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投資マンション売却

【悪徳業者に要注意】投資マンション売却の囲い込み

投資マンションの悪徳業者

投資マンション業界には悪徳業者が数多く存在しています。

オーナーさまの物件を高く売るためでなく、自社の利益を最大にする「囲い込み」が問題になります。売却価格が大きく変わり、満足度も変わってきますので、悪徳業者に騙されないようにしましょう。

次の2つのポイントで、囲い込みが発生しますので、これから売却をするオーナーさまは注意してください。

  • 売却を依頼するとき
  • 売却依頼の後

専門会社である当社が、事例もふまえて解説します。

マンションの価格がわかる

現場が語る囲い込みの手法とその背景

伊藤幸弘(株)TOCHU
代表取締役
伊藤幸弘

囲い込みは、お客さんの利益よりも自社の利益を最大限に追求する手法です。具体的に言うと、仲介手数料を売主と買主の両方から取りたいがために、自社で預かった物件をレインズには登録するんですが、他社からの問い合わせを断ってしまうんです。「すでに自社で申し込みがありますとか言って。

例えば、自社のお客さんから2,000万円の申し込みがあって、レインズ経由で他社から2,500万円の申し込みがあったとします。でも、2,000万円の方を優先するんです。なぜかというと、これなら両手が取れるからですね。つまり、売主にとってより高い価格で売れる機会があるのに、不動産会社の都合でそれを妨げてしまう。

レインズに登録はしているものの、他社からの問い合わせを「申し込みが入っています」と断ったり、「御社が買主になってくれるなら話を聞きます」なんて言ったり。なかには大手の仲介会社でも、業者が問い合わせた際に最初から「仲介ですか、買取りですか」って聞いてきて、仲介だと断るところもありますよ。

おそらく上司からそう教育されているんでしょうね。「この物件は両手を狙え」みたいな。若手の営業だと、そういう確認を露骨にしてしまうこともある。驚きましたよ、投資用不動産を扱う会社でそんなことをされて。

背景には仲介手数料の上限規制があって、不動産取引の仲介手数料は400万円以上の物件なら3%+6万円という上限が決められています。だから両手取引にすることで6%取りたいという意図があるわけです。確かに不動産会社は人件費や広告費など、目に見えないコストがたくさんかかっていて、営業利益として残るのはほんの一部なんです。一般の方が思っているほど儲かっているわけではないんですね。

囲い込みの目的と問題点

伊藤幸弘(株)TOCHU
代表取締役
伊藤幸弘

不動産会社としては両手取引を目指すこと自体は違法ではないんです。でも、それを実現するためには、日頃からきちんと買ってくれる見込み客とたくさん繫がっておく必要がありますよね。例えばレインズに出して、他社からの客付けよりも良い条件を出せる見込み客を多く抱えているなら、両手を狙うのは全然問題ないと思います。むしろ市場で戦っても「うちのお客さんの方が良い値段でした」と言えるなら、それはかっこいいですよ。

でも実際には、売主が損をするケースが多いんです。依頼した不動産会社の都合で、高く売れる機会を失ってしまう。レインズからの問い合わせは実は高額だったのに、断られて知らされないこともある。

なかには、値段が下がるまで申し込みがないことにして、「レインズに登録はしてるけど、1カ月、2カ月経っても申し込みがない」って言って値段を下げさせる。実は高い申し込みがあったのに、止めちゃってるんです。

買主も損しますよね。この物件を買いたいと言って申し込みを入れても、物元(物件の依頼を受けている会社)に問い合わせないと買えない。相談する不動産会社が違うというだけで買えないんです。

結果として市場全体の流通性が下がってしまう。つまり、全体的に不動産価格が下がってしまうんです。本来なら、流動性を高めることで不動産価格は上がるはずなのに。

売却依頼をする業者選定のときの囲い込み 事例

Hさんは名古屋在住の方で、お仕事の関係で上京された際に、見積もりを出した3社の話を伺う予定でした。

最初に足を運んだF社の査定金額は 2100 万円でしたが、Hさんから、この後2社と話をすることを聞いた営業担当者に、「いま専任で決めてもらえれば高値で購入される方を紹介できます」と言われ、押し切られる形で依頼を出すことになりました。売出し価格は 2200 万円だったそうです。私たちは、お断りの連絡でそのことを知ったのですが、

後日Hさんにお話を伺ったところ、最終的には2か月後に2000 万円で売却が成立したそうです。査定金額通りではあるのですが、Hさんは「もう少し比較してみたかった」と仰っていました。当社の営業スタッフも「もう少し挑戦したかった」と残念そうでした。

