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サブリースの契約期間について。更新や解約についても知っておきたい。

マンションの外観

 

安定して収入が得られるという点が魅力のサブリース。ただ、何となく申し込んでしまい、契約内容などについては正しく把握していない、という方も多いようです。今回は、サブリース契約について確認したいポイントを中心に解説します。

 

サブリースの契約期間のパターン

 

2~3年の契約期間+自動更新

区分マンション投資に多い契約期間のパターンです。販売した会社がそのままサブリース契約を締結し、問題がなければ契約期間満了後に同じ条件で契約を更新する、という内容の特約が記されていることが多いようです。敷金や更新料などの一時金はありません。

 

10~35年の契約期間

10年以上の単位で長期にわたる契約を結び、一括借り上げ保証をすることがあります。アパートなどのデベロッパーが分譲販売時にセットで契約を進めることが多いようです。

 

サブリース契約期間は1年以上

1年未満の賃貸借契約は、借地借家法では定期借家を除き、期間の定めのない契約と見なされます。サブリースも普通借家契約に該当するため、原則としてサブリースの契約期間は1年以上になることを覚えておきましょう。

 

サブリース契約の期間満了時の対応

契約期間を満了しても、正当な事由がなければオーナーからの解約は原則としてできません。一方、サブリース業者は借地借家法で保護される立場にあるため、サブリース業者からの解約は可能です。契約を更新する場合の更新料はないことが多いようです。一定期間は賃料を減額しない、という「賃料不減額特約」は無効のため、更新の際にサブリース業者が値下げの交渉を持ちかけることもあります。こうしたタイミングで、大幅に家賃を下げられてしまったケースもあります。「サブリース業者は不動産業者に含まれるのだから、保護する必要はないのでは?」と思っていませんか? しかし、過去の判例では入居者と同様にサブリース業者の権利が認められているのです。

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サブリース契約の注意点

 

賃料減額の交渉の末に解約の可能性もある

長期一括借り上げ契約だから安心、と考えるオーナーもいますが、家賃の減額交渉がないわけではありません。こうした交渉で合意に達することができなければ、サブリース業者から解約を申し出ることもある点には注意しましょう。ずっと同じ家賃収入を得られる保証はないのです。

 

修繕費等の負担があることを認識しておく

「サブリース業者と契約すれば、あとは何の負担もない」と考えている方は要注意です。転借人(入居者)が退去する場合のリフォーム費用は、オーナーが負担しなくてはなりません。また、設備に不具合が生じる場合は、交換費用なども負担する必要があります。

 

管理委託よりも収入が少ない

サブリース契約の場合、家賃相場の80%ほどが設定されるケースが多いようです。すなわち、サブリース業者が20%の利益を得ます。管理委託手数料の場合は5%程度であることから、サブリース契約のほうがオーナーの手元に入るお金はかなり少なくなることに注意しましょう。キャッシュフローがマイナスになるリスクも増大します。

 

サブリース会社が滞納する可能性もある

サブリース契約をしているから、安定して収入を得られるはず、と考えがちですが、サブリース業者の経営が悪化するリスクも考慮しておかなければなりません。場合によっては、長期にわたり滞納したのちに倒産してしまうこともあります。送金が遅れることが続く場合や連絡が取りづらい場合などは要注意です。早期に契約先の変更などの対応を検討しましょう。

 

オーナーからの解約はできない

前述のとおり、借地借家法ではサブリース業者が保護される立場にあります。オーナーから解約をする場合は、正当な事由が必要になります。物件の売却や管理の変更などは正当事由とは見なされず、一般的にオーナーからの解約は非常に困難と言われます。

 

サブリース契約の継承が困難となることがある

サブリース契約を締結している物件をオーナーチェンジで売却し、新しいオーナーにサブリースを継承したい、と考える場合もあるでしょう。しかし、オーナーの変更時に再査定となり、賃料が大幅に下がる可能性もあります。こうした事態に追い込まれるとサブリース契約の継承は難しく、物件の売却を断念せざるを得ないかもしれません。

 

物件の販売を目的としたサブリースの落とし穴

物件を販売する不動産業者が、「サブリース契約を結ぶので、安定して収入が得られますよ」というセールストークを使うことがあります。しかし、こうして販売された物件は実は賃貸の需要がなく、家賃を安価に設定しなければ入居者がつかないといったこともよくあるのです。高額なサブリース賃料を設定することで魅力的な物件のように見せて販売する、という悪質な手口です。このような場合、実は不動産業者は数年後にはサブリース賃料の値下げや解約をするつもりでいます。トラブルにもつながりかねないケースです。こうしたリスクを回避するため、サブリース契約時にはしっかりと家賃相場を確認しましょう。

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サブリース業者の選び方

 

賃貸管理の能力が高い業者であること

物件を任せるのですから、プロパティマネジメントの能力が高いという条件は譲れません。維持管理、賃貸の客付けの力、業者間のネットワーク、リフォームの提案力、家賃を滞納する入居者への対応スキルなど、さまざまな能力が要求されます。どれかに突出しているよりも、総合的に対応力が優れている業者を選ぶと良いでしょう。

 

社歴と実績を確認する

前述のとおり、サブリース業者が倒産することもオーナーにとっては大きなリスクです。サブリース契約を締結する際は、業者の与信調査をしっかりと行いましょう。また、取り扱い実績や対応の良さなども重要です。インターネットで検索して評判をチェックすることも忘れずに行いましょう。セカンドオピニオンとして、他の不動産業者に相談するというのも1つの方法です。

 

サブリースと管理委託の違いとは

 

賃貸借契約の当事者は誰か

サブリースと管理委託では、賃貸借契約の当事者が異なります。サブリースの場合、オーナーとサブリース会社、サブリース会社と入居者でそれぞれ契約を締結します。

一方、管理委託の場合は、オーナーと入居者で契約を締結します。管理委託契約に基づき、管理会社が集金管理やトラブル対応の役割を担います。

 

空室時に家賃収入があるかどうか

サブリースの場合、部屋が空室であっても家賃がオーナーに振り込まれます。一方、管理委託では空室時には家賃は発生しません。

空室率が高いエリアの物件の場合、サブリース契約のほうがオーナーにとってはメリットが大きい可能性があります。一方、築浅の物件や立地条件がいい物件など、競争力が高く、空室のリスクが低いようであれば、サブリース契約を選ぶほうが損となるかもしれません。

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コラム監修

コラム監修

伊藤幸弘

資格

宅地建物取引主任者・賃貸不動産経営管理士・FP技能士・公認 不動産コンサルティングマスター・投資不動産取引士・競売不動産取扱主任者・日本不動産仲裁機構ADR調停人

書籍

『投資ワンルームマンションをはじめて売却する方に必ず読んでほしい成功法則』


『マンション投資IQアップの法則 ~なんとなく投資用マンションを所有している君へ~』

プロフィール

2002年から中古投資マンションを専門に取引を行う。
2014年より株式会社TOCHU(とうちゅう)を設立し現在にいたる。

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