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分譲マンションを貸すと儲かるのか。売り出した方が儲かるのか、どうなる?
分譲マンションを貸すことで、どのくらい儲かるのでしょうか。住むことのなくなったマンションには、賃貸に出す以外にも売って売却益を得るという選択肢もあります。
分譲マンションを貸すのも売るのも、どちらもメリット・デメリットがあります。どちらがよりよい選択か、不動産市況や自身のライフプランなどから、十分に検討しなければなりません。
今回は分譲マンションを取り巻く不動産市況から、賃貸と売却のどちらがよいのかについて解説します。
目次
分譲マンションを所有するなら、貸すか、売るかどちらが儲かる?
不動産市況から、分譲マンションは貸したほうがよいのか、または売ったほうがよいのかについて考察します。
分譲マンションの中古価格は過去最高レベルの高騰状態
東日本不動産流通機構が発行している季報「Market Watch」によると、首都圏中古マンションの成約価格は上昇を続けており、2022年7〜9月期においては4,355万円と過去最高レベルの高騰状態を記録しています。
成約したマンションのうち40%近くが築20年を超える中古マンションです。リノベーションの考え方が浸透したこともあり、古いマンションを安く購入して自分好みに手を加えたいという需要も増えていると考えられます。
「中古マンションを売りたいけれど、築年数が経っていて売れないだろう」と考えている方も、査定を依頼する価値はあるでしょう。
ファミリー向け賃貸マンションも家賃上昇が続いている
アットホームの「全国主要都市の賃貸マンション・アパート募集家賃動向(2022年9月)」によると、東京23区・東京都下・千葉県におけるファミリー向けマンション(50〜70㎡以下)の家賃は、2015年以来最高値を更新しています。
シングル向きマンション(30㎡以下)に関しても、東京都下・埼玉県・千葉県で前年同月に対し1%以上アップしており、賃貸経営を選択するのも悪くない状況にあると考えられます。
住宅ローンを使った賃貸が発覚すると大ペナルティ
所有しているマンションを人に貸したいけど、住宅ローンが残っているという場合は要注意です。賃貸物件を住宅ローンで購入することは禁止されています。住宅ローンの残っているマンションを賃貸に出したい場合は、必ず融資を受けている金融機関に報告しましょう。
基本的には、不動産投資ローンへ借り換えることで、賃貸物件としての利用が許可されます。不動産投資ローンの金利は住宅ローンより高いため、金融機関に報告せずに人に貸したい、と思われるかもしれません。
しかし、不正がバレた場合は契約違反と見なされ、一括返済を迫られることもあります。そもそも不正行為ですので、住宅ローンを利用しての賃貸業は絶対に行ってはいけません。
分譲マンション、売るか貸すか?メリットとデメリット
分譲マンションを売った場合と貸した場合のメリット・デメリットを表にまとめると、以下のようになります。
メリット | デメリット | |
売る | ・まとまった収益を得られる
・一度の手続きで済み、物件を管理する手間や費用がなくなる |
・売却できないと経費だけがかさむ場合がある
・不動産という資産がなくなる |
貸す | ・安定した家賃収入が得られる
・運用にかかった費用を経費として計上できる |
・管理に手間や費用がかかる
・家賃滞納や空室などのリスクがある |
それぞれのメリット・デメリットを詳しく解説します。
分譲マンションを売るメリット・デメリット
マンション売却の最大のメリットは、まとまった売却益(キャピタルゲイン)を得られるという点にあります。マンションの管理も必要なくなるため、費用だけではなく、時間的なコストを削減できる点もメリットといえるでしょう。
特に複数人でマンションを相続した場合などは、誰が管理をするかでもめる場合がありますが、売却して現金化すればトラブルもなく遺産分配ができるでしょう。
しかし、不動産は株式や債券のような金融資産とは異なり、すぐに現金化できるとは限りません。仲介会社に依頼した場合、売却が完了するまでに数カ月、場合によっては数年かかることもあります。その間、固定資産税や管理費などを支払い続けなくてはなりません。
また、当然のことながら売却するとマンションの所有権を失います。金銭的な価値はもちろんのこと、愛着のあるマンションを手放す際には、本当に後悔しないか慎重に考えましょう。
分譲マンションを貸すメリット・デメリット
マンションという資産を所有しつつ、家賃収入という運用益(インカムゲイン)が得られる点がマンションを貸す最大のメリットです。マンションを手放さなくてもよいので、将来自分で住んだり、値上がりのタイミングを見計らって売却したりと、柔軟性のある運用ができます。
また、不動産運用にかかる費用(固定資産税や管理費、修繕積立金、ローンの金利など)は経費として計上できるため、節税も可能です。その反面、マンション管理に費用や手間がかかるというデメリットがあります。管理会社に管理を任せられるとはいえ、まったく関与しないというわけにはいきません。
加えて、不動産運用には空室リスクや家賃滞納リスクなど、さまざまなリスクが存在します。場合によっては家賃収入が得られず、赤字ばかりが膨らむなど、必ず儲かるわけではないという点は注意が必要です。
入るお金だけではなく、かかる手間や時間についても考えよう
マンションを売る、貸すどちらにせよメリットとデメリットがあり、一概にどちらがよいとはいえません。ただ、一点注意したいのが、賃貸経営は投資というより一種の「事業」の性質を持っているということです。
基本的な管理は管理会社に委託できますが、管理業務の全てを丸投げするのは危険です。適切に管理を行っているか、管理会社とやり取りをしたり、レポートに目を通したり、ときには現地に訪れてマンションの状態を確認したりしなければなりません。
それに加え、運用計画の作成や固定資産税の支払い、確定申告なども行う必要があります。
