投資マンション売却
ワンルームマンション投資の収支の見極め。失敗の理由と売却すべきとき
ワンルームマンションオーナーであれば知らないと損をする収支の情報です。
投資で失敗する理由や事例を知り対策を立てましょう。
失敗しそうになったら、いち早く売却を考えることも戦略です。
目次
ワンルームマンションの収支はトータルで考える
| 家賃収支+(購入価格−売却価格)=トータル収支 |
家賃収入を主とした賃貸経営のキャッシュフローのプラスで、キャピタルゲインのマイナス分を補うイメージを持ちましょう。両方がそろわないと本当の収支はわかりません。最終的に物件が売れてはじめて収支がプラスになると考えましょう。
注意点は、物件は古くなると家賃が下がりますが、管理費・修繕積立金が上がり、内装費用も増えていきます。その一方で、物件の価値は年々下がります。
売買相場は上がり下がりしていますので、タイミングをしっかり判断し売り抜けましょう。
ワンルームマンション投資の収支について
家賃から必要経費を引いて、キャッシュフローがプラスにならないと自己資金が目減りしていきます。賃貸経営は収入から費用を引いた収支を必ずプラスする意識が大切です。
空室率や退去時の内装費用なども織り込んでおかないと、正しい収支が計算できません。余裕を持った収支計画を立てましょう。ギリギリの収支では利益が確定できません。
収入の一覧
ワンルームマンション投資で収支のプラスを維持するためには、収支内の収入と支出の状況を把握してバランスを取ることが重要です。
一室だけを所有するワンルームマンション投資における収入は、家賃、更新料、礼金の3つです。
- 家賃
- 更新料
- 礼金
家賃
所有しているマンションの入居者から支払われる賃貸料です。ワンルームマンション投資の主な収入源で、入居者がいる限り安定した収入が入ってきます。
更新料
マンションの賃貸契約には、契約期間が設定されています。その契約を更新する場合、手数料として家賃とは別に更新料が発生します。更新料の相場額は家賃の1〜2ヶ月分です。
一般的に2年毎に更新料は支払われますが、地域や物件によって更新料の有無や金額は変わります。
礼金
賃貸契約を結んだ際に、入居者からお礼として支払われます。礼金の相場額も家賃の1〜2ヶ月分です。
敷金も同じタイミングで支払われますが、家賃滞納の補填や退去の際の修理費に当てられ、残った金額は返還するので収入に含まれません。
支出の一覧
マンション経営を続けていくと、その管理や維持費用が必要です。その他にも税金や保険料など、支出は多岐にわたります。
- 管理費・修繕積立金
- ローン返済額
- 賃貸管理手数料
- リフォーム・設備交換費用
- 固定資産税・都市計画税
- 火災保険料
管理費・修繕積立金
管理費・修繕積立金は、バルコニーなどの共有部分の管理維持費用や、建物の経年劣化により必要になる大規模修繕のために積み立てるお金です。
ローン返済額
ワンルームマンションを購入する際に、高額な出費なため金融機関から融資を受ける方が多いでしょう。利息も含めて、毎月のローン返済も支出になります。
賃貸管理手数料
所有するマンションの管理を委託する場合には、管理会社にマンション管理に対して手数料の支払いが必要です。
リフォーム・設備交換費用
入居者の退去にともなう原状回復作業や部屋のリフォーム、またリノベーション時にかかる費用です。
固定資産税・都市計画税
マンション所有者が毎年支払う税金です。年4回に分けて支払います。
火災保険料
万が一の火災などの災害に備えるために、保険の加入も必須です。割引率が高くなるので、長期契約を結ぶのが一般的です。
ワンルームマンション投資で収支をプラスにする方法
ワンルームマンション投資で収支をプラスにするためには、安定した収入をあげながら、支出をいかにして最小限に抑えるかが重要なポイントです。返済方法の変更などの対策によって、支出を抑えることは可能です。
ローン金利よりも運用利回りを良くする
借りた金利以上に、家賃収支の利回りが良ければ、プラス収支になります。また、返済期間を調整して、キャッシュフローをプラスにする収支の分岐点を計算で割り出しましょう。
借り換えを検討する
ワンルームマンションのローン返済は高額で長期にわたります。ちょっとした金利の違いが与える影響も見過ごせません。金利条件が良い融資先を見つけた場合、ローン自体の組み替えも考えましょう。
