投資マンション売却
新築のワンルームマンションを手放す|残債がある場合や売却時の注意点を紹介
不動産投資で新築ワンルームマンションを購入したものの、すぐに売却を検討するケースがありますが、どのような理由からでしょうか。また、手放すといっても住宅ローン残債が残っている場合には注意が必要です。
不動産投資で新築ワンルームマンションを購入したけど、手放すことになる理由や売却時の注意点を解説します。
目次
新築のワンルームマンションを手放す理由
新築のワンルームマンションは投資物件として売買されることが多く、居住用として購入する方は少ないため、購入者層は限定的になります。
また、新築のワンルームマンションは立地がよいことが多く、資産価値も高いです。このような背景があるにも関わらず、なぜ売却するのでしょうか。売却の理由には計画的なものとそうでないものがあります。
計画的な売却
ワンルームマンションは不動産投資用物件として、人気があります。
居住用ではなく不動産投資用物件としてワンルームマンションを購入し、賃貸にだすことで収益を得る仕組みは、常に売却のタイミングを計る必要があります。
なぜなら、不動産投資は毎月の収益+売却益で利益を得るのが一般的であるため、資産価値が残っている築年数が浅い時期に売却するケースが多いからです。
このように、利益を得るための計画的な売却であれば、なんら問題はありません。
計画的ではない売却
新築ワンルームマンションの計画的ではない売却には、以下のようなケースが考えられます。
- 思い通りの収支にならない
- 所有が面倒になった
- 買い替えたい
思い通りの収支にならない
購入価格が高かったり賃貸需要が思ったよりよくなかったりした場合は、思い通りの収支にならないことがあります。
改善ができれば問題ありませんが、赤字が続いてしまうと、ワンルームマンションを手放さなければならないことがあります。
不動産投資は長期的な視野で判断する必要がありますが、目の前の生活を優先すると、売却が一番よい選択肢になりえることは大いに考えられます。
所有が面倒になった
不動産投資は収支計算をしたり空室対策をしたりと、経営者としての自覚が必要です。
しかし、収支の管理が面倒になったり資産を株など他の資産に移しかえたくなることがあります。このようなケースでも売却を検討します。
注意が必要なのは、売却する際にも仲介手数料や税金がかかることです。諸費用がかかることも考慮したうえで検討しなくてはいけません。
買い替えたい
所有物件の周辺の環境変化や不動産市場のトレンドの変化によりワンルームマンションの買い替えをするケースもあります。
不動産投資は利益をだすために行うものですから、より利益が見込める物件に乗り換えるのはごく自然なことです。このケースは計画的な売却ではありませんが、前向きな売却だといえます。
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手放したくても売却できないケースがある
居住用であれ投資用であれ、ローンが残っている状態で売却することは難しいといえます。
ローンが残る状態での売却について詳しく解説します。
ローンは完済する必要がある
不動産を売却するときはローンの完済が必要です。
ローンの完済が必要な理由は、金融機関がローンを貸し出した際にマンションに抵当権を設定しているためです。マンションの所有権を移転するときは、抵当権が設定されていない状態にする必要があります。これは買主が抵当権の実行によって競売にかけられることを防ぐためです。
つまり、ローン返済中の家を売却する際には、事前に住宅ローンを完済しておくか、売却代金で一括返済する必要があります。
売却代金で完済できればよいのですが、マンションは新築でなくなった途端に価値がぐんと下がります。そのため、売却代金がローン残債を下回って売却できないケースが起こりえます。
自己資金を使う
残債よりも売却代金のほうが高い状態を「アンダーローン」、売却代金のほうが低い状態を「オーバーローン」といいます。
売却代金のほうが低い状態の「オーバーローン」だと売却ができませんが、不足分を自己資金で賄えば、問題なく売却できます。
このまま不動産投資を続ければ赤字が膨らむと予想できる場合に、自己資金に余裕があるのであれば、自己資金で完済して売却するのが最善策といえるでしょう。
ローン返済が難しければ任意売却も視野に
任意売却は、ローンを返済できない場合に、債権者である金融機関と交渉して競売ではなく一般の市場で売却する方法です。
ローンの返済が続くと最終的には競売にかけられてしまいます。競売は売却価格が相場より大幅に下がってしまいます。任意売却であれば、適正な市場価格で売却することができ、その分を返済に充てられます。
任意売却は競売を回避するための売却方法だといえます。ローンの返済が滞った場合はすぐに不動会社に任意売却についても相談をしましょう。
新築ワンルームマンションを手放す際の注意点
ワンルームマンションを売却する際には注意点があります。注意点を把握せずに進めると大きな失敗につながるおそれもあります。
相場以上の価格設定は危険
ローン完済するために、売却価格を調整することがあります。たとえば、2,000万円の残債がある場合、2,000万円以上で売却できれば残債を完済できます。
しかし、完済したいがために相場以上の価格を設定してしまうのは危険です。相場より高いマンションは買い手がつかずに販売が長期化してしまいます。販売が長期化してしまうと、「売れ残り物件」として認知されるようになり、余計に買い手がつきづらくなります。
このような事態を避けるために、残債がある程度減るまで売却時期を見直すのが有効です。
残債を減らすことで売却価格の設定に余裕が生まれ、売却価格を相場に近づけることができます。
高く売却しようと焦って行動してしまうと、返って損をしてしまうおそれがあります。残債を減らしながら、売却タイミングを計ることが重要だといえるでしょう。
値上がりしている場合は所有期間に注意
ワンルームマンションの取得金額より売却価格のほうが高い場合は、譲渡所得税がかかります。簡単に言うと、売却によって利益が出た場合は税金を納める必要があるということです。
譲渡所得税は利益が出た分に税率が掛け合わされますが、その税率はマンションの所有期間によって異なります。具体的には、所有期間が5年以内であれば税率は39.63%であるのに対し、5年を超えると20.315%となります。
また、所有期間は譲渡した年の1月1日時点で判断がされます。したがって、2015年5月に取得したワンルームマンションを2020年10月に売った場合でも、所有期間は5年以下となるため、注意が必要です。
所有期間が5年以内で売却すれば、高い税率が課せられます。そのため、5年を超えるのを待ってから売却するのも賢い選択です。
しかし、譲渡所得税がかかるのはあくまで利益が出たときです。取得金額を売却価格が上回らなければ、譲渡所得税はかかりません。
必ずプロに相談する
ワンルームマンションを売却するためには、売却価格や販売方法だけでなく、売却の時期も重要となります。
また、そもそも売却をせずに持ち続けたほうがいい場合もあります。最適な選択をするためにも早い段階でプロに相談する必要があるでしょう。
もちろん、最終的な判断は自身で行う必要がありますが、正しい判断をするにはたくさんの情報が必要です。そのため、ひとりでじっくり検討してからプロに相談するのではなく、まずはプロに相談し、収集した情報を元に検討するという順番が正しいです。
あなたのマンション・アパートの価格が分かる
コラム監修
伊藤幸弘
資格
宅地建物取引主任者・賃貸不動産経営管理士・FP技能士・公認 不動産コンサルティングマスター・投資不動産取引士・競売不動産取扱主任者・日本不動産仲裁機構ADR調停人
書籍
『投資ワンルームマンションをはじめて売却する方に必ず読んでほしい成功法則』
『マンション投資IQアップの法則 ~なんとなく投資用マンションを所有している君へ~』
プロフィール
2002年から中古投資マンションを専門に取引を行う。
2014年より株式会社TOCHU(とうちゅう)を設立し現在にいたる。