
投資マンション業界には悪徳業者が数多く存在しています。
オーナーさまの物件を高く売るためでなく、自社の利益を最大にする「囲い込み」が問題になります。売却価格が大きく変わり、満足度も変わってきますので、悪徳業者に騙されないようにしましょう。
次の2つのポイントで、囲い込みが発生しますので、これから売却をするオーナーさまは注意してください。
専門会社である当社が、事例もふまえて解説します。

現場が語る囲い込みの手法とその背景
囲い込みの目的と問題点
売却依頼をする業者選定のときの囲い込み 事例
Hさんは名古屋在住の方で、お仕事の関係で上京された際に、見積もりを出した3社の話を伺う予定でした。
最初に足を運んだF社の査定金額は 2100 万円でしたが、Hさんから、この後2社と話をすることを聞いた営業担当者に、「いま専任で決めてもらえれば高値で購入される方を紹介できます」と言われ、押し切られる形で依頼を出すことになりました。売出し価格は 2200 万円だったそうです。私たちは、お断りの連絡でそのことを知ったのですが、
後日Hさんにお話を伺ったところ、最終的には2か月後に2000 万円で売却が成立したそうです。査定金額通りではあるのですが、Hさんは「もう少し比較してみたかった」と仰っていました。当社の営業スタッフも「もう少し挑戦したかった」と残念そうでした。
結局、F社の言う「高値で購入される」見込み客は存在しなかったのだと思います。いたとしても「購入に興味を持ってくれるかもしれない」程度であったのでしょう。営業担当者の方は非常に熱心な様子であったそうです。
実際に、買い手を見つけて売却を成立させているわけですが、できれば専任であたりたかったので、嘘(あるいは盛った発言)をついたのだと思います。
仲介会社としては、ライバルを気にせず、じっくりと取り組むことができるので、専任媒介契約や専任専属媒介契約を望む気持ち自体は、私も理解できます。
では、なぜHさんは、専任で契約されたのでしょうか。当社のお客さまからお話を伺う限りでは、「専任にすることでがんばってくれるのでは」という期待が大きいようです。
私たちも、専任で任せていただけると「期待に応えたい!」と気合が入ります。また、知識が少ないと、窓口が増えても混乱してしまうので、経験値の少ないオーナーさまは一般媒介契約を嫌う傾向があるようです。
ただ、望んでの専任ならよいのですが、この事例のように、熱意や圧力に押し切られて……という話もよく見聞きします。
語弊を恐れずに言うなら、「あまり考えずに不動産投資に手を出している」投資家は少なからず存在します。私見ですが、全不動産投資家の1割くらいが該当すると思います。
抱え込みを狙う営業担当者は、この層を狙っているのです。
この層の投資家は、一度押し切って専任にしてもらえば、3か月経って成約できなくても「このままここに任せればいいか」と考えがちです。そのような心理を突いて、強引に専任を取りに行きます。
そして、契約前にはもっと高い査定金額で強気の発言をしていたのに、最終的には少しずつ売り出し価格を下げるようにアプローチしていきます。
これも、「成約しやすいように」というよりも、相場より大分安くでき、自社で購入・転売してその値下げ分を利益にすることを狙ってのものであることが多いです。
当然ながら、そんな業者ばかりではなく、信頼できる業者もたくさんいます。
いい業者であれば専任のメリットも多いと思います。
しかし、基本的にはあまりにも熱心な業者には、注意することをお勧めします。物件を購入したとき、押し切られ気味に買ってしまった自覚がある方は、特に要注意です。
売却時も、その人の良さにつけ込もうと考える業者は、残念ながら存在するのです。
売却依頼の後に囲い込み
不動産会社に投資用ワンルームマンションの売却依頼をすると、不動産会社の営業パーソンは、通常であれば、なるべく高値で売れるように様々な工夫をします。
自社だけで買い手を探すことだけにこだわらずに、不動産のポータルサイトに広告を出したり、レインズに登録し、他の不動産会社にも
