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サブリースの仕組みを総まとめ!デメリットをおさえて後悔しない。

サブリースと管理委託の看板

 

オーナーであれば知っておきたい、サブリースの仕組みとメリット・デメリットについて解説しています。

サブリースの失敗事例も紹介していますので参考にしてください。

またトラブルに遭遇しないために、法律も詳しく知っておきましょう。

 

 

サブリースは賃貸管理の仕組みの1つ

マンションを購入し、最初に決めるのが賃貸管理方法。サブリースは自分で直接管理する、集金業務だけを任せるなど、賃貸管理の選択肢の中の一つです。

サブリース

サブリース管理会社がオーナーの所有する賃貸物件を借り受けし、その物件を第三者に転貸する形式の賃貸管理です。家賃の金額や入居者の選定など、賃貸管理に関わることは全てサブリース会社が一括管理します。

メリットとしては、オーナーはほとんどの管理業務を委託できる手間のなさと、所有物件が空室でも毎月決まった家賃収入が保証されている安定性です。

デメリットは家賃収入の平均20%ほどが管理会社の利益となるため、オーナーの収益性が下がってしまう点です。

 

集金代行

管理会社が家賃の回収業務をオーナーから代行して請け負います。サブリースと同様に、入居者の募集やクレーム対応、リフォームの手配まで管理会社の業務範囲です。

サブリースのメリットと同じく、管理業務に手間がかかりません。しかし、家賃保証はなく、集金代行手数料として家賃の3~5%の手数料を取られてしまいます。

 

自主管理

家賃の回収からマンションの日頃のメンテナンス業務など、全ての管理業務をオーナー自身の手で行います。

管理委託で業者に支払う費用はなく、家賃収入は全てオーナーの手元に残ります。収入面のメリットが大きい反面、マンション管理業務に多くの時間や労力を割かないといけません。

 

 

サブリースの仕組みを解説

サブリースは管理会社が別の人に転借することを認める契約です。オーナーはサブリース業者に賃借し、サブリース会社が入居者に転借するという形式になります。オーナーと入居者には直接の関係はありません。原則として、サブリース業者とオーナー間の家賃金額を入居者は知らず、入居者からサブリース業者にいくら家賃が支払われているかをオーナーは知りません。

サブリース業者がオーナーに対して滞納した場合は、オーナーは入居者に対して解約の申し出ができます。

オーナーとサブリース業者間が合意解除されても、入居者の契約まで解約できません。その場合は、オーナーはサブリース業者と入居者の契約条件を引継ぎ、新たにオーナーと入居者間で契約を続行することになります。

サブリースの仕組み

サブリースの期間

通常の契約では2年から3年に更新期間が設定されていて、自動更新により更新料が発生しないものが大半です。永年保証という勧誘は禁止されています。

形式上は入居者と同じ立場での契約なので、サブリース業者からの解約申し出はいつでも可能です。しかし、オーナーからの解約は正当事由がなければできません。

 

サブリースの種類

サブリースの契約には賃料固定型と実績賃料連動型の2種類があります。

 

賃料固定型

賃料固定型は、サブリース会社の受け取る賃料の変動があっても、オーナーが受け取る賃料は常に一定という契約方式です。

毎月、安定した収入が期待でき収支計画が立てやすいメリットがあります。また、景気や社会状況の変化に家賃金額が影響されないため、好景気などで家賃収入が上がることもありません。

 

実績賃料連動型

実績賃料連動型は、サブリース会社の受け取る賃料に連動してオーナーの家賃収入も変動する契約方式です。一定の家賃収入は保証されていますが、賃料固定型とは逆に景気状況に左右されて家賃収入が上がり下がりします。

 

サブリースの費用負担

物件の価値を維持するためのリフォームや設備交換など、修繕費はオーナー側の負担になります。サブリース業者が負担すると思われがちですが間違えなので注意しましょう。ただし、管理会社の故意・過失があった場合は管理会社負担になります。

また、賃貸募集の費用などは管理会社が負担します。

 

