投資マンション賃貸
オーナーチェンジ物件に自分が住みたい!居住する方法とメリット・デメリット
入居者のいる投資用物件は、オーナーチェンジ物件として売りに出されています。なかには自分が住みたいと思うほど魅力的な物件があるかもしれません。もしそのオーナーチェンジ物件に自分が住むとすれば、どういった方法があるのでしょうか。
オーナーチェンジ物件に住む方法とメリット、デメリットについて解説します。
目次
オーナーチェンジ物件に自分が住むことは可能!
結論からいうと、自分がオーナーになった物件にオーナー自身が住むことは可能です。
ただし、オーナーチェンジ物件はあくまでも投資用物件であって一般的な住宅ではないため、実際に住むにはいくつかの注意点があります。
オーナーチェンジ物件に、オーナー自身が住む方法についてご紹介します。
オーナーチェンジ物件とは
オーナーチェンジ物件とは、入居者(借主)が物件に住んでいる状態で売買される収益物件のことです。前オーナーが何らかの理由により、入居者つきの物件を手放すことで市場へ売りに出されます。
マンションのオーナー(貸主)のみが変更(チェンジ)され、すでに入居者が借りていることから、空室リスクを軽減できるのがメリットです。入居者を新たに募集しなくても入居者がいるため、購入後は毎月家賃収入を得られます。
このように、オーナーチェンジ物件では、貸主として家賃を受け取る権利がそのまま引き継がれるのが特徴です。ただし、敷金返還義務や修繕義務など、貸主としての義務もそのまま引き継がれることも覚えておきましょう。
オーナーチェンジ物件に自分が住む方法
オーナーチェンジ物件でオーナー自身が暮らしたい場合、空いている部屋があればすぐに住めます。しかし、満室では入居者が退去してからでないと住めません。オーナーチェンジ物件に自分が住むときには、まず賃貸借契約の種類を確認しましょう。
賃貸借契約の種類には「定期建物賃貸借契約」と「普通建物賃貸借契約」のふたつがあり、契約の種類により、それぞれ対応の仕方が違います。
定期建物賃貸借契約の場合
定期建物賃貸借契約とは、あらかじめ定めた期間が満了すると賃貸借契約が終了する契約形態のことです。したがって、更新の義務がオーナーにないため、契約が終わればすぐに退去してもらえます。
同じ建物賃貸借契約でも普通建物賃貸借契約は借主に有利な内容ですが、定期建物賃貸借契約は貸主に有利な契約です。
賃貸借契約の種類が定期賃貸借契約であれば、契約期間が満了次第オーナーはスムーズに入居できます。
普通建物賃貸借契約の場合
普通建物賃貸借契約とは、1年以上の賃貸借期間が定められており、契約更新が可能な契約方法です。一般的な契約方法であり、契約後は入居者が自ら退去するまで原則同じ条件で更新されます。
普通建物賃貸借契約は借主が強く保護されているのが特徴です。したがって、オーナーでも正当な事由がない限り、契約を解除することはできません。
そのため、普通建物賃貸借契約の場合は、次の方法を選ぶことになります。
- 入居者が自然に退去するまで待つ
- 入居者に立退料を支払って退去してもらう
ファイナンシャル・プランナーによる
みらい収支シミュレーションはこちら
居住者に退去してもらうにはどうする?
