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三為業者の見分け方を解説!実は三為契約はメリットがある?

不動産業者が物件を転売する際は、「第三者のためにする契約」を用いることがあります。

第三者のためにする契約とは、売主から不動産業者へ、不動産業者から買主へ物件が転売される状況において、売主から不動産業者へ所有権が移ったことの登記を省略できる契約です。

三為(さんため)業者とは、第三者のためにする契約を用いて物件を転売する不動産業者を指します。第三者のためにする契約を三為契約と略し、三為業者が三為契約で利益を得る仕組みを三為スキームなどと呼びます。

不動産の売主や買主が三為業者と取引をすると、大きな損失を被るおそれがあります。この記事では、三為業者の見分け方と実はメリットがある可能性について紹介します。

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三為業者とは?違法?合法?

三為契約は三為業者のみが用いる転売方法ではなく、一般の不動産業者が用いることもあります。

三為業者の実態と違法性について紹介します。

三為業者や不動産業者が三為契約を用いる理由

三為業者を含め、不動産業者が三為契約を用いて物件を転売する理由は、主に2つです。

登録免許税を節約するため

物件を転売する際に、売主から不動産業者へ所有権の移転登記を省略できるとともに、その登記に課される登録免許税を節約できるためです。

本来であれば、売主から不動産業者へ所有権が移ったことの登記と、不動産業者から買主へ所有権が移ったことの登記が必要です。

所有権が移ったことを登記することを所有権移転登記と呼び、所有権移転登記には登録免許税が課されます。つまり、不動産業者が物件を転売する際は、2回の所有権移転登記と、2回の登録免許税の納付が必要になるというわけです。

しかし、不動産業者が三為契約により物件を買取りつつ転売すれば、一度不動産業者が所有権を得たにもかかわらず、売主から買主に直接所有権を移すことが可能です。

売主から買主に直接所有権が移ったこととなれば、不動産業者は売主から不動産業者への所有権移転登記を省略できるとともに、同登記に課される登録免許税を節約できます。

三為契約の適用状況 所有権移転登記の回数
不動産業者が三為契約を用いて転売しない場合 売主から不動産業者へ、不動産業者から買主へと所有権が移り、合計2回の所有権移転登記と、合計2回の登録免許税の納付が必要。1回目の所有権移転登記の登録免許税は不動産業者が、2回目の所有権移転登記の登録免許税は買主が負担する。
不動産業者が三為契約を用いて転売する場合 売主から不動産業者へ、不動産業者から買主へと所有権が移るものの、売主から買主への所有権移転登記だけで済み、その登記に課される登録免許税は買主が負担する。

買主が物件の買取額を把握できない

三為業者を含め、不動産業者が三為契約により転売する物件を購入する際は、買主は不動産業者と売買契約を結びます。

そして、その売買契約書には、不動産業者の仕入れ価格、つまり売主から買取った価格が記されていません。記載がされているのは、買主の購入金額のみです。つまり、三為契約を用いて物件を転売する不動産業者からすれば、買主に物件の買取額が知られることがないというわけです。

この状況は、三為契約が用いられる状況に限らず、物件が転売されるすべての状況に該当しますが、買主が物件の買取額を把握できなければ、不動産業者は自由な金額で転売できます。

これを悪用して、三為業者が三為契約を用いて投資用物件を転売する際は、その物件を購入する投資家が借入れできる金額の上限を物件価格に設定することもあります。たとえば、投資家が借入れできる金額の上限が1億円であれば、本来は8,000万円で販売されていた物件であるにもかかわらず、物件価格を1億円にするといった具合です。

