投資マンション失敗
新築ワンルームマンション投資が危険と言われる理由。失敗の予兆や対策を解説
ワンルームマンション投資の中でも、新築のワンルーム投資は危険と言われるのはなぜなのでしょうか。
今回は、新築ワンルーム投資におけるリスクや、失敗した際の対策などについて紹介します。
目次
新築のワンルームマンション投資が危険と言われる理由
新築ワンルームマンション投資をしている人の中には「最終的に資産になる」「節税になる」「生命保険の代わりになる」などという言葉に魅力を感じ、投資を決意した方もいるでしょう。
しかし、ワンルームマンション投資のなかでも新築は利益が出にくく、危険という声もあることは知っておきましょう。
なぜ利益が出にくいのかについて、理由を3つ解説します。
家賃の暴落率を考慮せず、新築物件価格で購入してしまう
新築物件は価格が高いですが「新築ブランドがあるし、長期的に見ると利益が出るだろう」と考えるのは危険です。
物件価格は、物件の一年間の純収益が大きく関係しており、新築の場合は新築を加味した賃料をもとに定められることがあるため、物件価格が高めに設定されていることがあるからです。
新築プレミアがつく賃料は、初めの入居者だけしか適用されません。次の入居者からは、家賃が大幅に下がるでしょう。
また、新築物件に誰も住んでいなくても、築一年が経過すると自動的に中古扱いになります。
一般的には、新築プレミアでついた金額は、物件価格の1~3割程度といわれています。
高額な新築物件は、「これまで誰も住んでいない」という価値や販売にかかる広告宣伝費、またデベロッパーの利益のために高価格で販売したいという意図が背景にある場合があります。
新築ワンルームマンション投資は利回りが低く収益を出しにくい
新築ワンルームマンション投資は利回りが低いため、「赤字になりやすい」という特徴があります。
利回りは「投資金額に対して一年間の収益がどのくらい出たか」を表すため、物件を購入する際の目安として使われることが多く、大きく分けて次の2つに分類されます。
・表面利回り
物件の収益力を把握するために使われる指標
・実質利回り
諸経費も考慮して計算するため、正確な収益力を把握するときに使われる指標
利回りの概念がわかったら、次はワンルームマンションと一棟マンションの期待利回り目安の比較を見てみましょう。
ワンルームマンションと一棟マンションの表面利回りの比較(2020年8月)
地域 | ワンルームマンションの表面利回り(%) | 一棟マンションの表面利回り(%) |
---|---|---|
全国 | 7.93 | 8.33 |
首都圏 | 7.36 | 7.79 |
関西 | 7.94 | 8.53 |
健美家「収益物件 市場調査 マンスリーレポート(2021年8月期))より
表面利回りで7~8%であれれば、実質利回りはさらに低くなります。
新築物件は過去のデータがないため運用シミュレーションが難しい
不動産投資をする前には、収益を出す物件なのか分析することが重要です。
しかし、新築物件は入退去の頻度や空室状況、修繕費など過去のデータがないので、分析できません。
新築ワンルームマンション投資は手が出しやすい価格でハードルが低いように感じますが、実際のところ不動産投資の初心者にとっては難易度が高いというのが現実です。
思っていたよりも利益が出ずに、所有している新築ワンルームマンションで利益が見込めなさそうだと感じてきた場合は、どうするのが正解なのでしょうか。
新築のワンルームマンション投資が失敗する予兆が見えたらどうすれば良いか
新築ワンルームマンション投資が失敗する予兆を感じた場合の対応策にはどういったものがあるのでしょうか。
新築ワンルーム投資が失敗する可能性が高い条件
空室がある
新築ワンルームマンションで毎月赤字が出ている人は、失敗に終わる可能性が高いです。
一棟マンション投資の場合は空室があったとしても、ほかの部屋に入居者がいれば収入がありますが、ワンルームマンションの場合は空室になると利益が出ません。
高額なローンを毎月支払う必要があるのに、収益がないと貯金を切り崩して自己負担しないといけません。
節税効果を期待して購入した
節税効果を狙って新築ワンルームマンション投資を始めた方もいるでしょう。
しかし、節税効果があるのは経費に登記費用や手数料などを計上できる初年度だけです。
また、新築ワンルームマンションの場合は、減価償却費による節税効果も薄く、大きな効果は期待できません。
なぜなら、節税のための不動産投資は、減価償却期間が短い物件を選ぶことが重要だからです。
新築ワンルームマンションは減価償却期間が長く、一年当たりの減価償却費はそれほど大きな額ではありません。
家賃保証の内容をよく確認していない
