投資マンション売却
収益物件のオーナーチェンジの流れを解説。メリット・デメリットについて
収益物件をオーナーチェンジで売買することにはさまざまなメリットがありますが、一方で注意しておくべきポイントもあります。オーナーチェンジでの購入を検討している方には必見の情報です。
目次
収益物件のオーナーチェンジのメリット
室内の確認がいらない
オーナーチェンジでは、入居者が居住したまま物件が取引されるため、室内の実査点検がありません。書類が整えばすぐに取引ができるため、スピーディに購入を進めたい方にはおすすめです。
すぐに家賃収入を得られる
すでに入居者がいる物件のため、内装を行ったり、賃貸の募集をしたりする必要がありません。購入時から家賃収入を得られるため、収支の計画が立てやすいというメリットがあります。ローンを組む場合も返済の計画が立てやすく、自己資金が少ない場合でも購入できる可能性があります。
投資ローンを組みやすい
金融機関にとっても利回りなど、事業性の判断を行いやすいという特徴があるため、収益物件は投資ローンを組みやすい点もメリットです。
物件のこれまでの運用データがわかる
前オーナーの賃貸運用や修繕管理の履歴を把握できるため、新築の物件で投資を行うよりも収支計画を立てやすいと言えます。その分、リスクを抑えることもできるのです。
収益物件のオーナーチェンジのデメリット
購入後すぐに退去される可能性もある
家賃収入を得られる確実性が高いのがオーナーチェンジ物件のメリットですが、購入後に入居者が退去するリスクもゼロではありません。たとえば現在設定されている家賃が相場より高い場合など、入居者が不満を感じる要素がある物件は、特にこうしたリスクに注意しておくべきでしょう。
退去後の内装費用を想定しづらい
購入前に室内を点検できないため、内装費用がどの程度かかるか正確に把握することはできません。オーナーチェンジ物件の購入価格には内装費用を含みますが、できるだけ高く見積もって購入価格を決定することが大切です。
家賃が下がる可能性がある
入居者が退室した後、現状の家賃を下げなければなかなか新しい入居者が見つからないこともあります。現状の家賃は相場に対して高いのか、あるいは安いのか、しっかりと確認しておきましょう。また、物件の築年数が経過すれば、家賃は当然下がります。購入時に家賃が高いからといって安心すべきではありません。
トラブルや設備不具合のリスクがある
オーナーチェンジ後に設備の不具合などのトラブルが発生することもあります。オーナーチェンジ物件に限ったことではありませんが、突然の出費にも対応できるよう、資金は十分に用意しておかなければなりません。
収益物件のオーナーチェンジの流れ
- 物件査定
- 媒介契約
- 物件紹介
- 購入申込
- 融資打診
- 売買契約締結
- 物件引渡し
- 入居者、管理会社に連絡
物件の売却を検討する売主は、まず業者に査定を依頼します。その後、不動産会社と媒介契約を締結し、買主を探し始めます。
物件を気に入った買主候補が購入申し込みを行い、その後購入に向けて金融機関に融資の相談をします。
買主と売主のあいだで契約条件に合意したら、売買契約を締結し、引き渡しの期日に物件を引き渡します。その後、入居者、管理会社にオーナーが変わったことを通知します。通知は新オーナーから行うことが多いですが、事前にどちらが実施するかを決定しておきます。
物件の取引に伴う納税のため、確定申告も必要となるため注意しましょう。
売主がオーナーチェンジで売却する理由
収益悪化
売主がオーナーチェンジで物件を売却する理由についても押さえておきましょう。まずは物件の収益の悪化です。さまざまな要因が想定されますが、多くは購入時の収支の見積もりが甘いことに原因があります。毎月収支がマイナスとなる状態が続くと、多くのオーナーは損切りのために物件の売却を検討するというわけです。物件に問題があるのか、事業収支計画に問題があったのか見定めてください。
買い替え