サブリースのメリット

一番のメリットは安定した家賃収入です。サブリース契約であれば毎月決まった額の家賃が保証されるので、空室や滞納によって収入がゼロになることはありません。安定しているのでローン返済とのバランスも取りやすく、わかりやすさが魅力です。

また、不動産投資をしていると入居者募集、集金作業、リフォームなど、なにかと連絡や意思決定を求められますが、それをサブリース会社が代行してくれます。そのため、賃貸業務になれていない投資マンション初心者でもはじめやすく、本業に多くの時間を割くことができるでしょう。必要な手間は賃貸の入金を通帳で確認するぐらいです。賃貸収益を上げる工夫をする必要がないので、気楽に家賃を期待できるでしょう。

 

 

サブリースのデメリット

安定した収支計算が見込め、賃貸業務の負担もほとんどないサブリースですが、当然デメリットも存在します。

 

収入が悪くなる

サブリース会社は相場家賃の80〜90%で家賃を設定。代行手数料が5%ほどの集金代行に比べて、収入面では大きな減額になります。

本当に家賃保証が必要なエリアなのか契約前に一考してください。人気のエリアや競争力のある築浅の物件であれば必要ないかもしれません。

また、礼金や更新料などの臨時収入も、サブリース会社の利益になるので覚えておきましょう。

 

減額の請求がある

家賃は築年数によって減額していきます。普通の賃貸借契約と同じで、家賃も永年保証ではなく、解約の可能性もあります。

景気や周辺相場の影響によってサブリース賃料は変化しますので、そのリスクも踏まえた上で契約してください。

 

費用負担が高くなる

サブリース会社が必要なリフォームや設備交換などの手配を行います。他のリフォーム会社に相見積もりを取り競合させることを認めてくれない会社が多いでしょう。また、発注した工事を実施していないケースもあるので現地確認を必ずおこなってください。

リフォーム代が割高になるのは、工事の発注先からの紹介料のバックや、関連会社に発注をして利益を出しているからです。

 

解約できない

サブリースの契約書に解除できる記載があっても、オーナー側から解約を申し出ることはできません。管理会社も収入が減るため解約を認めたくなく、入居者保護を目的とした借地借家法を盾に「正当事由」なしでの解約には応じてくれません。

訴訟を起こすことも可能ですが、過去の裁判でもサブリース会社も入居者と見なし保護対象とする判例が出ています。

サブリースは解約できない!?契約解除と正当事由について解説

 

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サブリースで失敗した事例を紹介

実際のサブリースでの失敗事例を参考にして、今後、自分自身にも起こるかもしれない事態への対策や、契約を考える上での判断材料にしてください。

 

購入時にサブリースで家賃が下がらないという約束で契約したAさん。

都内の物件を購入したAさんの当時のサブリース賃料は84,000円でした。「実際の入居者には家賃95,000円で募集できる」と担当者から説明を受けていたため、そこから1割引かれた家賃保証を受けていると思っていました。

購入から25年後にライフプランを見直した結果、売却を検討することに。サブリース会社は25年間変わらず、契約時の家賃保証を守ってくれていたのですが、「もし、売却して新しいオーナーに変更になると、サブリース賃料は引き継ぎの段階で72,000円に減額になる」と言われてしまいました。さらに、「サブリースの解約は認めないので、その条件を引き継がないとオーナーチェンジは承認できない」とまで宣言されました。

その時に、実際の入居者の賃料が10年ほど前から80,000円になっていた事実を知り、今までサブリース会社が負担していた損失分を回収する必要があるという事情があったようです。

交渉しましたが結局解約はできず、しぶしぶ減額のサブリース契約を引き継ぐことに。その結果、家賃は大きく減額し利回りも悪化、大幅に値下げして売却することになりました。

 

中古ワンルームマンションを販売している会社からセミナーで物件を購入したBさん。

安定した運営ができると販売会社に勧められて、サブリース契約で投資をスタートしました。

しかし、購入の数年後から家賃送金の遅れが発生。しかし、催促をすると送金してくるので、サブリースの解約ができない状態が続きました。

そして滞納から1年が経ったある日、一回分の家賃を滞納した状態で、サブリース会社が倒産をしたと連絡がありました。どうやら別事業に投資をしたことが原因で赤字化し、オーナーに送金すべき家賃にまで手をつけてしまっていたようです。

