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中間省略登記は仲介手数料を支払う必要がない?三為業者に依頼するか判断に迷ったら

不動産の売却は、売主から買主に所有権を移転して、引き渡しをします。

不動産取引の中には、所有権移転登記を省略する「中間省略登記」という方法があります。売却を依頼する不動産会社から、中間省略登記による売却をすすめられるケースがあります。

本記事では、中間省略登記の仕組みや仲介手数料について解説します。

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中間省略登記と仲介手数料の必要性

ここでは中間省略登記の仕組みと、登記の省略により売却する場合の注意点を紹介します。

中間省略登記と新・中間省略登記

売主AとBが売買契約したあとに、Bが売主となって買主Cと売買契約するケースで考えてみましょう。中間省略は、所有権移転を売主Aから買主Cへと行い、Bへの所有権移転を省略することです。

しかし、中間省略による所有権移転登記は、2005年3月の新不動産登記法の施行により認められなくなりました。理由は「権利の取得や移転の経緯を忠実に反映させるべき」との考えからです。

その後、不動産証券化の流れが加速し、不動産会社Bが買主となり売買契約を締結するも、系列の不動産共同特定事業をする特定目的会社などが、最終的な買主Cとして所有権移転登記を行う事例が増加しました。

このような場合、不動産会社Bが所有権移転登記を行うことが合理的とはいえません。

そのため2007年1月12日から、「新・中間省略登記」として、第三者のためにする契約が認められるようになりました。新・中間省略登記では、A→B→Cと所有権が移転するプロセスで、直接A→Cへの所有権移転が認められます。

三為契約と仲介手数料

第三者のためにする契約を略して「三為契約」と呼びます。

A→B→Cで行われる三為契約の場合を考えてみます。AB間で直接売買契約を取り交わす場合は、仲介手数料を支払う必要がありません。

中間に位置するBは、不動産会社のような宅地建物取引業者になることが多いです。

AB間の取引にほかの不動産会社が介在することがあり、この場合はA、Bともに仲介手数料を支払います。

売主が採りうる選択肢

不動産の売却方法は、不動産仲介と不動産買取の2つの選択肢があります。

  • 不動産仲介
    不動産会社が仲介をして、買主を探す方法
  • 不動産買取
    不動産会社が買主となる方法

不動産仲介の買主は、一般の個人だけでなく別の不動産会社となることもあります。

不動産仲介と不動産買取の両方とも、買主が転売目的の購入であれば、三為契約により第二の買主に直接所有権移転する可能性があります。また、通常の所有権移転が行われる売買になることもあります。

不動産買取の場合は三為契約であってもなくても、仲介手数料はかかりません。また、不動産仲介の場合は、三為契約でも仲介手数料は必要です。

仲介手数料負担の有無は、あくまでも不動産仲介か不動産買取かによって異なることに注意しましょう。

三為契約か通常の売買契約か

三為契約か通常の売買契約かは、売主ではなく、あくまでも転売を目的とした買主が選択します。

ただし、売却を依頼した不動産会社に三為契約を提案されることがあります。そのとき、売主として知っておきたい注意点をここで紹介します。

不動産仲介か不動産買取かを判断

不動産買取の場合、不動産仲介より売却価格が約2~3割安くなります。

そのため一般的に、不動産買取よりも不動産仲介を選択するのが、妥当な判断といえます。

しかし後ほど紹介しますが、売主にとって不動産買取のほうがメリットとなる場合もあり、ケースバイケースで判断するとよいでしょう。

三為契約のメリット

仲介を挟まず、ABCのみで三為契約が行われる場合は、Bが売主Aから直接買い取ることになります。そのため、以下のような不動産買取のメリットが、そのまま三為契約のメリットといえます。

  • 取引がスピーディーで不動産の現金化が早くできる
  • 買主が宅建業者のため売主は契約不適合責任を負わずに済むことが多い
  • 仲介手数料が不要

三為契約のデメリット

三為契約のデメリットも、不動産買取のデメリットと同様に、買取価格が不動産仲介による市場価格より安くなるのが大きなポイントです。

ほかには、ほとんど売主にとって不利な面はありません。しかし、あえて指摘すると、次のような理由で決済と引き渡しが遅くなるおそれがあります。

  • 決済時期が最終的な買主の条件によって決まる
  • 売買契約時点で最終的な買主が決まっていないと決済が遅くなる

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中間省略登記でよくあるトラブル

三為契約は、売主が最終的な買主とは取引しません。

しかし売主が受領する売却代金は最終的な買主の資金によるもののため、決済に関するトラブルが生じるおそれがあります。

転売先がみつからず決済が伸びてしまう

三為契約はA→B→Cと売買契約が締結され、所有権移転をA→Cへと行うことが前提です。つまり、最終的な買主であるCが決済すると、取引が完結します。

しかしA→Bの契約締結後、予定していたB→Cの契約が締結できないことが考えられます。すると、売主Aは結果的に売却できず、予定していた資金計画に狂いが生じてしまいます。

三為契約では、Bは所有権の移転先として買主Cを指定しますが、買主CではなくBを所有権移転先として指定できます。そのため、最終的な買主がBとなる場合も想定して、特約条項を設けています。

Bが所有権移転を受けると取引は完結しますが、Bが購入代金を準備できていないかもしれません。この場合、決済が伸びてしまうおそれがあります。

決済当日の着金確認ができない

決済時の売買代金はC→B→Aの順で受け渡しを行います。つまり、買主Cが支払う代金をBが受領し、そのうえで売主Aに支払います。現金での受け渡しをしない場合は、銀行口座を経由します。

そのため、三為業者であるBに対し、第三者である債権者による引き落としや差し押さえなど、Aに対する支払いが実行できない不測の事態が起きるおそれがあります。

またC→B→Aの順で振込みによる場合、銀行の営業時間内に着金確認が取れないなどのアクシデントも考えられます。

三為契約の決済は時間的余裕をもち、確実に売却代金を受け取れるように準備をする必要があります。

不動産売却は実績のある業者が安心

三為契約は決済時の当事者が多くなり不測のアクシデントが発生すると、決済と引き渡しが順調に行われないおそれがあります。

また、三為契約の選択は三為業者の都合により行われることが多いため、売主の選択肢として有力な方法とはいえません。

三為契約を不動産会社から提案された場合は、三為契約の実績などを確認し、トラブルの生じない取引になるよう慎重に進める必要があります。

特に投資物件の売却は三為契約を採用するケースが少なくありません。

投資物件の売却は、専門的な知識や経験が必要です。不動産会社を選ぶときは、三為契約かどうかではなく、物件の販売力があるかで判断しましょう。
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コラム監修

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伊藤幸弘

資格

宅地建物取引主任者・賃貸不動産経営管理士・FP技能士・公認 不動産コンサルティングマスター・投資不動産取引士・競売不動産取扱主任者・日本不動産仲裁機構ADR調停人

書籍

『投資ワンルームマンションをはじめて売却する方に必ず読んでほしい成功法則』


『マンション投資IQアップの法則 ~なんとなく投資用マンションを所有している君へ~』

プロフィール

2002年から中古投資マンションを専門に取引を行う。
2014年より株式会社TOCHU(とうちゅう)を設立し現在にいたる。

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