投資家が借入れできる金額の上限は、あらかじめ三為業者が銀行から聞き出し、借入れ先の銀行は三為業者が斡旋します。

本来の価格を上回る額で購入した物件は、利回りなどの指標が役に立たず、予定していた事業計画が頓挫し、儲かる投資も儲かりません。

三為業者が仕入資金を用意しなくて済む

通常、不動不動産を仕入れて登記して転売をするためには、一旦売買代金全額を仕入れの際に支払う必要があります。

三為契約の際には買主が支払う費用から残金を支払うことになるので、業者は仕入資金を用意する必要がありません。

仕入の手付金は必要になりますが、残代金の支払いまでの間に、買主を見つけてきて決済を行う。

レバレッジを効かせた、離れ業で事業を運営していますので、元手がいらず急成長が可能なビジネスになっています。

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プロが語る三為契約

伊藤幸弘(株)TOCHU
代表取締役
伊藤幸弘

三為契約というのは、簡単に言うとAさんからBさん、Cさんと所有権が移転していく取引において、本来なら間に入るBさんを除いてAからCに所有権が移る契約を指します。第三者のための契約をBさんがしているという形にして、登記がAからCに直接移ったというような流れにします。

売買契約上はAからB、BからCという流れで契約が行われるんですが、登記自体はAからCに直接移転するんですね。これが三為契約の基本的な仕組みです。

この三為契約が行われる理由として大きいのは、中間のマージンを削減することができるということです。Bさんが不動産を購入すると登記の登録免許税であったり、取得税というものがかかってきます。ただ、三為契約を使うことで、中間のBさんの登記を省略することができ、1回分の登記費用と税金で済むというメリットが生まれるわけです。

特に投資用マンションの取引では、実は8割くらいが三為契約で行われているんですよ。三為契約だと業者側の自己資金があまり必要ないんです。どういうことかというと、Bさんが業者の場合、Aさんから物件を仕入れる時に手付金だけ支払って、その後引き渡しまでの間にCさんを見つけてくるんですね。

残金の決済をするときには、Cさんからお金を受け取って、それをAさんに支払うという流れになります。つまり、Bの立場の業者は自己資金をほとんど使わずに転売ができるというメリットがあるんです。在庫を抱える必要もないし、資金も大きく使わなくていい。手付金さえ払えれば、たくさんの物件を仕入れることができて、レバレッジを効かせた事業展開が可能になるのです。

三為契約は違法ではない?

三為契約や三為業者は違法ではないのか?と思う人もいるようですが、違法ではありません。

三為業者を含め、不動産業者が三為契約を用いる主な理由は、所有権移転登記の回数を減らしつつ登録免許税を節約するためです。しかし、以前は三為契約を用いずとも省略することができました。

その方法は、物件を転売する際に、売主から不動産業者への所有権移転登記を省略するだけです。省略すれば、いったんは売主から不動産業者に所有権が移っているものの、法務局は実態を把握できず、不動産業者に登録免許税が課されません。

この方法は、中間省略登記と呼ばれ、広く活用されました。不動産業者は中間省略登記を行うことによりコストを抑えて物件を転売できました。

ところが、中間省略登記は不動産の権利に関する情報を明確にするために存在する登記制度の理念に反すると法務省からみなされ、不動産登記法が改正されるとともに中間省略登記はできなくなります。

しかし、その後、不動産業者や有識者から以下のような意見が発せられるようになります。

  • 転売に余分なコストがかかるようになった
  • 中間省略登記ができないのは不便ではないか

この事態に対して法務省は、「一定の条件を満たせば可能」との見解を示しました。その一定の条件が第三者のためにする契約、すなわち三為契約です。

よって、三為業者が行う三為契約、もしくは一般の不動産業者が行う三為契約は違法ではありません。

三為契約・三為業者が悪いと言われている理由

伊藤幸弘(株)TOCHU
代表取締役
伊藤幸弘

三為業者が悪く言われる理由として、一番は価格の透明性が低いという点です。例えば、2,000万円が相応な物件があったとして、業者のBが2,000万円で仕入れて、2,100万円とか2,200万円くらいで売るんだったら、それは適切な利益だと思うんですよ。

ところが、悪質な業者の場合、2,000万円で仕入れた物件を3,000万円で売るみたいなことができてしまう。つまり1,000万も上乗せしてしまうわけです。最終的な買主には元々いくらで仕入れたかを開示する必要がないんですね。逆に元々の売主に対しても、あなたから2,000万円で仕入れた物件を3,000万円で売りますとは言わなくていい。