声をかけて、なるべく高く早く好条件の買主を探し、売却が成功するように努力をします。
しかし、一部の不動産会社では、他の不動産会社にあなたの物件を一切社外に紹介せず、自社のお客様だけで探すことに、こだわることがあります。
この行為を「囲い込み」といいます。
レインズに物件登録をしていても、不動産会社からの物件確認の連絡に対して、すでに申し込みが入っていて契約予定と回答して、断ったりすることもあります。
他の不動産会社はよせつけず、買いも売りも自社だけで完結しようとして、仲介料を双方からもらい、自社の利益の最大化を狙います。
売主様には、「なかなか申し込みが入らない」など嘘の報告をして、「価格をなさげしてほしい」など交渉をしてくることもあります。
売主様の投資ワンルームマンションを高く売る目的に反する、悪質な行為です。
このような営業パーソンのいる不動産会社には、くれぐれも気をつけてください。
極端に安い価格で、投資ワンルームマンションが売却される危険性をはらんでいるからです。
悪質な場合、市場価格の半値で売却されるケースもあります。
囲い込みをされると、物件が売れるチャンスを増やせず、売主は困った状況になります。
しかし、不動産会社側は、他社に流れずに自社だけで買い手を見つけられるので、買主と売主の双方から仲介手数料をもらい、仲介手数料で儲けることができます。
そのため、売上を2倍にしようと、「囲い込み」を行うように画策するわけです。
極端な例ですが、売れるチャンスを増やして高値で売るよりも、囲い込みをして価格を安くして売ったほうが、
得だと考えるような会社も実際にありますので注意が必要です。
また、大手の不動産会社だから安心と言うこともないようです。
参考:「大手不動産が不正行為か 流出する“爆弾データ”の衝撃」
売主様は数ある不動産会社から、本当に信頼できる会社を探していただきたいです。
投資ワンルームマンション売却の不動産会社の選定ポイントは下記コラムから確認をしてください。
投資用ワンルームマンション売却をお願いするべき不動産会社選定のポイント
消費者が囲い込みに気付くことはできる?
2025年から始まった囲い込みの規制について
囲い込みを行う業者の特徴はある?
囲い込みの他にも、投資マンションの売買取引において問題だと感じること
代表取締役伊藤幸弘
囲い込みは、お客さんの利益よりも自社の利益を最大限に追求する手法です。具体的に言うと、仲介手数料を売主と買主の両方から取りたいがために、自社で預かった物件をレインズには登録するんですが、他社からの問い合わせを断ってしまうんです。「すでに自社で申し込みがありますとか言って。
例えば、自社のお客さんから2,000万円の申し込みがあって、レインズ経由で他社から2,500万円の申し込みがあったとします。でも、2,000万円の方を優先するんです。なぜかというと、これなら両手が取れるからですね。つまり、売主にとってより高い価格で売れる機会があるのに、不動産会社の都合でそれを妨げてしまう。
レインズに登録はしているものの、他社からの問い合わせを「申し込みが入っています」と断ったり、「御社が買主になってくれるなら話を聞きます」なんて言ったり。なかには大手の仲介会社でも、業者が問い合わせた際に最初から「仲介ですか、買取りですか」って聞いてきて、仲介だと断るところもありますよ。
おそらく上司からそう教育されているんでしょうね。「この物件は両手を狙え」みたいな。若手の営業だと、そういう確認を露骨にしてしまうこともある。驚きましたよ、投資用不動産を扱う会社でそんなことをされて。
背景には仲介手数料の上限規制があって、不動産取引の仲介手数料は400万円以上の物件なら3%+6万円という上限が決められています。だから両手取引にすることで6%取りたいという意図があるわけです。確かに不動産会社は人件費や広告費など、目に見えないコストがたくさんかかっていて、営業利益として残るのはほんの一部なんです。一般の方が思っているほど儲かっているわけではないんですね。