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東京のワンルーム家賃の推移。上下落率から考えるワンルーム売却
家賃の下落率は、ワンルームマンション投資において重要な指標のひとつです。
そこで今回は、東京都のワンルームマンションの家賃について紹介します。ぜひ上昇・下落率を把握し、売却のタイミングを見極める参考にしてみてください。
目次
データでみる東京都の家賃下落率
2020年は、新型コロナウィルスの感染拡大が各方面に影響を及ぼしました。そこで、2020年の東京都23区における家賃下落の状況、そして成約件数、価格の推移についてデータで振り返ってみます。
東京23区における家賃下落の現状
まずは、2020年11月の全国主要都市の「賃貸マンション・アパート」募集家賃動向の分析を参考に、家賃の上昇・下落率をみていきます。
この数年は、東京23区内のマンションタイプの平均家賃は右肩上がりが続いていました。
しかし、新型コロナウィルスの影響が顕著になりだした4月以降は、シングル向き(30㎡以下)が5ヶ月連続で、カップル向き(30~50㎡)は3ヶ月連続で、平均家賃が下落し続けているようです。
一方で、ファミリー向き(50~70㎡)、大型ファミリー向き(70㎡超)両タイプの平均家賃については、前年同月より上昇して推移しています。
東京23区においての成約件数の推移
参考として、中古マンションの売買についてのデータも紹介します。
2020年11月度の東日本不動産流通機構の月例速報MarketWatchサマリーレポートによると、2020年4月~5月は、緊急事態宣言が発令されたことにより、東京23区の中古マンション成約件数は減少しています。前年同月比で、3月マイナス10.8%、4月マイナス54.4%、5月マイナス38.9%と、大きな下げ幅です。
しかし、緊急事態宣言解除後は前年と同水準まで回復し、10月には前年同月比プラス32.7%まで回復しています。
東京23区においての平均販売価格の推移
2020年11月の首都圏における「中古マンション」の価格動向によると、成約件数と同様に、東京23区の中古マンション平均販売価格は減少傾向にあり、緊急事態宣言解除後に回復しています。
その後、11月まで6ヶ月連続で前年同月の数字を超えており、築31年~40年のシングル向きの中古マンションを除き、全面積・全築年帯で前年同月比が上昇しています。
なお、販売価格の上昇が続いている主な要因として、以下のことが考えられます。
- コロナ禍で売主が売り控えをした影響で、在庫数不足による需要過多
- 建築費の上昇
- 投資用マンションの構造スペックのグレードアップ
新型コロナウィルスは、販売価格の上昇にも影響している可能性があります。こうした不動産販売価格の動向も、家賃の上下落に影響することがあるので、参考としてみておくとよいでしょう。
ワンルームマンションの価格推移について 東京の相場情報を専門会社が解説
東京のワンルーム家賃が下落する理由とは
家賃が下落する主な理由として、もちろん新型コロナウィルスによる影響は考えられます。しかし、その他にもいくつかの要因があります。今後の予測も交えてみていきましょう。
市況から考える家賃下落の4つの要因
家賃下落の要因として考えられる要因を、4つ紹介します。
1.空室率の増加
2020年11月の賃貸住宅市場レポートでは、貸家着工数が新型コロナウィルスの影響をほとんどうけず横ばいであるのに対して、世帯の増加数が大幅に減少していることが指摘されています。
この状態では、住宅供給に対して需要数が追い付かないため、現在よりも空室率が上がっていく可能性があります。その結果として、家賃は下落基調になるかもしれません。
2.団塊の世代の後期高齢化と生産労働人口の減少
1947年から1949年に生まれた団塊の世代の人々が、2025年から後期高齢者となります。
今後は多くの相続物件が売却され市場に出回る見込みですが、一方で、買い手である生産労働人口が減少するため、供給過多になり価格が下がっていくであろうという予測があります。
3.2022年の生産緑地問題
1992年に指定された生産緑地の期限が、2022年に到来します。生産緑地を譲渡できるようになれば、新たに大量の土地が売却され、土地の価格が下がってしまうのではないかと懸念されています。
ただし、この問題を解消させる動きとして2017年に生産緑地法が改正されたため、影響は限定的といわれています。
4.東京都人口のピークアウトと世帯人数の減少
区市町村別人口の予測によれば、東京都の総人口は2025年、都下では2020年がピークを迎えるようです。
23区で人口減が始まる時期は地区ごとに異なりますが、大半の区は2025年までにはピークを迎え、人口減少が始まります。
また、世帯人数の減少(単身世帯の増加、ファミリー世帯の減少)も予測されています。これらのことからも、価格に影響が出てくることが予想されています。
賃貸仲介業者が感じた家賃下落の要因は?
新型コロナウィルスの影響を受けた賃貸仲介業者の生の声をリサーチしたデータである、第24回賃貸住宅市場景況感調査『日管協短観』2020年4月~2020年9月によると、賃貸仲介業者は、以下のようなことが家賃下落を招いたと考えているようです。
- 「学生や転勤者の大都市への転入自粛」、「入国制限による外国人流入の減少」などを背景として来店数や成約数が減少した
- 成約数減少をカバーするための促進策として、募集賃料を減額した
- 経営難、減給、解雇などから入居者の収入が減り、賃料の減額請求が増加した
- 支払い可能な賃料の物件に転居するための解約が増加した
今後家賃が暴落する可能性はあるのか
2008年のリーマンショック時は、半年から1年位かけて売買価格は徐々に下がりました。
不動産は金融商品に比べて流動性が低く、売り手も様子を見ながら下げていく為、今のところ家賃がすぐに暴落する可能性は低いといわれています。しかし、すぐには下がらなくとも、遅れて緩やかに下がっていくであろうと予想している専門家もいます。
また、人気のエリア、利便性が高くテレワークのしやすい広めの室内等、条件の良い物件は賃料があまり下落せず、条件の良くない物件は価格が更に下落するという2極化が進んでいくともいわれます。
今、ワンルームマンションを売却するメリットとは?
不動産の売却をするにはタイミングが大事とよくいわれます。もし今、所有するマンションを売却をするなら、どのようなメリットがあるのでしょうか。
低金利なので買い手がつきやすい可能性がある
2021年1月現在の日本では、超低金利が続いています。金利が低い時は、投資用のワンルームマンションが高く売れるタイミングの一つです。
不動産投資では、金融機関から借り入れを行いレバレッジを効かせることが一般的です。つまり、金利が低いことは、買い手にとって支払う利息を抑えることができることを意味します。売りに出したワンルームマンションに買い手がつきやすく、結果として高く売れる確率が高まると考えられます。
価格が下がる前にリスクを回避できる
2020年11月時点では、販売価格や成約件数がコロナ前の水準まで戻っています。しかし依然として新型コロナウィルスが収束したとはいえず、東京都をはじめとする都市部では、2021年1月から再び緊急事態宣言が発令されています。
先の見えない経済的不安から、物件の売却が増え、販売価格が今より下がる可能性もあります。売却手続きには完了するまで数ヶ月ほどかかるため、早めに動いておくことで、もし今後価格が下落したとしても損をせずに売却できるかもしれません。
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