こういった価格の不透明さから、売主は「すごく安く買い叩かれた」、買主は「すごく高く買わされた」と感じてしまい、評判が悪くなるんです。

もう一つ大きな問題として、三為業者は基本的に自己資金があまり必要ない取引なので、極端に安い手付金を払って、第三者が見つからなかったら契約を解除するという、いわゆる手付け流しみたいなことをやってくる業者がいるんです。

これはどういうことかというと、例えば2,000万円の物件に対して、たった10万円くらいの手付金しか払わず、それを放棄するから今回の契約を白紙にしてほしいみたいな話をしてくるんです。本来なら違約金として売買金額の20%を払うような契約があっても、「違約金を払う資金がないので手付金だけ放棄させていただいて終わりにできませんか」という形で逃げてしまう。

こういった行為を繰り返す業者がいるために、三為業者全体の評判が悪くなってしまっているんですね。数年前には結構な数の三為業者が倒産したりしましたが、これは物件の売り先(出口)が見つからなくてスタックしちゃって資金難になったケースもありますし、買主側の融資が組めなくなって取引ができなくなったというケースもありました。

三為業者と仲介業者の違い

三為業者とは、三為契約により物件を転売する不動産業者です。

不動産投資を行う投資家からすれば、三為業者から投資用物件を購入することは、借入れできる金額の上限など、本来の価格とは異なる額で物件を購入するリスクがあります。

一方、仲介業者とは、物件の売却を希望する売主と、購入を希望する買主を仲介する一般的な不動産業者です。

三為契約は違法ではないため、三為契約を用いることにより買主にメリットがあると判断すれば、仲介業者も三為契約で物件を転売することがあります。

三為契約は悪いことばかりではない

伊藤幸弘(株)TOCHU
代表取締役
伊藤幸弘

三為契約には確かにメリットがあります。まず、三為契約に入ることで、そんなに大きな利益を取らなくても取引ができるようになります。高く仕入れて安く売るということが可能になるんですね。

例えば、急ぎの売却希望がある方から物件を仕入れる時なんかは、特に有効です。「この期日までに引き取ってほしい」みたいな要望がある時に、三為契約を使うことで、浮いた諸経費分高く売ることができる。売主さんにとってもメリットがある取引ができるわけです。

三為契約は決して違法な行為ではありません。問題があるものなら、法律で禁止されているはずですよね。でも三為契約は禁止されていない。つまり、ちゃんとしたルールに則って行われる限り、何も問題のない取引なんです。

大事なのは、売主さんにしても買主さんにしても、適正な市場価格を把握しておくことです。三為業者が間に入ったからといって、必ずしも損をするわけではないんです。誰が間に入ろうが、適正な価格で取引ができれば全然問題ない。

むしろ、不動産投資の世界では三為業者さんが主流だったりするんです。我々は仲介として仕入れの方、売主さんの方をやりますが、三為の業者さんは買主の方を斡旋している。そういう意味では、販売している業者さんのほとんどが三為業者なんですよ。

ただし、確かに中には問題のある業者さんもいて、トラブルが起きたりすることで「また三為か」みたいなイメージが付いてしまった。でも、それは三為契約自体の問題というより、一部の悪質な業者の問題だと考えるべきですね。

TOCHU社でも三為契約を活用している?

伊藤幸弘(株)TOCHU
代表取締役
伊藤幸弘

はい、当社でも三為契約を行うケースはあります。例えば、買う方が業者さんで、転売を目的にしているという場合は三為契約をします。

ただし、重要なのは、三為業者さんでもちゃんと信用できるところとだけ取引をするようにしているということです。中には、ローン条項を理由にして白紙解除みたいなことを言ってくる業者もいますが、そういうところとは取引しません。

また、ある程度の期間までを三為にしておいて、売れなかったら買取に切り替えるといった契約も可能です。我々は基本的に登記を入れますし、「買う」と言ったら買います。プロの不動産会社としては、みっともないことはできませんからね。

