功法則』
プロフィール
2002年から中古投資マンションを専門に取引を行う。
2014年より株式会社TOCHU(とうちゅう)を設立し現在にいたる。