結局、F社の言う「高値で購入される」見込み客は存在しなかったのだと思います。いたとしても「購入に興味を持ってくれるかもしれない」程度であったのでしょう。営業担当者の方は非常に熱心な様子であったそうです。

実際に、買い手を見つけて売却を成立させているわけですが、できれば専任であたりたかったので、嘘(あるいは盛った発言)をついたのだと思います。

仲介会社としては、ライバルを気にせず、じっくりと取り組むことができるので、専任媒介契約や専任専属媒介契約を望む気持ち自体は、私も理解できます。

では、なぜHさんは、専任で契約されたのでしょうか。当社のお客さまからお話を伺う限りでは、「専任にすることでがんばってくれるのでは」という期待が大きいようです。

私たちも、専任で任せていただけると「期待に応えたい!」と気合が入ります。また、知識が少ないと、窓口が増えても混乱してしまうので、経験値の少ないオーナーさまは一般媒介契約を嫌う傾向があるようです。

ただ、望んでの専任ならよいのですが、この事例のように、熱意や圧力に押し切られて……という話もよく見聞きします。

語弊を恐れずに言うなら、「あまり考えずに不動産投資に手を出している」投資家は少なからず存在します。私見ですが、全不動産投資家の1割くらいが該当すると思います。

抱え込みを狙う営業担当者は、この層を狙っているのです。

この層の投資家は、一度押し切って専任にしてもらえば、3か月経って成約できなくても「このままここに任せればいいか」と考えがちです。そのような心理を突いて、強引に専任を取りに行きます。

そして、契約前にはもっと高い査定金額で強気の発言をしていたのに、最終的には少しずつ売り出し価格を下げるようにアプローチしていきます。

これも、「成約しやすいように」というよりも、相場より大分安くでき、自社で購入・転売してその値下げ分を利益にすることを狙ってのものであることが多いです。

当然ながら、そんな業者ばかりではなく、信頼できる業者もたくさんいます。

いい業者であれば専任のメリットも多いと思います。

しかし、基本的にはあまりにも熱心な業者には、注意することをお勧めします。物件を購入したとき、押し切られ気味に買ってしまった自覚がある方は、特に要注意です。

売却時も、その人の良さにつけ込もうと考える業者は、残念ながら存在するのです。

売却依頼の後に囲い込み

不動産会社に投資用ワンルームマンションの売却依頼をすると、不動産会社の営業パーソンは、通常であれば、なるべく高値で売れるように様々な工夫をします。

自社だけで買い手を探すことだけにこだわらずに、不動産のポータルサイトに広告を出したり、レインズに登録し、他の不動産会社にも

声をかけて、なるべく高く早く好条件の買主を探し、売却が成功するように努力をします。

しかし、一部の不動産会社では、他の不動産会社にあなたの物件を一切社外に紹介せず、自社のお客様だけで探すことに、こだわることがあります。

この行為を「囲い込み」といいます。

レインズに物件登録をしていても、不動産会社からの物件確認の連絡に対して、すでに申し込みが入っていて契約予定と回答して、断ったりすることもあります。

他の不動産会社はよせつけず、買いも売りも自社だけで完結しようとして、仲介料を双方からもらい、自社の利益の最大化を狙います。

売主様には、「なかなか申し込みが入らない」など嘘の報告をして、「価格をなさげしてほしい」など交渉をしてくることもあります。

売主様の投資ワンルームマンションを高く売る目的に反する、悪質な行為です。

このような営業パーソンのいる不動産会社には、くれぐれも気をつけてください。

極端に安い価格で、投資ワンルームマンションが売却される危険性をはらんでいるからです。

悪質な場合、市場価格の半値で売却されるケースもあります。

囲い込みをされると、物件が売れるチャンスを増やせず、売主は困った状況になります。

しかし、不動産会社側は、他社に流れずに自社だけで買い手を見つけられるので、買主と売主の双方から仲介手数料をもらい、仲介手数料で儲けることができます。

そのため、売上を2倍にしようと、「囲い込み」を行うように画策するわけです。

極端な例ですが、売れるチャンスを増やして高値で売るよりも、囲い込みをして価格を安くして売ったほうが、

得だと考えるような会社も実際にありますので注意が必要です。

また、大手の不動産会社だから安心と言うこともないようです。

参考:「大手不動産が不正行為か 流出する“爆弾データ”の衝撃

売主様は数ある不動産会社から、本当に信頼できる会社を探していただきたいです。

投資ワンルームマンション売却の不動産会社の選定ポイントは下記コラムから確認をしてください。

投資用ワンルームマンション売却をお願いするべき不動産会社選定のポイント

消費者が囲い込みに気付くことはできる?