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三為業者の見分け方

三為業者が転売する物件は、本来より大幅に高額である可能性があります。

物件を購入する際は、売主が三為業者であるか見分ける必要があり、特に不動産投資を希望する投資家であれば、三為業者の見分け方は心得ておかなければなりません。

売買契約を急がせる

悪質な三為業者の見分け方にはさまざまな方法がありますが、見分け方として最も簡単で有効なのは、不動産業者が売買契約に臨む姿勢を確認することです。

悪質な三為業者を含め、不正な取引を行う不動産業者は、売買契約を急がせる傾向があります。

不正な取引を行う不動産業者が売買契約を急がせるのは、不正の発覚をおそれることが理由です。

よって、物件の購入を希望しつつ不動産業者が売買契約を急がせる場合は、三為業者ではないか慎重に見分ける必要があります。

ただし、物件が好条件で他に購入希望者が存在する物件は、不正が行われていなくとも、不動産業者が売買契約を急がせることがあるため留意してください。引き合いが多い物件は、売買契約を急がされるのが通例です。

売買契約書の特約事項を確認する

悪質な三為業者の見分け方として、売買契約書の特約事項を確認するという見分け方があります。

三為業者など、不動産業者が三為契約を用いて転売する物件を購入する際は、売買契約書の特約事項にその旨が記されています。

記述方法はさまさまですが、以下のような特約がある場合は、三為契約により転売される物件であるとお考えください。

  • 乙は丙に甲の物件を売却し、丙は乙に代金を支払う
  • 乙の丙に対する所有権移転債務は甲が履行し、所有権は甲から丙に直接移転する

上記の記述において、甲は物件の売主、乙は三為業者などの不動産業者、丙は買主であり、わかりやすく書き改めると以下のようになります。

  • 不動産業者は買主に物件を売却し、買主は不動産業者に代金を支払う
  • 不動産業者が果たすべき物件の所有権を買主へ移すことの義務は、売主が果たすこととする。それにより、物件の所有権は売主から買主へ直接移る

売買契約書の特約事項に三為契約であることの記述がある場合は、その物件の売主は不正な転売を行う三為業者かもしれません。

この三為業者の見分け方を実践するためには、売買契約の締結日より前に、不動産業者から売買契約書のコピーを入手し、内容を熟読しておくのが理想です。

なお、三為契約は、三為業者だけではなく一般の不動産業者も用いることがあります。よって、売買契約書の特約事項に三為契約である旨が記されていたとしても、その物件の売主が、不正な転売を行う三為業者とは限らないため留意してください。

登記情報を確認しつつ物件の所有者を把握する

難易度が高い見分け方ですが、登記情報を確認しつつ物件の所有者を把握するという方法があります。

不動産業者が三為契約を用いて転売する物件を購入する状況において、売買契約は不動産業者と結びますが、物件の所有者は第三者です。そのため、購入する物件の所有者を調査すれば、不動産業者が三為契約により転売する物件か判断できます。

物件の所有者が第三者の場合は、その物件の売主は不正な転売を行う三為業者かもしれません。購入する物件の所有者は、「登記事項情報提供サービス」にて登記情報を見れば確認できます。

具体的には、「不動産登記情報(全部事項)」の「権利部(甲区)」を見ます。「権利部(甲区)」には物件の所有者が記され、所有者が第三者の場合は、三為契約により転売されると考えられます。

なお、不動産投資を行う投資家であれば、「不動産登記情報(全部事項)」に記されている「権利部(乙)」にも注目すべきです。「権利部(乙)」には「原因」という名目で、その物件の所有者が、いつどのようにして物件の購入資金を借入れたか記されています。

さらに、「権利部(乙)」には「債権額」という名目で、物件を購入するために、所有者がどれくらいの資金を借入れたかも記されています。

不動産登記情報の項目 記されている内容
「権利部(乙区)」の「原因」 その物件の所有者が、いつどのようにして物件の購入資金を借入れたか
「権利部(乙区)」の「債権額」 物件を購入するために、所有者がどれくらいの資金を借入れたか