オーナーチェンジ物件にはすでに入居者が暮らしているため、オーナーであっても自由に契約解除することはできません。したがって、入居者が退去しなければいつまで経っても住めないのが問題点です。
ここでは、居住者に退去してもらう方法について解説します。
自然に退去するのを待つ
一番手間もかからず問題がないのは、入居者が自然に退去するのを待つことです。入居者が転勤など自らの都合で退去する場合は特に何もする必要はなく、契約満了前でも部屋が空くケースはよくあります。
ただし、あくまでも入居者の都合によるものなので、いつになったら退去してもらえるのか見とおしは立ちません。気長に自然退去まで待てる場合に適している方法です。
強制的に退去させる
強制退去を行うには、借主と貸主の信頼関係が破壊されていることが挙げられます。たとえば、「3カ月以上も家賃を支払っていない」「契約内容と違う用途で使用している」など、契約違反となる行為を入居者が行っている場合です。
この場合、オーナーは賃貸借契約を解除して入居者に貸室の明け渡しを求められ、立退料も不要です。
ただし、強制退去させるには裁判所からの立ち退き催告が必要で、強制退去が終了するまで多くの手間と時間がかかります。弁護士費用や裁判費用などのお金もかかるため、実行には困難をともないます。
交渉して退去してもらう
入居者が出ていく予定がなく、オーナーが早めに住みたい場合は「立退料」を支払って退去してもらうことになります。
立退料は引っ越し代や引っ越し先の敷金や礼金などの諸費用を支払わねばならないため、数十万円程度になると考えられます。まとまった金額が必要になるため、じっくり検討しましょう。
入居者との話し合いがこじれると立退料が高額になる場合があるため、事前に交渉の計画をしっかり立ててから穏便に話し合う必要があります。
オーナーチェンジ物件に住むメリット
オーナーチェンジ物件に住むメリットには、次の3つがあります。
- 自分が住むまで家賃収入を得られる
- 安く購入できることがある
- 将来的に節税特例を利用できる
オーナーチェンジ物件に住むメリットについて、それぞれ詳しく解説します。
自分が住むまで家賃収入を得られる
オーナーチェンジ物件にはすでに入居者が住んでいるため、自分が住むまで家賃収入を得られるのがメリットです。たとえば、勤務先で社宅や寮が完備されている場合は住む場所があるため、自分が将来的に住むときまで毎月一定金額の不労所得が手に入ります。
安く購入できることがある
オーナーチェンジ物件であれば、自宅を購入する場合より安く取得できる場合があります。たとえば、駅から遠いなどの理由から賃貸物件として人気が低い物件が、オーナーの都合で安く売り出されているケースもあるのです。
一方、駅から近いなど立地のよい物件は賃貸物件として人気が高いため、通常より高値で取引されていることも少なくありません。
将来的に節税特例を利用できる
オーナーチェンジ物件を自宅として利用すると、いずれ売却するときに節税特例を利用できます。マイホームを売却したときの特例が、「居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例」です。
本来であれば収益物件は節税特例を受けられないのですが、自宅として使用することで3,000万円の特別控除などを活用し、売却時の譲渡所得税を軽減できます。
オーナーチェンジ物件に住むデメリット
オーナーチェンジ物件に住むデメリットには、次の3つがあります。
- 購入してすぐ居住できない
- 住宅ローンを利用できない
- 立退料が必要になる
それぞれのデメリットについて解説しましょう。
購入してすぐ居住できない
オーナーチェンジ物件には入居者がすでに住んでいるため、いくら所有者であっても購入してすぐに住むことはできません。自分が住むには入居者が自然退去するか、入居者と交渉して退去してもらうなどの方法が必要です。
自分ですぐに住みたい場合、オーナーチェンジ物件は適していないので、通常のマイホーム用物件を選んだほうがよいでしょう。
住宅ローンを利用できない
オーナーチェンジ物件は収益物件のため、金利の安い住宅ローンを利用できません。金利が高い事業用のアパートローンを利用することになります。
住宅ローンを利用して収益物件を購入したことが発覚すると詐害行為(ルビ:さがいこうい)になり、住宅ローン残債の一括返済を求められたり、損害賠償を請求されたりするおそれがあります。
立退料が必要になる
入居者の自然退去を待っていると、いつまで経っても入居できません。そのため、タイミングよく入居者が退去しない場合は、立退料を支払って退去してもらうことになります。
立退料は引っ越しにかかる実費を請求されるケースが多いため、数十万円以上の高額になると考えられます。
オーナーチェンジ物件を購入するときの注意点
オーナーチェンジ物件の購入を検討している場合に、気をつけるべきことがあります。どのようなことに気をつける必要があるのか解説します。
敷金を引き継ぐことになる
オーナーチェンジ物件を購入すると、毎月の家賃を受け取る権利を得られます。しかし、その一方で「敷金返還義務」も発生するため、入居者が退去するときには前オーナーが預かった敷金を返還しなければなりません。
自分が敷金を受け取っていなくても、敷金分のお金を入居者に支払うことになります。
不良住人の可能性がある
すでに入居者が住んでいるため、どんな人が住んでいるのか詳しいことはわかりません。そのため、入居者に問題があることも考えられます。
物件を購入するときに見られる資料には、入居者の詳細な情報が記載されていないのです。そのため、購入後にトラブルメーカーであることが発覚するケースも少なくありません。
あなたのマンション・アパートの価格が分かる
コラム監修
伊藤幸弘
資格
宅地建物取引主任者・賃貸不動産経営管理士・FP技能士・公認 不動産コンサルティングマスター・投資不動産取引士・競売不動産取扱主任者・日本不動産仲裁機構ADR調停人
書籍
『投資ワンルームマンションをはじめて売却する方に必ず読んでほしい成功法則』
『マンション投資IQアップの法則 ~なんとなく投資用マンションを所有している君へ~』
プロフィール
2002年から中古投資マンションを専門に取引を行う。
2014年より株式会社TOCHU(とうちゅう)を設立し現在にいたる。