伊藤幸弘(株)TOCHU
代表取締役
伊藤幸弘

自身の物件が囲い込まれているかどうかは気付くことができると思います。まず、レインズに登録したら登録証をもらえますし、物件のステータスも確認できます。募集中なのか、どういう状態で掲載されているのか、そういった情報は開示してもらわなければいけないんです。

それから、SUUMOとかホームズ、アットホームズ、投資物件なら楽待とか、そういったポータルサイトにちゃんと登録されているかどうかもチェックするべきですね。今はほとんどの物件がそういうところに載せて売却活動するのが当たり前になっています。

「これって囲い込みかな?」と思ったら、担当者に「どこに登録されているの?」と確認した方がいいと思います。見に行くことができますから。

さらに、セカンドオピニオンとして別の不動産会社に相談してみるのもいいかもしれません。その会社から問い合わせてもらうと、状況がわかりますよね。「申し込みあります」って言われているのに、オーナーに申し込みの話が全然来ていないとなれば、これは明らかに囲い込みです。

その場合は、売買の媒介契約の期間満了まで待って、別の会社に依頼し直すことができます。信用できない会社とは契約を切り替えることも可能なんです。

2025年から始まった囲い込みの規制について

伊藤幸弘(株)TOCHU
代表取締役
伊藤幸弘

レインズでは、売主が自身の物件の登録状況を確認できるようになっています。これまでもステータスのチェックはできましたが、2025年からはより罰則規定がより厳しくなるようです。

具体的には、レインズに載っているステータスと実際の状況が違う場合、処分の対象になったり、免許権者から何らかの処分を受けたりする可能性が出てきます。かなりメディアでも取り上げられていて、NHKなども報道していました。

ただ、規制だけでは根本的な解決にはならないと思います。手数料の自由化など、業界全体の構造的な問題に取り組まないと、なかなか改善は難しいでしょうね。

囲い込みを行う業者の特徴はある?

伊藤幸弘(株)TOCHU
代表取締役
伊藤幸弘

まず、情報の開示が少ない業者ですね。ホームページの情報が少なかったり、担当者の写真が出ていなかったり。そういう会社は要注意だと思います。何か悪いことをしていると、なかなか情報を表に出したがらない傾向がありますから。

確かに大手不動産会社でもやっているところがありますが、それは一部だと思います。やはり中小零細の方が、しっかりとした取引をしないケースが多いですね。

特に投資マンションやワンルームマンション、区分マンションなど、比較的価格帯が低い物件では、手数料の問題が出てきます。

3%+6万円という手数料は一律なので、1億円の物件を扱えば306万円もらえますが、1,000万円の物件だと36万円しかもらえない。当然、両手を狙いたくなってしまうわけです。うちはそういうことはやっていませんが、業界の実態としてはそういう部分があります。

囲い込みの他にも、投資マンションの売買取引において問題だと感じること

伊藤幸弘(株)TOCHU
代表取締役
伊藤幸弘

まず、消費者の方が不動産を売ることに関する知識が圧倒的に不足していることです。買うときは皆さんプロみたいに色々比べて検討しますよね。でも、売るときは比較検討することが少ない。そもそもその習慣がないというか、慣れていないので、騙されやすくなってしまう。これは不動産に限らず言えることだと思います。

その他に問題なのは、極端に安く売らせようとする業者の存在です。例えば、2,000万円で売れる物件を1,000万円で売らせようとする。

だからこそ、売主ももっと売却に関することや、物件の価格を相場を把握しておくなど、勉強をするべきだと思います。

あなたのマンションの適正価格が分かる

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コラム監修

コラム監修

伊藤幸弘  

資格

宅地建物取引主任者・賃貸不動産経営管理士・FP技能士・公認 不動産コンサルティングマスター・投資不動産取引士・競売不動産取扱主任者・日本不動産仲裁機構ADR調停人

書籍

『投資ワンルームマンションをはじめて売却する方に必ず読んでほしい成功法則』


『マンション投資IQアップの法則 ~なんとなく投資用マンションを所有している君へ~』

プロフィール

2002年から中古投資マンションを専門に取引を行う。
2014年より株式会社TOCHU(とうちゅう)を設立し現在にいたる。

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