この2つの情報からは、三為契約で転売される物件であれば、不動産業者の仕入れ値を察することができます。

たとえば、所有者が10年前に5,000万円を借入れつつ物件を購入している場合は、所有期間である10年の間に、毎年100万円ずつ合計1,000万円を返済したなどと考えます。

そうであれば、5,000万円から1,000万円を差引いた4,000万円が残債の状態で、不動産業者は物件を仕入れたはずです。残債が4,000万円の状態の物件を不動産業者が仕入れたのであれば、買取額は、少なくとも4,000万円であったと考えられます。

不動産業者が4,000万円で仕入れた物件を転売するのであれば、最低でも4,000万円以上で売却したいと考えるはずであり、4,000万円を指標として指値をすれば、価格交渉を有利に進められるかもしれません。

また、その物件の適正価格は、4,000万円であると考えることもできます。不動産投資を行う投資家であれば、三為業者であるかを見分けるためだけではなく、指値や適正価格を判断するためにも、購入を希望する物件の登記情報を確認するのが理想です。

プロが教える。三為業者だと気付くポイント

伊藤幸弘(株)TOCHU
代表取締役
伊藤幸弘

三為業者かどうか、まず注意した方がいいのは、会社の歴史が浅くて、社員の人数も少なくて、資本金も少ない会社。要するに、信用がない会社ということです。

売却する際の手付金の扱い方にも注意が必要です。例えば、価格が2,000万円の物件なのに、手付金が10万円と極端に低い。そういう業者は要注意です。

契約に臨む時も、「引き渡し期間を6カ月にしてくれ」とか、長すぎる設定を求めてくる業者はそもそも相手にしない方がいいですね。

もし疑問があれば、仲介してくれる業者やその業者さんに直接「これは三為なのか」って聞いてください。三為じゃないって言ったら嘘になりますから、正直に答えてくれるはずです。三為の可能性がありますって言われたら、それは三為だと考えていいでしょう。

また、契約書の条文を見れば三為かどうかはわかります。「第三者のための契約」って書いてあります。

結局のところ、悪い三為業者は商品として仕入れてるっていう意識が強すぎるんです。自分たちの都合だけで動いて、売主や買主のことを考えてない。そういう業者さんは避けた方がいいですね。

消費者が三為行為かどうかを心配する必要はない

伊藤幸弘(株)TOCHU
代表取締役
伊藤幸弘

基本的に、物件が三為で売られているのかどうかは、登記の名義人を調べればわかります。ただし、私が思私が思うのは、三為であろうがなかろうが、売主にはそんなに影響はないということです。

問題になるのは、例えば買主さんが急にいなくなってしまったり、間に入る三為業者さんと連絡が取れなくなって手付金が返ってこないとか、そういった別の問題です。純粋に取引する分には全然問題ないんです。

業者を見極めるポイントとしては、しっかりとした情報を掴むことが大切です。最近は極端に価格を上乗せする会社さんは少なくなってきていて、出口のローンの評価額も大体決まっているので、そういった悪質な商売は難しくなってきています。

ただ、三為業者に対する誤解やイメージの悪さは依然としてありますね。これは不動産業界全体のイメージにも関わってくる問題で、例えば「不動産屋が安く叩いて高く売る」というイメージが「三為」と結びついてしまっているのではないでしょうか。

でも、そうじゃないんです。三為契約自体は正当な取引手法の一つで、むしろ効率的な取引を可能にする面もある。大事なのは、業者の信頼性をしっかり見極めること。そして、適正な市場価格をきちんと把握した上で取引を進めることです。

結局のところ、三為業者というだけで判断するのではなく、その業者がどういう取引実績を持っていて、どういう対応をしてくれるのか、そういった点をしっかり見ていくことが重要だと思います。

三為契約の特約の参考例

一般的には下記のような特約の条文が使用されます。

[所有権移転及び引渡しの特約条項]

(所有権移転先及び移転時期)

