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「サブリースは危ない」というのは本当? 注意すべきポイントとは

不動産投資の世界では、一時期「サブリースで安定収入」というキャッチフレーズが飛び交い、多くの投資家の注目を集めました。しかし近年、「サブリースは危ない」という声も聞かれるようになってきました。本当にサブリースは危険なのでしょうか。
サブリースの基本的な仕組みから最近の法改正、そして注意すべきポイントまで、幅広く解説していきます。
目次
サブリースとは:基本的な仕組みと特徴
不動産投資の方法は様々ありますが、サブリースはその中でもユニークな特徴を持っています。サブリースの基本的な仕組みと、従来の賃貸経営との違いについて詳しく見ていきましょう。
サブリースの定義と目的
サブリースとは、不動産オーナーが自身の物件を不動産管理会社(サブリース会社)に一括して賃貸し、その会社が入居者に転貸する仕組みです。この方式の主な目的は、オーナーの管理負担を軽減し、安定した賃料収入を確保することにあります。
通常の賃貸経営では、オーナーが直接入居者とやり取りをしたり、空室対策に頭を悩ませたりする必要がありますが、サブリースではこれらの業務をサブリース会社が担当します。オーナーにとっては、不動産経営の煩わしさから解放されるメリットがあるのです。
サブリース契約の種類
サブリース契約には主に二つの種類があります。それぞれの特徴を理解することで、自分に適した契約タイプを選択することができます。
賃料保証型
賃料保証型は、入居状況に関わらず、サブリース会社がオーナーに対して一定額の賃料を保証する契約形態です。空室リスクをサブリース会社が負うため、オーナーにとっては安定した収入が見込めます。
たとえば、月額賃料20万円の物件で、サブリース会社が18万円の保証賃料を提示したとします。この場合、実際の入居状況に関わらず、オーナーは毎月18万円の収入を得ることができます。景気変動や季節的な需要の波に左右されにくいため、安定志向のオーナーに人気があります。
実績連動型
実績連動型は、実際の入居状況や賃料収入に応じて、オーナーへの支払い額が変動する契約形態です。空室リスクをオーナーも負うため、賃料保証型と比べて支払い額が高くなる可能性がありますが、好条件での入居があれば収益も増加します。
たとえば、サブリース会社が集めた賃料から一定の管理手数料(例:15%)を差し引いた金額がオーナーに支払われる形式です。入居率が高ければオーナーの収入も増えますが、空室が続けば収入が減少するリスクもあります。
この契約形態は、物件の魅力度が高く、安定した需要が見込める場合に有利となります。また、不動産市場の上昇トレンドを活かしたい積極的なオーナーにも適しています。
一般的な賃貸経営との違い
サブリースと一般的な賃貸経営の主な違いは、リスクの所在と管理の主体にあります。サブリースでは、多くの場合、空室リスクや賃料滞納リスクをサブリース会社が負います。一方、一般的な賃貸経営では、これらのリスクはオーナーが負うことになります。
また、管理面でも大きな違いがあります。一般的な賃貸経営では、オーナーが入居者の募集や日々の管理業務を行うか、管理会社に委託する必要があります。サブリースの場合、これらの業務はすべてサブリース会社が担当します。
ただし、この違いは両刃の剣となる可能性があります。サブリースでは管理の手間が省ける反面、物件の運営に関する決定権が制限されることもあるからです。たとえば、入居者の選定や賃料の設定などにオーナーの意向が反映されにくくなる可能性があります。
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サブリースが危ないといわれる理由
不動産投資の世界で注目を集めるサブリース。一見魅力的な収益機会に思えるこの手法ですが、実は多くのリスクが潜んでいます。「ノーリスク・ハイリターン」をうたう業者の甘い言葉に惑わされず、その裏側にある危険性を知ることが重要です。なぜサブリースが危険視されているのか、その理由を詳しく見ていきましょう。
家賃が下がる可能性がある
「30年一括借り上げ」などのセールストークでサブリース契約を決める方も多いようですが、「契約してしまえば安心」というわけにはいきません。物件は築年数が経つごとに劣化し、これにあわせて家賃も下がっていくため、サブリース会社から減額交渉を持ちかけられる可能性は否定できません。サブリース会社は、借地借家法により入居者と見なされ、交渉する権利を持っています。