そうした手間をいとわない人でなければ、賃貸経営はできません。マンションを売るか貸すか悩んだ際には、単に手に入るお金のことだけを考えるのではなく、本当に自分が賃貸経営という事業に注力できるかどうかをよく検討しましょう。
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分譲マンションを貸す際の手順を解説
分譲マンションを人に貸す場合の手順や注意点について解説します。正しく手続きをして、トラブルが起こらないよう気をつけましょう。
①契約方法を決める
まずは分譲マンションを人に貸すに当たり、どのような契約方法を結ぶかを考えます。それによって、依頼する不動産会社も決まるため、あらかじめ方向性だけでも決めておきましょう。契約方法は以下の3つです。
- 普通借家契約
- 定期借家契約
- サブリース契約
普通借家契約
2年ごとに契約更新を行う、もっとも一般的な契約法です。なお、正当な事由がない限りオーナーから契約終了を申し出ることはできないので注意が必要です。
定期借家契約
契約期間を決めて賃貸借契約を結びます。原則として更新はありません。たとえば、転勤の間だけ人に分譲マンションを貸したいという場合は、こちらの契約にすれば戻ってきたあとで住むことが可能です。
また、金融機関によっては、定期借家契約であれば住宅ローンのまま賃貸に出すことを許可することもあります。
サブリース契約
不動産会社とサブリース契約を結び、マンションを貸し出す契約法です。不動産会社は借りたマンションを又貸し、その家賃収入からサブリース料をオーナーに支払います。
空室リスクに悩まされることなく、毎月決まった収入(サブリース料)を得られる点が大きなメリットです。ただし、サブリース料は家賃相場より安く、また更新時期に値下げされることがあるため、通常の契約と比較してキャッシュフローが悪化するおそれがあります。
②不動産会社を決める
マンションを人に貸す際には、入居者募集をしなければなりません。直接入居希望者とやり取りをすると、スケジュール調整や契約条件の交渉などに手間や時間がかかるうえ、取引をしている間に齟齬が生じ、トラブルに発展するおそれがあります。
不動産会社に媒介を依頼し、入居者募集と契約締結のサポートを受けることで、そうしたトラブルを回避できます。また、サブリース契約を結ぶ場合は、サブリース事業に強い不動産会社を選びましょう。
③管理方法を決める
サブリース契約であれば管理もサブリース会社が行いますが、借家契約の場合は管理方法を考えなくてはなりません。管理方法は以下2つに大別されます。
- 自主管理
- 管理委託
自主管理
賃貸管理、物件管理をすべてオーナー自身で行います。管理会社への委託費が必要ないため維持費を削減できますが、賃貸経営の知識や経験が必要です。
また、クレームやトラブルに迅速に対応しなければならないため、賃貸経営を本業としていない限り自主管理は難しいでしょう。
管理委託
賃貸経営の業務全般を管理会社に任せる方法です。賃貸経営のプロフェッショナルが対応してくれるため、手間や時間がかかりません。
デメリットとしては、管理費がかかる点が挙げられます。また、管理を任せられるからといって丸投げにしていると、管理に手を抜かれるおそれがあります。管理委託を選択する際も、賃貸経営に積極的に関わる姿勢が必要です。
④管理会社を決め、賃貸管理委託契約を交わす
管理委託を行う場合は、管理会社を選びます。複数の管理会社に相談し、比較検討したうえで選ぶようにしましょう。
管理会社を選んだら、管理委託契約を交わします。業務内容や費用、中途解約に関する事項など、入念に確認しましょう。
⑤入居者を募集し、決まったら賃貸契約を交わす
準備が整ったら、いよいよ入居者を探します。不動産会社に仲介を依頼している場合は入居者募集や契約書の作成を任せることが可能です。
賃貸契約を一度交わしてしまうと、貸主の一任で契約を解除する(入居者を退去させる)ことはほぼ不可能であるため、契約書の内容は事前にしっかり確認しておきましょう。
賃貸経営を始めるには時間や手間がかかるうえ、不動産会社や管理会社の選定を誤ると、トラブルやリスクを呼び込むことにもなりかねません。また、賃貸経営は始めたあとも行わなければならないことがたくさんあります。その点から考えると、売却したほうが一度の手続きで終了し、手間がかからないためよいかもしれません。
マンションを売却するならば不動産買取も検討しよう
マンション売却は賃貸経営より手間がかからない点が大きなメリットです。しかし、仲介会社に売却を依頼したからといって、すぐに売却できるとは限りません。
まず買い手が現れるまでに時間がかかるうえ、買い手の金融審査が下りるまで待たなくてはいけません。特に立地や状態のよくない分譲マンションは、いつまで経っても売却できないということもありえます。
その場合は不動産買取を依頼するのもひとつの手段です。
不動産買取のメリット
不動産買取であれば不動産会社が直接マンションを買い取るため、買い手が見つかるまで待つ必要はありません。
仲介会社であれば売却完了まで数カ月~数年かかる場合もありますが、不動産買取なら早ければ数日でマンションを処分し、現金を手にできます。中古物件や事故物件など、需要の低いマンションを買い取ってもらえるのも不動産買取のメリットです。
仲介と比較すると売却額は安くなりますが、売却までにかかる経費や、売却できないリスクを考えると、不動産買取には十分なメリットがあるといえるでしょう。
不動産買取ならば経験豊富な会社を選ぼう
買取業者にマンションを売却する際には、経験豊富な事業者を選ぶことをお勧めします。経験豊富な会社であれば、適正な価格で物件を購入してくれます。
大切な資産であるマンションを、少しでも高く、また迅速に売却するためにも、不動産買取業者の選択は慎重に行いましょう。
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