1 買主は、本物件の所有権の移転先となる者(買主を含む)を指定するものとし、売主は、本物件の所有権を買主の指定する者に対し買主の指定及び売買代金全額の支払いを条件として直接移転することとします。

(所有権留保)

2 売買代金全額を支払った後であっても、買主が買主自身を本物件の所有権の移転先に改めて書面をもって指定しない限り、買主に本物件の所有権は移転しないものとします。

(受益の意思表示の受領委託)

3 売主は、移転先に指定された者が売主に対してする「本物件の所有権の移転を受ける旨の意思表示」の受領権限を買主に与えます。

(買主の移転債務の履行の引受け)

4 買主以外の者に本物件の所有権を移転させるときは、売主は、買主がその者に対して負う所有権の移転債務を履行するために、その者に本物件の所有権を直接移転するものとします。

三為業者にはメリットもある?

三為業者は、本来より投資用物件を高額で売却するなど、不正な転売を行うことがありますが、三為業者を利用することによるメリットもあります。

相場より安く物件を購入できることがある

三為業者は三為契約を用いて物件を転売するだけに、一般の不動産業者より安く物件を仕入れるなど、買取手法に長けています。

そのため、三為業者が転売する物件は、交渉次第で相場より安く購入できる可能性があります。ただし、相場より安く購入できる物件は、相応の理由が隠れていることがあるため注意してください。

たとえば、投資用物件であれば、立地条件が悪く空室率が高く、高額な費用を要する設備投資を行わなければ入居率が上がらないなどが考えられます。

購入から2年にわたり契約不適合責任を追及できる

民法の第五百六十二条「買主の追完請求権」により、契約を結びつつ売買した物品の品質が契約の内容に適合しない場合は、買主は売主に修補や代金の減額を請求する権利を有します。

この買主が有する権利を追完請求権と呼び、買主が追完請求権を行使しつつ修補などを請求した場合は、売主は応じる責任を負います。その売主が負う責任を契約不適合責任と呼びます。

しかし、売主が契約不適合責任を負うのは、永久ではありません。

売買契約書に「物件が引き渡された日から2週間に限り、売主は契約不適合責任を追う」との特約があり、買主がその記述に納得しつつ売買契約を結んだ場合は、売主が契約不適合責任を負うのは2週間のみです。

また、売買契約書に「売主は契約不適合責任を負わない」との特約があり、買主がその内容に合意しつつ売買契約を締結した場合は、売主は契約不適合責任を免れます。

つまり、契約内容によっては、売主は契約不適合責任を負う期間を短くする、または契約不適合責任自体を免れるなどの特約が認められるというわけです。

しかし、物件の売主が宅地建物取引業者の場合は認められません。宅地建物取引業者とは、三為業者を含む不動産業者です。

宅地建物取引業法の第四十条「担保責任についての特約の制限」により、売主が宅地建物取引業者の場合は、物件が引き渡された日から2年以上は契約不適合責任を負うと規定されています。

三為業者が三為契約により転売する物件を購入する場合、その売主は三為業者、すなわち宅地建物取引業者です。よって、三為業者が転売する物件を購入すれば、最低でも2年間は、追完請求権を行使しつつ修補や代金の減額を請求できます。

高額な融資を引き出せる可能性がある

三為業者が投資用物件を転売する際は、あらかじめ銀行から投資家の借入限度額を聞き出します。それが物件の価値を大きく上回る額であっても、限度額を物件価格に設定することがあります。

不動産投資を行う投資家にとって、この状況は好ましくありませんが、裏を返せば、三為業者には投資家に多くの額を借入れさせる能力があるということです。

そのため、三為業者を上手に利用すれば、オーバーローンやフルローンなど、銀行から高額な融資を引き出せる可能性があります。

しかし、本来の価値を大きく上回る額で物件を売却するなど、不正な転売を行う三為業者を利用することには大きなリスクがあります。

国土交通省が公開する資料「令和2年度 宅地建物取引業法の施行状況調査結果について」によれば、国土交通省、または都道府県知事が行った不動産業者への監督処分と勧告の合計は、令和元年度、2年度ともに782件と多数でありました。