投資用マンションのローンを借り換えたい方は必見!成功のコツとメリット・デメリットについて
一部繰り上げ返済をする
自己資金の投入が必要になりますが、キャッシュフローが悪化した場合に、繰り上げ返済をして支出を抑えることで改善できます。
賃貸管理手数料を見直す
サブリース、賃貸管理の見直しをして、収入を増やすのも一つの手です。そもそも物件に競争力があれば、サブリースは必要ありません。手間はかかりますが、自分で入金管理すれば、賃貸管理手数料5%の節約ができるかもしれません。
物件の追加購入
利回りが高い物件を別に購入して、キャッシュフロー全体でバランスをとることも戦略です。
ワンルームマンション投資の収支で注意するポイント
ワンルームマンション投資の収支で押さえるべきポイントやリスクがいくつかあります。注意点を正しく把握することで適切な対応がいつでも取れるようにしましょう。
売買のタイミングを逃さない
相場の情報を常にチェックして、下がった時に購入し、上がった時に売却をするという売り時買い時を見逃さないようにしましょう。
ポイントとしては、10~15年周期で相場は上がったり下がったりを繰り返しています。また、その時の相場で、適切な価格で売買する必要もあります。
新築ワンルームマンション
ワンルームマンション投資において、新築の購入はおすすめしません。
新築ワンルームマンションの購入はそもそも家賃利回りが低く、価格の下落スピードも速い傾向があります。中古になった瞬間に2割減は当たり前で、利益が出ない条件が揃っています。全額自己資金での購入や、ローン返済期間を短くできなければ利益が見込めないので、新築ワンルームマンションを取り扱うのは難しいでしょう。
空室が長期化
空室の長期化は、その期間中の収入がゼロになってしまうので非常に問題です。
ワンルームマンションは平均で3年に1回入退室があります。次の入居者が決まるまで少なくとも1~2カ月はかかるでしょう。退去のタイミングが人の移動が少ない時期と重なったり、古いなどマンション自体の条件が悪かったりすると、それ以上に時間がかかるかもしれません。しかし、その間もローン返済など支出は続いていきます。
管理費・修繕積立金の上昇
老朽化することで管理費・積立金が上昇します。購入時と同じ額で運営できているマンションはほとんどありません。積立金の不足が発生した場合、一時金が徴収される可能性があります。
ローン金利が上昇
景気や政策の影響で金利が上昇すると、月々の返済額が増えます。ほとんどの方が変動金利で投資ローンを組んでいるので、収支が悪化した場合に備え余剰資金を用意しておきましょう。
優良な不動産会社を選定する
賃貸も売買も適切なアドバイスができて、相場と取引に精通している不動産会社と付き合うことが一番大事です。自社の利益だけを考えている会社には要注意です。
ワンルームマンション投資で失敗する理由
ワンルームマンション投資で失敗する主な理由は「長期空室」、「家賃の下落」があげられます。
まずワンルームマンション投資はマンションの1室を購入し、入居者に部屋を賃貸し、家賃を支払ってもらうことで成り立ちます。したがって、空室が続けば、投資そのものが成立しません。「長期空室」は重要な要素といえます。
なぜ空室が続くと、いけないのか。それは単に家賃が入ってこなくなるだけではありません。ワンルームマンション投資の多くは、金融機関からの借り入れを使い物件を購入します。
空室の状態が続き、家賃収入がゼロになったとしても、銀行へのローンの返済は続きます。本来、家賃収入から捻出するはずの支出を、自己資金で賄う必要がでてきます。空室の状態が長く続くほど、収支バランスは厳しくなります。投資どころか、赤字に耐えなくてはなりません。
「家賃の下落」はどうでしょうか、ワンルームマンションに限らず、ほとんどの不動産は購入したときが最も家賃が高く、経年によって下落していきます。満室が続いても、長期的な家賃収入は減少するので、購入時点で収支バランスがギリギリだと、今後の収支は悪化することが想定されます。新築の場合には購入後10年経過すると、家賃が約20%減少するとも言われます。
不動産の営業マンは「好立地なので家賃下落リスクがありません!」と喧伝することもありますが、家賃下落のリスクは立地だけでは決まりません。所有する物件より、さらに好立地の場所に新しい物件がたくさん建つなどして、家賃を下げざるを得ないこともあります。