サブリースを利用する場合に限ったことではありませんが、不動産投資においては、「家賃が下がらない」という前提のもとに立てられた収益計画は、あまりに楽観的で大きなリスクがあるのです。
関連記事:サブリースの減額は拒否できない!?家賃減額の回避の方法について
業者からの解約が可能である
契約で定める予告期間(通常は数か月程度)を守っていれば、サブリース会社がサブリース契約を解約することは原則として可能です。前述の通り、入居者と見なされるサブリース業者から解約の申し出がある場合に、オーナーが引き留めることはできません。
サブリース契約の締結時に、「オーナーがローンを完済するまでは解約しませんよ」といったことをサブリース会社の担当者がいうこともあるようですが、これをそのまま信じてしまうのは危険です。
費用負担が大きい
サブリース契約をしていても、原状回復のためのリフォーム費用、設備交換費、水回りなどのトラブル対応費などは一般的にオーナーが負担する必要があります。「サブリース契約をした後は、オーナーには何の負担もない」と考えていませんか? 実際には、築年数が経つほどに、想定外の支出が増えていきます。
関連記事:サブリースの原状回復費用は誰が負担する!?費用負担の内容とは
収入が少なくなる
サブリース会社への手数料として、家賃の20%程度を支払う必要があります。礼金や更新料などもオーナーではなくサブリース会社の収入となるため、サブリース契約をしない場合に比べ、利益は少なくなってしまいます。
サブリース会社が倒産する
サブリース契約をすれば、入居者からの家賃滞納についての不安はなくなります。しかし、サブリース会社の経営が悪化し、最悪の場合は倒産してしまうこともあります。サブリース会社からオーナーへの家賃の送金が遅れる、担当者に連絡してもなかなか返事がない、といったことが目立つようになると、オーナーとしては注意しておく必要があります。
入居者を選べない
入居者の選定を行うのは、オーナーではなくサブリース会社です。会社によっては入居審査が甘く、家賃の滞納や住民間のトラブルを引き起こす人物が入居する可能性もあります。入居者が設備を破損してしまった場合などは、オーナーが修繕費を払う必要が生じ、想定外の出費を招くことになります。
利回りを操作される
物件を購入する際、利回りをよく見せるために、高額でサブリースをすることもあります。持ち出しになると購入者がつかず、金融機関の評価額が低くなります。希望する販売価格で売れないため、賃料が逆ざやでも販売する業者がいるのです。
免責期間が設定されている
多くのサブリース契約では、免責期間が設定されています。これは「空室が発生したあと〇日間は家賃を支払わない」というもので、この期間中はオーナーには家賃が入りません。入居者の退去時の1~2か月程度を、入替のための免責期間とする例が多いようです。契約時には、このような項目もしっかりと確認することが大切です。
オーナーからの解約を認めないサブリース会社も
サブリース契約を解約したいとオーナーが考えても、サブリース会社がこれを認めない事例が多くあります。借地借家法による判例などを根拠として、入居者としての権利を主張する会社もあるようです。近年、サブリース会社の競争状況も熾烈化しています。このため、サブリース会社としても一度締結した契約の解除は簡単には認めたがらず、なかなか解約できないという事例も増えているようです。
サブリース契約を解約できないと売却価格が下がる
前述の通り、サブリース契約の解除は難航することが多くあります。「オーナーが物件を売却するからといって、サブリース契約の解除の正当な理由にはならない」と主張するサブリース会社もあります。契約を解除できない場合、オーナーチェンジ物件として売却し、サブリース契約は引き継ぐことになります。
サブリースの場合、家賃利回りが下がるため、売却価格にもこれが反映されてしまうことに注意しましょう。
サブリース契約において注意すべきポイント
長期的な視点で自身の資産を守るためには、契約内容を詳細に吟味し、潜在的なリスクを理解することが不可欠です。サブリース契約を結ぶ際に特に注意を払うべきポイントについて解説していきます。
セールストークは冷静に分析する
「一括借り上げ」「家賃の値下げなし」などのセールストークについては、根拠がないことも多い点に注意しましょう。こうした提案を持ちかけられた場合、どのような根拠があるかを営業担当者に確認します。根拠がない提案を持ちかける業者を信頼してはいけません。自分で判断ができない場合は、即決するのではなく別の業者に話を聞くなど、幅広い視野で判断することが大切です。