この思わぬ事態に慌てて対応しましたが、入居者との連絡手段の確保に手間取ってしまい、合計4ヶ月もの家賃が未回収に。

その後、なんとか賃貸管理を引き継ぐ会社が決まりましたが、家賃査定をすると以前の会社と比べて約20%も安くなってしまうことが発覚しました。そもそも倒産した会社が無理な家賃保証を設定していたようです。今は集金代行に切り替えて運用を続けています。

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サブリースのトラブルから身を守る法律の紹介

サブリースのトラブルにあわないために法律を知りましょう。サブリース契約は関係当事者が多く、不動産会社の権限も強いのでトラブルが多発しています。そういった背景を踏まえて、新しい法律が成立しています。

法律を知ることは、業者と契約内容を判断する材料にも、トラブル時における解決へのヒントにもなります。知識を持って安心した取引を目指していきましょう。

 

賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律

ここ数年で増加しているサブリース契約によるトラブルに対応するため、国は2020年12月15日に「サブリース業者と所有者のトラブル防止と賃貸住宅管理業の登録に関する措置」、2021年6月15日には「賃貸住宅管理業に係る登録制度の創設」を立て続けに施行しています。

賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律(令和2年法律第60号)

 

サブリース業者と所有者のトラブル防止

サブリース業者、また業者と組んで業務をおこなう者に対して、トラブル防止の観点から勧誘や契約時に一定の規制を導入。違反者に対しては、業務停止命令や罰金等の措置も課されます。

 

不当勧誘の禁止

サブリース勧誘時の、家賃の減額リスクなど重要な事柄について故意に伝えない、また間違った情報を与える行為を禁止しています。

 

誇大広告等の禁止

サブリース広告で、家賃支払いや契約変更に関する内容について誤った情報を提供したり、過度に良くみせたり誤解させたりするような表示を禁止しています。

 

特定賃貸借契約締結前の重要事項説明

サブリース業者は契約締結前に、契約内容を書面で説明する責任があることを定めています。

 

 

賃貸住宅管理業の登録

賃貸住宅に関わる業者の質を担保し不良業者を排除するために、賃貸住宅管理業者の登録制度を創設しています。

管理戸数200個以上の委託を受ける管理業者の登録義務

管理戸数200個以上の賃貸物件管理業者は国土交通大臣からの登録を義務付け、200未満の業者に関しては任意登録に留めています。

 

管理業務の義務付け

管理業者は事務所毎に賃貸住宅管理に精通した人物を配置すること、管理している家賃などは自社の持つ財産等と分別して管理することを義務付けています。

また、管理契約締結前に具体的な管理業務の内容や実施方法などについては書面で説明すること、契約後の業務の実施状況なども定期的にオーナー側に報告することを義務付けしています。

 

安定した収益性を確保できる一方、収益性が下がるという両側面を持つサブリース契約。オーナーや物件の状況によって、サブリース契約の有効性は変わっていくでしょう。自分が自身にとって一番良い賃貸管理方法を選ぶためにも、法律や不動産についての勉強は必須です。

もし賃貸管理の選択に迷った場合は、経験豊富な専門会社に相談することをおすすめします。

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コラム監修

コラム監修

伊藤幸弘

資格

宅地建物取引主任者・賃貸不動産経営管理士・FP技能士・公認 不動産コンサルティングマスター・投資不動産取引士・競売不動産取扱主任者・日本不動産仲裁機構ADR調停人

書籍

『投資ワンルームマンションをはじめて売却する方に必ず読んでほしい成功法則』


『マンション投資IQアップの法則 ~なんとなく投資用マンションを所有している君へ~』

プロフィール

2002年から中古投資マンションを専門に取引を行う。
2014年より株式会社TOCHU(とうちゅう)を設立し現在にいたる。

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