特に新築のワンルームマンションでは、購入時は新築のプレミアムによって家賃が高めに設定されますが、入居者が入れ替わる度に家賃は下落していきます。家賃下落によって当初想定していた収入が得られず、結果的に終始バランスが悪化していきます。
こうした空室リスクや家賃下落に対する対策として家賃保証をつけている不動産会社があります。入居者がいようがいまいが、関係なく投資家に家賃を支払うというものです。
確かに家賃保証があれば、リスクに備えることができますが、家賃保証に関しては様々なトラブルがあります。例えば、家賃保証が必要になると保証期間が当初より短く設定されていたり、保証金額が低くなっている、家賃保証をつける代わりに物件価格に利益を上乗せして販売してくるケースがあります。また、最も恐ろしいのは「家賃保証があるから安心です」といっていた会社が倒産してしまうケースです。過去には、家賃保証がなくなったことが原因で収支バランスが悪化し、自己破産に至るケースもあります。
ワンルームマンション投資で失敗した事例を知る
ワンルームマンション投資での失敗には、様々な事例があります。具体的に見ていきましょう。
1つ目の事例は、修繕費がかさみ収支バランスが崩れてしまった事例です。
資産運用に興味を持っていたAさんは老後の生活資金確保に適した運用方法を探していました。既に株式投資を中心に投資の経験がありましたが、株式は価格の変動が激しいことや株価を逐一確認する必要があるので、価格が安定しており、一度資金を投入したらある程度放置していても大丈夫な資産運用方法を探していました。そのような中で不動産投資に興味を持ち、なかでも初期費用が比較的かからないワンルームマンションの1室を購入し、ワンルームマンション投資をはじめることにしました。当初はすぐに入居者も決まり、安定した家賃収入を得ることができていましたが、単身者向けのワンルーム物件であったため、入居者の入居・退去が頻発し、原状回復費用や修繕費がしばしば発生しました。その結果、経年劣化による家賃収入の下落と費用の増加によって収支バランスが崩れ、結果として赤字に転落してしまったというものです。
2つ目の事例は、当初想定していた節税効果が得られなかった事例です。
大手総合商社に勤務するBさんは既に20年以上勤続し、年収は2,000万円の大台に乗りました。年収が上がったことに喜んでいたものの、累進課税によって徴収される所得税の額にも驚愕していました。所得税の節税効果と老後の資産形成を両立させる手段として不動産投資があることを知り、なかでも初期費用が比較的安く済むワンルームマンション投資に興味を持ちました。購入に際して、収支バランスのシミュレーションを実施したところ、何と収支がほとんどゼロであり、不安を覚えましたが、不動産会社から「ローンの返済が終われば収支は大幅な黒字に転じますよ」と勧められたことや「本業の給与収入とワンルームマンション投資の赤字を損益通算することで所得税の大きな節税効果が期待できますよ」と言われたことで購入を決意しました。
実際に所得税の損益通算によって、当初想定していた節税効果が享受できたもののワンルーム物件の購入から3年後に東南アジアに駐在するという辞令を言い渡されました。所得税の損益通算は国内での給与収入と不動産投資の赤字の損益通算であり、海外で得た給与収入は対象にならないため、海外駐在の間は節税効果が得られませんでした。
ワンルームマンション投資における失敗とは
不動産投資には様々なメリットがあります。安定した副収入を得られる、相続税や所得税の節税効果がある、万が一の際の生命保険になる、インフレに強いなどです。多くの方が様々な目的を持って不動産投資を始めます。しかし、なかには当初想定していた目的を達することができないまま不動産投資で損をしてしまうケースもあります。その場合はワンルームマンション投資に失敗したと言えるでしょう。
また、ワンルームマンション投資を含めた不動産投資はすべての人に得な投資手法ではなく、不動産会社の言うことを鵜呑みにせず、自分で判断できることや十分な余剰資金を確保し、万が一のリスクに備えることができること、入居者や管理会社と積極的にコミュニケーションを取れることが重要です。ワンルームマンション投資で失敗しないためにも自分が本当にワンルームマンション投資に向いているのか客観的に把握しておきましょう。