契約内容を理解する
オーナーにとって不利な条文がないか、しっかりと確認しましょう。特に、解約や内装費用の負担などは要注意です。オーナーにとって不利な場合は、修正に応じてもらえるよう交渉しましょう。修正ができない場合、慌ててそのサブリース会社と契約する必要はありません。さまざまな業者があるため、条件を吟味して選択しましょう。
賃貸管理業者の登録を調べる
賃貸住宅の管理業者には、国土交通省による登録制度が整備されています。サブリース業者も対象となるため、業者が信頼できるかどうかを判断するために、この制度を活用しても良いでしょう。
サブリースが必要な物件か
空室リスクの少ないエリアにある物件なら、サブリース契約をせずとも安定した家賃収入を見込めるかもしれません。所有する物件の立地などの条件を総合的に評価し、どの程度競争力があるのかを判断しましょう。競争力の高い物件なら、あえてサブリース契約をして利益を減らす必要はないかもしれません。また、売却する予定がある場合なども、サブリース契約をしてしまうと、解約で手間取る可能性があります。このようなプランも踏まえて、サブリース契約をするかどうかを決定しましょう。
「サブリースは危ない」といわれる具体的な事例
「サブリースは危ない」といわれる事例を通じて、サブリースの隠れたリスクと落とし穴を明らかにしていきます。
サブリースの解約で売却が白紙
サブリース契約していた物件を売却することを決めたAさんは、サブリース会社との粘り強い交渉の結果、解約の合意に至ることができました。しかし、物件の売買契約締結後、引き渡しの直前に、サブリース会社の担当者が退職してしまいます。ほどなく、サブリース会社から解約は認められない、と連絡を受けることになりました。
その担当者を信用して、解約について正式な書面で合意書を作成していなかったため、新しい担当者との交渉は一向に進みません。これに時間がかかってしまい、売買契約の買主から、物件の購入は白紙にしたいと言い渡されてしまいました。サブリース契約を継承する場合、物件の利回りが悪くなってしまうことなどから、買主は購入を踏みとどまったようでした。
サブリース契約の解約に合意した場合は、速やかに書面やメールなどで履歴を残すことが大切です。
サブリースの減額交渉で収支が悪化
購入した物件について、10万円で5年間のサブリース契約を締結していたBさん。ある日、「収支が悪化しているため、サブリース賃料を改定したい」とサブリース会社から連絡を受けます。もともとは相場が9万円の部屋でしたが、購入時に収支を良くするために10万円でサブリース契約を約束していたものを、サブリース会社は7.5万円に値下げしたいといいます。
収支プランが大きく変わってしまうため、この値下げについては拒否したBさんでしたが、サブリース会社は解約を申請してきました。実は、物件には入居者がつかず、長期間にわたって空室が続いていたようです。その後、現在の相場である8.5万円で物件の運営を続けているBさんですが、もともとの家賃の10万円で収支計画を立てていたため、毎月の収支は赤字になってしまいました。
サブリース会社の選び方
サブリーストラブルを避けるためには、信頼できるサブリース会社を選ぶことが極めて重要です。サブリース会社を選ぶ際に注目すべき3つの重要なポイントについて詳しく解説していきます。
会社の財務状況と実績
サブリース会社を選ぶ際は、その会社の財務状況と実績を十分に調査することが重要です。財務状況が健全で、長年の実績がある会社を選ぶことで、突然の経営破綻などのリスクを低減することができます。
上場企業の場合は、有価証券報告書を確認することで詳細な財務情報を入手することができます。売上高、営業利益、純利益などの基本的な財務指標に加え、自己資本比率や流動比率なども重要なチェックポイントとなります。
非上場企業の場合は、財務情報の入手がやや困難になりますが、可能な限り情報を集めるよう努めましょう。会社案内やウェブサイトに掲載されている情報、業界紙の記事なども参考になります。
また、サブリース事業の実績年数や管理物件数なども重要な判断材料となります。ただし、急激に事業を拡大している場合は注意が必要です。過度な拡大は財務面でのリスクを高める可能性があるからです。
契約内容の透明性
契約内容が明確で透明性が高いかどうかも、サブリース会社を選ぶ上で重要なポイントです。不透明な契約は将来のトラブルの種となる可能性が高いため、以下の点について特に注意深く確認する必要があります。