不動産売買を希望する際は、不正な転売を行う可能性がある三為業者などではなく、実績があり、信頼のできる不動産業者に取引を依頼すべきです。特に、不動産投資を行う投資家であれば、あらゆるリスクを想定しつつ対策を用意しておくというリスクマネージメントが欠かせません。

実績があり、信頼のできる不動産業者に取引を依頼することは、最高のリスクマネージメントになります。

三為取引にはメリットもある

伊藤幸弘(株)TOCHU
代表取締役
伊藤幸弘

三為は悪いことばかりではありません。三為だから高く売れるというケースもあります。

一般的な買取再販で転売しようとすると、ワンルームマンション1件あたり、登記費用やローンの設定費用などで大体100万円ぐらいの経費が発生するんです。三為にすることで、その100万円を払わずに、売買金額に上乗せして売却することができれば、売主にとっては高く売れたことになります。

「まずは三為で売りに出して、それで決まらなければ、諸費用分マイナスした価格で当社が買い取ります」という三為業者だったら、とても良心的な会社だと思います。

上場企業でも三為をしてる会社はあります。彼らは金がないわけじゃないんです。その費用を浮かせて高く買い取るために三為を利用してるだけなんです。

三為は必ずしも悪いものではありません。ユーザーにとっては中間マージンが少なくなるわけですから。

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コラム監修

コラム監修

伊藤 幸弘(いとう ゆきひろ)
株式会社TOCHU(トウチュウ)代表取締役
投資マンション専門家/不動産コンサルタント

プロフィール

2002年より投資用中古ワンルームマンション売買のキャリアをスタート。
20年以上にわたり投資マンション市場に携わり、売主・買主双方のリアルな課題解決を通じて、個人投資家の資産形成をサポートしてきた。
2014年に株式会社東・仲(現:株式会社TOCHU)を設立。
投資用中古ワンルームマンションを中心とした売買仲介・買取事業を展開し、これまでの取扱実績は20,000件以上。
現在、会社には年間7,000件以上の投資マンション売却・不動産投資に関する相談 が寄せられており、多くの投資家の売却戦略や資産運用をサポートしている。
2025年には業界初となる価格透明化サービス 「TOCHU iBuyer」 を展開。
中古投資マンション市場の価格不透明性を解消し、投資家が適正価格で売却できる仕組みづくりを推進している。
「誠実な取引こそが市場の信頼をつくる」という理念のもと、 投資マンション市場の健全な発展を目指して活動している。

専門分野

・投資マンション売却
・投資マンション買取
・オーナーチェンジ物件売却
・不動産投資コンサルティング

メディア掲載・業界実績

投資マンション売却・不動産投資の専門家として、各種メディアや業界媒体で紹介されている。
・NHKにて不動産市場に関する取材
・「住宅新報」にてTOCHU iBuyerが紹介
・「リフォーム産業新聞」にて企業取り組みが掲載
・不動産業界メディア「リビンマガジンBiz」にてサービス紹介
・不動産オーナー向け専門誌「月刊 地主と家主」に書籍が掲載
・ERA LIXIL不動産ショップ全国大会にて成績優秀により複数回受賞。
・不動産業界団体 投資不動産流通協会 の会員として研修・研究活動に参加。
・JAPAN BUILD 「不動産テックEXPO」 のセミナー登壇
不動産取引のデジタル化・透明化に向けた取り組みを発信している。

保有資格

・公認 不動産コンサルティングマスター
・宅地建物取引士
・ファイナンシャル・プランニング技能士
・賃貸不動産経営管理士
・投資不動産取引士
・競売不動産取扱主任者
・日本不動産仲裁機構 認定ADR調停人

著書・実績

『投資ワンルームマンションをはじめて売却する方に必ず読んでほしい成功法則』(クロスメディア・パブリッシング)

『マンション投資IQアップの法則 〜なんとなく投資用マンションを所有している君へ〜』(CHICORA BOOKS)

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