ワンルームマンション投資で失敗しそうになったら、いち早く売却を考える
ワンルームマンションに限らず不動産投資の世界では購入した物件の価値は経年劣化によって低下していきます。経年劣化による家賃相場や不動産資産としての価値の下落は非常に厳しく精査され、購入した価格と同水準の価格で売却することはできません。
一方で、売却すると購入時価格と同水準で購入できないという事実があるので、ワンルームマンション投資会社のシミュレーションでは「長期保有」が前提となっています。これは例えば、1,500万円でワンルームマンションを購入した場合に想定利回りが5%であれば、20年運用することで1,500万円の元本を回収できるというものです。しかし、物件の保有中に20年にもわたって当初想定していた5%で運用できる保証はありません。空室リスクや家賃下落リスク、そして建物の劣化による補修、修繕費の増加リスクが常に存在する以上は想定利回りはむしろ低下すると考えるのが妥当でしょう。したがって、20年後に元本の1,500万円を回収できるとは限らないのです。
また、上述のように1,500万円で購入したワンルームマンションは同水準で売却することが難しいという現実があります。したがって、ワンルームマンション投資で「失敗した」と判断した場合には出来るだけ早く売却することを考えましょう。早期に売却することで経年劣化や不動産の資産価値の低下を最小限に抑え、傷が浅いうちに手を引くことができます。資産運用においては「損切り」をすることが重要です。これは不動産投資においても当てはまることで早めに見切りをつけることも時には必要になります。
あなたのマンション・アパートの価格が分かる
コラム監修
伊藤 幸弘(いとう ゆきひろ)
株式会社TOCHU(トウチュウ)代表取締役
投資マンション専門家/不動産コンサルタント
プロフィール
2002年より投資用中古ワンルームマンション売買のキャリアをスタート。
20年以上にわたり投資マンション市場に携わり、売主・買主双方のリアルな課題解決を通じて、個人投資家の資産形成をサポートしてきた。
2014年に株式会社東・仲(現:株式会社TOCHU)を設立。
投資用中古ワンルームマンションを中心とした売買仲介・買取事業を展開し、これまでの取扱実績は20,000件以上。
現在、会社には年間7,000件以上の投資マンション売却・不動産投資に関する相談 が寄せられており、多くの投資家の売却戦略や資産運用をサポートしている。
2025年には業界初となる価格透明化サービス 「TOCHU iBuyer」 を展開。
中古投資マンション市場の価格不透明性を解消し、投資家が適正価格で売却できる仕組みづくりを推進している。
「誠実な取引こそが市場の信頼をつくる」という理念のもと、 投資マンション市場の健全な発展を目指して活動している。
専門分野
・投資マンション売却
・投資マンション買取
・オーナーチェンジ物件売却
・不動産投資コンサルティング
メディア掲載・業界実績
投資マンション売却・不動産投資の専門家として、各種メディアや業界媒体で紹介されている。
・NHKにて不動産市場に関する取材
・「住宅新報」にてTOCHU iBuyerが紹介
・「リフォーム産業新聞」にて企業取り組みが掲載
・不動産業界メディア「リビンマガジンBiz」にてサービス紹介
・不動産オーナー向け専門誌「月刊 地主と家主」に書籍が掲載
・ERA LIXIL不動産ショップ全国大会にて成績優秀により複数回受賞。
・不動産業界団体 投資不動産流通協会 の会員として研修・研究活動に参加。
・JAPAN BUILD 「不動産テックEXPO」 のセミナー登壇
不動産取引のデジタル化・透明化に向けた取り組みを発信している。
保有資格
・公認 不動産コンサルティングマスター
・宅地建物取引士
・ファイナンシャル・プランニング技能士
・賃貸不動産経営管理士
・投資不動産取引士
・競売不動産取扱主任者
・日本不動産仲裁機構 認定ADR調停人
著書・実績
『投資ワンルームマンションをはじめて売却する方に必ず読んでほしい成功法則』(クロスメディア・パブリッシング)
『マンション投資IQアップの法則 〜なんとなく投資用マンションを所有している君へ〜』(CHICORA BOOKS)