まず、賃料の見直し条件が明確に定められているかどうかをチェックしましょう。多くのサブリース契約では、数年ごとに賃料の見直しが行われますが、その条件や方法が曖昧だと、将来的に不利な条件を押し付けられる可能性があります。たとえば、「市場の状況に応じて」という曖昧な表現ではなく、具体的な指標(消費者物価指数の変動率など)に基づいて見直しが行われることが明記されているかどうかを確認しましょう。
次に、契約期間と解約条件についても詳細に確認する必要があります。一般的なサブリース契約の期間は10年から30年程度ですが、その間にオーナー側から解約する場合のペナルティや条件が明確に定められているかどうかをチェックしましょう。
物件の修繕や設備更新に関する責任分担についても、契約書に明確に記載されているかどうかを確認しましょう。大規模修繕や設備の更新費用をどちらが負担するのか、日常的な修繕の範囲はどこまでかなど、具体的な取り決めがあることが重要です。
透明性の高い契約を提示する会社は、オーナーとの長期的な信頼関係を重視していると考えられます。逆に、不明瞭な点が多い契約を提示する会社は避けるべきでしょう。
オーナーへのサポート体制
優良なサブリース会社は、単に物件を借り上げるだけでなく、オーナーに対して充実したサポートを提供します。このサポート体制の質と範囲は、サブリース会社を選ぶ際の重要な判断基準となります。
まず、定期的な物件の状況報告が行われるかどうかをチェックしましょう。月次や四半期ごとの報告書で、入居率、賃料収入、経費の詳細などが明確に示されることが望ましいです。これにより、オーナーは自身の物件の運営状況を常に把握することができます。
次に、修繕計画の提案や実施状況の報告が適切に行われるかどうかも重要です。長期的な視点で物件の価値を維持・向上させるためには、計画的な修繕が不可欠です。優良なサブリース会社は、5年、10年といった長期的な修繕計画を提案し、その実施状況を定期的に報告します。
さらに、税務相談や相続対策などの専門的なアドバイスを提供してくれるかどうかも、サポート体制を評価する上で重要なポイントです。不動産経営に関わる税制は複雑で、頻繁に改正されます。これらの情報を適時に提供し、オーナーの資産運用に役立つアドバイスを行ってくれる会社は高く評価できます。
入居者とのトラブル対応や、緊急時の24時間サポート体制なども、重要なサービスの一つです。これらのサービスにより、オーナーは煩わしい管理業務から解放され、安心して資産運用に専念することができます。
サブリース新法の概要と影響
サブリース事業を取り巻く環境は、近年大きな変化を遂げています。その中でも特に注目すべきは、2021年6月に施行された「賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律」、通称「サブリース新法」です。この法律は、サブリース業界に大きな影響を与えており、オーナーにとっても重要な意味を持っています。
法律の目的と主な規制内容
サブリース新法の主な目的は、サブリース事業の適正化を図り、オーナーの権利を保護することにあります。この法律が制定された背景には、一部のサブリース会社による不適切な勧誘や、誇大広告などの問題が社会問題化したことがあります。
サブリース新法の主な規制内容には以下のようなものが含まれます。
- 誇大広告の禁止
- 不当な勧誘行為の禁止
- 重要事項説明の義務化
誇大広告の禁止は、「絶対に損をしない」「30年間の賃料保証」といった根拠のない宣伝を規制するもので、オーナーが正確な情報に基づいて判断できるようにすることを目的としています。また、チラシやテレビCMだけでなく、SNSやウェブページなども規制の対象になっています。
不当な勧誘行為の禁止に、サブリース契約における将来的な家賃減額の可能性や、サブリース業者からの契約解除のリスクなどをきちんと説明し泣けば不当な勧誘行為と見なされることになりました。これにより、オーナーが十分な検討を行わないまま契約を結ばされるような事態を防ぐことができます。
重要事項説明の義務化は、契約締結前に、サブリース業者がオーナーに対して、契約内容や将来のリスクなどについて詳細に説明することを義務付けるものです。これにより、オーナーは契約の内容とリスクを十分に理解した上で、判断を下すことができるようになりました。
新法施行後の変化
サブリース新法の施行後、業界にはいくつかの顕著な変化が見られます。