ワンルームマンションの運用を行っていたオーナーが、一棟物件に買い替えるケースが増えています。また、長年物件を所有していると老朽化により収益性が低下するため、築年数のより浅い物件に買い替えるというパターンもあります。
相続による売却
相続対策として所有していた物件を、相続完了後に換金するため売却することがあります。また、相続人が収益物件を所有する意向がないために処分するケースもあります。
他の投資への乗り換え
株など、不動産以外の投資へと乗り換えるパターンです。収益物件を売却し、その資金を株などに充てるというやり方です。
ライフイベント
結婚などにより、投資の見直しをする人は多いものです。近年は投資ブームで若年層が収益物件を購入することも増えていますが、こうした層が結婚するタイミングで物件を売却するケースも多いようです。
収益物件を取引する前にチェックするポイント
賃貸契約書等
特にチェックしたいのは、期間、敷金、保証会社といったポイントです。また、入居申込書も確認して、入居者の属性を把握しておくとよいでしょう。必要な書類が揃っていない場合は、引き継ぎ後にトラブルとなる可能性もあります。慎重に確認を行いましょう。
修繕履歴
室内や建物全体のリフォーム、修繕の履歴を確認しましょう。これにより、今後どの程度の修繕費用が必要となるかを想定することができます。事前の収支計算をする場合、このような情報を反映することで精度を高めましょう。
登記事項証明書(謄本)
所有期間があまりにも短い場合は、トラブルの可能性もあるため、慎重に調査を進めましょう。また、所有者が売主ではない物件は、不動産業者の転売で相場よりも高い可能性があります。
売主と不動産会社への聞き取り
近隣住民とのトラブルや、水漏れ等の故障履歴といった情報、あるいは家賃の滞納などについて、事前にしっかりヒアリングしておきましょう。物件状況報告書など、書類として残しておくと良いでしょう。
良い収益物件を購入する方法
常に新着物件をチェック
不動産会社のポータルサイトなどをくまなくチェックして、最新の情報を継続的に確認しましょう。新着物件はメール等で情報が届くように設定すると良いでしょう。これを続けるうち、相場観が身についてきます。
好条件の物件は、すぐに買い手が決まってしまいます。情報収集能力を磨くことが大切です。
複数の不動産会社と情報を交換する
1社のみとやり取りをしていると、情報が偏り、適正な価格での取引も難しくなります。複数の会社と良好な関係を築くことが、良い物件に巡り会うチャンスを拡げます。物件のなかにはポータルサイトに情報が公開されないものもありますが、このような情報を優先的に紹介してもらえるかもしれません。
現地での視察を怠らない
徒歩での距離や騒音、周囲の環境などは、現地に足を運ばなければなかなか分からないものです。物件の空室率などもひと目で把握できます。
対象となる物件だけではなく、周囲のアパートなどもチェックすると、エリアとして空室が多いかどうかを確認することができます。
事前に資金計画を立てる
どのような条件でどの程度の金額を融資してもらえるか、事前に複数の金融機関に相談しておくと、良い物件があったときに円滑に手続きを進めることができます。具体的な資金計画がないと、売主がその買主の優先順位を下げてしまうこともあります。また、不動産会社の営業の優先度も下がってしまいます。
あなたのマンション・アパートの価格が分かる
コラム監修
伊藤幸弘
資格
宅地建物取引主任者・賃貸不動産経営管理士・FP技能士・公認 不動産コンサルティングマスター・投資不動産取引士・競売不動産取扱主任者・日本不動産仲裁機構ADR調停人
書籍
『投資ワンルームマンションをはじめて売却する方に必ず読んでほしい成功法則』
『マンション投資IQアップの法則 ~なんとなく投資用マンションを所有している君へ~』
プロフィール
2002年から中古投資マンションを専門に取引を行う。
2014年より株式会社TOCHU(とうちゅう)を設立し現在にいたる。