投資を始める際に、家賃保証の内容をしっかりと確認しないと、後から想定外の出費が出る可能性があります。
家賃保証は「サブリース」ともいい、サブリース会社が一定期間、不動産のオーナーから物件を借り上げ、サブリース会社が入居者に物件を貸し出すことをいいます。
物件に空室が出た場合でも、サブリース会社はオーナーに賃料を支払うことを保証するという内容です。
家賃保証には注意点があり、契約した内容が永遠に続くわけではありません。契約更新時に大幅な賃料引き下げが起きることもあり、家賃保証を受けられない可能性もあります。
契約の際には、家賃保証の内容をしっかりと確認しておきましょう。
空室が続く場合は敷金・礼金や賃料の引き下げを検討する
空室が続く場合は、まずは敷金・礼金の値引きや撤廃を検討しましょう。
「初期費用をできるだけ下げたい」という人が入居してくれるかもしれません。
それでもそれでも空室が続くようなら、賃料の値下げを検討しましょう。
賃料を下げると赤字になる場合は、マンションの売却を視野に入れて情報を集めるのが賢明かもしれません。
新築のワンルームマンション投資の売却方法
新築のワンルームマンションの売却を検討している場合は、売却の計画を立てることが大切です。
売却する時期に大まかな見立てが必要です。周辺エリアに同じような物件が売りに出てないタイミングを狙うと、競合が少ないため高値で売れる可能性も高まります。
新築ワンルームマンション投資が失敗する前に売却を考えよう
新築のワンルームマンション投資で赤字が続き、これ以上利益が出る見込みがない場合は、赤字額が大きくなり手遅れになる前に売却を検討しましょう。
利益を生まない新築ワンルームマンションを所有し続けるリスクや、売却の際に気をつけたいことなどを解説します。
新築のワンルームマンションを所有し続けるリスクとは?
利益が出ない不動産は、所有しているだけでリスクがつきまといます。
不動産は、築年数が経過するほど賃料が下がる傾向があるため、所有している新築ワンルームマンションの家賃が現在の価格よりも今後さらに下がる可能性があります。
人気がないエリアや駅から遠いなどの不便な環境だと、家賃の下落幅も大きくなりがちです。
また、空室が続き、入居者がいつまでも現れないかもしれません。
所有し続けると赤字が大きくなる物件は、すぐに売却するのがおすすめです。
利益が出ない物件は売却を検討するのがおすすめ
利益を生まない不動産は、売却しましょう。
不動産の売却は、物件のオーナーが決意したタイミングでおこなうことも大切ですが、所有してからの期間によって、売却による税率が異なる点を把握しておくことが大切です。
不動産の売却には譲渡税と住民税が関係しており、不動産を所有してから5年が経過しているかによって決められています。
区分 | 所得税 | 住民税 |
---|---|---|
長期譲渡所得 | 15% | 5% |
短期譲渡所得 | 30% | 9% |
物件の所得から5年経過すると短期譲渡から長期譲渡になり、所得税と住民税が引き下げられます。
そのため、売却するタイミングは5年が経過したあとがおすすめです。
しかし、空室期間が長く、税額よりも赤字が大きくなる場合は、すぐに売却するのがいいかもしれません。売却のタイミングは、しっかりとシミュレーションして、負担が少ないタイミングを見計らって売却しましょう。
売却するならば信頼できる不動産会社を探そう
売却する際は、相場価格よりも低く売却しないためにも、信頼できる不動産会社を選ぶことが大切です。
複数の不動産会社に話を聞いて、「ここなら信頼できる」と思える会社を選びましょう。
過去に高い実績がある不動産会社を選ぶことも大切ですが、査定金額の根拠を、良い面も悪い面もしっかりと説明してくれる不動産会社を選ぶのがいいかもしれません。
また、不動産会社に得意なエリアや分野がある場合は、その特徴も考慮して決めるのも一つの方法です。
気になる点は質問してみましょう。しっかりと答えてくれるかも重要です。真摯に対応してくれるかも見て、総合的に判断しましょう。
不動産会社に任せっきりにしないで、自分でも相場価格の把握や、売却にかかる手数料など、しっかりと把握しておくことも大切です。
ワンルームマンションの売却に関する流れやポイントなどはこちらで詳しく紹介しています。
あなたのマンション・アパートの価格が分かる
コラム監修
伊藤幸弘
資格
宅地建物取引主任者・賃貸不動産経営管理士・FP技能士・公認 不動産コンサルティングマスター・投資不動産取引士・競売不動産取扱主任者・日本不動産仲裁機構ADR調停人
書籍
『投資ワンルームマンションをはじめて売却する方に必ず読んでほしい成功法則』
プロフィール
2002年から中古投資マンションを専門に取引を行う。
2014年より株式会社TOCHU(とうちゅう)を設立し現在にいたる。