まず、サブリース業界全体の透明性が向上しました。登録制度の導入により、業者の情報が公開されるようになり、オーナーが業者を選ぶ際の判断材料が増えました。また、重要事項説明の義務化により、契約内容やリスクについてより詳細な情報が提供されるようになりました。
次に、悪質な業者の排除が進んでいます。登録要件を満たせない業者や、不適切な勧誘を行う業者が市場から退出する動きが見られます。これにより、業界全体の信頼性が向上することが期待されています。
一方で、規制強化により新規参入のハードルが上がり、業界の寡占化が進む可能性も指摘されています。大手企業がシェアを拡大し、中小業者が淘汰されていく傾向が見られます。これは、オーナーにとっては選択肢が減少するというデメリットにもなりかねません。
しかし総じて、サブリース新法の施行は、オーナーの権利保護とサブリース事業の健全化に大きく寄与していると考えられます。オーナーにとっては、より安心してサブリース契約を結べる環境が整ったといえるでしょう。
関連記事:サブリース新法をわかりやすく解説!賃貸オーナーが気をつけること
サブリース以外の選択肢を考える
サブリースには確かに魅力的な点がありますが、これまで見てきたようにリスクも存在します。そのため、サブリース以外の選択肢についても検討することが賢明です。サブリースの代替案と、サブリース契約を結ぶ場合の対策について詳しく解説していきます。
通常の賃貸管理委託
サブリースのリスクを避けたい場合、通常の賃貸管理委託を選択する方法があります。この方式では、オーナーが直接入居者と賃貸借契約を結び、物件の管理を専門の管理会社に委託します。
通常の賃貸管理委託のメリットは以下の通りです。
- 賃料収入の大部分をオーナーが受け取れる(管理会社への支払いは通常、賃料の5〜10%程度)
- 物件の運営に関する決定権がオーナーにある
- 市場の変化に応じて柔軟に賃料を設定できる
- 入居者の選定にオーナーの意向を反映できる
一方で、デメリットとしては以下の点が挙げられます。
- 空室リスクをオーナーが負う
- 賃料滞納リスクもオーナーが負う
- 管理会社によってサービスの質にばらつきがある
自主管理のメリットとデメリット
もう一つの選択肢として、オーナー自身が物件を管理する「自主管理」があります。この方法は、管理のノウハウがあり、時間的余裕のあるオーナーに適しています。
自主管理のメリットには以下のようなものがあります。
- 管理会社への支払いがなく、収益性が高まる
- 物件や入居者の状況を直接把握できる
- きめ細かいサービスによる入居者満足度の向上
- 迅速な意思決定と対応が可能
一方、デメリットとしては次のような点が挙げられます。
- 管理業務に時間と労力がかかる
- 法律や市場動向への対応が難しい
- 24時間対応が必要になる可能性がある
- 入居者とのトラブル対応を直接行う必要がある
自主管理は、物件数が少なく、物件が自宅から近い場合に特に有効です。また、不動産管理を副業や将来の本業として考えているオーナーにとっては、貴重な経験を積む機会にもなります。
収益性の悪いサブリース物件は売却も検討する
最後に、すでにサブリース契約を結んでいる物件の収益性が悪化し、改善の見込みがない場合の対処法について考えてみましょう。このような状況では、物件の売却を検討することも一つの選択肢となります。
サブリース契約下にある物件の売却を検討する際は、以下の点に特に注意を払う必要があります。
サブリース契約の残存期間
契約期間が長く残っている場合、買主にとってはリスクが高いと判断される可能性があります。例えば、あと10年の契約期間が残っている物件は、市場環境の変化に対応しにくいため、買主の興味を引きにくいかもしれません。
契約解除のペナルティ
多くのサブリース契約には、中途解約時のペナルティ条項が含まれています。このペナルティが高額な場合、売却価格に大きく影響する可能性があります。例えば、残存期間の賃料の50%をペナルティとして支払う必要がある場合、その額を売却価格から差し引く必要が出てくるでしょう。
現在の賃料と市場相場との乖離
サブリース契約で定められた賃料が市場相場と大きく乖離している場合、物件の価値評価に影響を与えます。特に、契約賃料が市場相場を大きく下回っている場合は、売却価格が低くなる可能性が高くなります。
物件の築年数と今後の修繕計画
築年数が進んでいる物件の場合、今後の大規模修繕の必要性が買主の判断材料となります。サブリース契約下で適切な修繕が行われてこなかった場合、物件の価値が大きく下がっている可能性があります。
例えば、築15年のワンルームマンション(20室)で、現在のサブリース契約の賃料が1室あたり月5万円、市場相場が7万円、残存契約期間が7年の場合を考えてみましょう。
この物件の売却を検討する際、買主は以下のような計算をする可能性があります。
- 現在の年間収入:1,200万円(5万円 × 20室 × 12カ月)
- 市場相場での潜在的年間収入:1,680万円(7万円 × 20室 × 12カ月)
- 7年間の機会損失:3,360万円(480万円 × 7年)
このような状況では、買主は3,360万円の機会損失を考慮して購入価格を検討するでしょう。さらに、契約解除のペナルティや今後の修繕費用なども考慮に入れると、売却価格は当初の想定よりもかなり低くなる可能性があります。
ただし、サブリース契約下にある物件であっても、以下のような場合は比較的高値で売却できる可能性があります。
- 立地条件が極めて良好で、将来的な値上がりが期待できる場合
- サブリース会社の信用力が高く、安定した収入が長期的に見込める場合
- 建物の管理状態が良好で、大規模修繕の必要性が低い場合
- 契約条件が柔軟で、買主が将来的に契約を見直す余地がある場合
売却を検討する際は、不動産仲介業者や税理士、弁護士などの専門家のアドバイスを受けながら、継続保有と売却のメリット・デメリットを慎重に比較検討することをおすすめします。
また、売却だけでなく、サブリース会社との再交渉という選択肢も考えられます。市場環境の変化や物件の状況を踏まえて、賃料の見直しや契約期間の短縮、管理内容の改善などを提案することで、収益性を改善できる可能性もあります。
たとえば、先ほどの例で、サブリース会社と再交渉し、賃料を6万円に引き上げ、契約期間を5年に短縮できたとすれば、年間収入は1,440万円に増加し、将来的な選択肢も広がります。
各ステップにおいて、専門家のアドバイスを受けながら、慎重に判断を行うことが重要です。不動産投資は長期的な視点が必要ですが、状況に応じて柔軟に戦略を変更する勇気も必要です。
あなたのマンション・アパートの価格が分かる
コラム監修
伊藤 幸弘(いとう ゆきひろ)
株式会社TOCHU(トウチュウ)代表取締役
投資マンション専門家/不動産コンサルタント
プロフィール
2002年より投資用中古ワンルームマンション売買のキャリアをスタート。
20年以上にわたり投資マンション市場に携わり、売主・買主双方のリアルな課題解決を通じて、個人投資家の資産形成をサポートしてきた。
2014年に株式会社東・仲(現:株式会社TOCHU)を設立。
投資用中古ワンルームマンションを中心とした売買仲介・買取事業を展開し、これまでの取扱実績は20,000件以上。
現在、会社には年間7,000件以上の投資マンション売却・不動産投資に関する相談 が寄せられており、多くの投資家の売却戦略や資産運用をサポートしている。
2025年には業界初となる価格透明化サービス 「TOCHU iBuyer」 を展開。
中古投資マンション市場の価格不透明性を解消し、投資家が適正価格で売却できる仕組みづくりを推進している。
「誠実な取引こそが市場の信頼をつくる」という理念のもと、 投資マンション市場の健全な発展を目指して活動している。
専門分野
・投資マンション売却
・投資マンション買取
・オーナーチェンジ物件売却
・不動産投資コンサルティング
メディア掲載・業界実績
投資マンション売却・不動産投資の専門家として、各種メディアや業界媒体で紹介されている。
・NHKにて不動産市場に関する取材
・「住宅新報」にてTOCHU iBuyerが紹介
・「リフォーム産業新聞」にて企業取り組みが掲載
・不動産業界メディア「リビンマガジンBiz」にてサービス紹介
・不動産オーナー向け専門誌「月刊 地主と家主」に書籍が掲載
・ERA LIXIL不動産ショップ全国大会にて成績優秀により複数回受賞。
・不動産業界団体 投資不動産流通協会 の会員として研修・研究活動に参加。
・JAPAN BUILD 「不動産テックEXPO」 のセミナー登壇
不動産取引のデジタル化・透明化に向けた取り組みを発信している。
保有資格
・公認 不動産コンサルティングマスター
・宅地建物取引士
・ファイナンシャル・プランニング技能士
・賃貸不動産経営管理士
・投資不動産取引士
・競売不動産取扱主任者
・日本不動産仲裁機構 認定ADR調停人
著書・実績
『投資ワンルームマンションをはじめて売却する方に必ず読んでほしい成功法則』(クロスメディア・パブリッシング)
『マンション投資IQアップの法則 〜なんとなく投資用マンションを所有している君へ〜』(CHICORA BOOKS)



