マンションの売却を検討している方にとって、重要なポイントとなるのが買取相場の把握です。適正な価格で売却するために、計算方法などをしっかりと理解しましょう。
マンションの買取相場は流通価格の75~80%
不動産を売却する場合、「仲介」と「買取」の2つの方法があります。仲介の場合、不動産会社に販売活動を委託し、買主を探します。無事に売買契約が締結されると、仲介手数料を不動産会社に支払います。
一方、買取は不動産会社が直接物件を買い取り、その後転売するというものです。不動産会社としての諸経費や利益分が差し引かれるため、売却価格は流通価格よりも安くなります。
マンション買取価格の計算方法
計算シミュレーション
不動産会社の販売価格 |
4,000万円 |
リフォーム費用 |
▲400万円 |
税金負担(消費税等) |
▲100万円 |
諸経費(登記費用等) |
▲50万円 |
不動産会社の利益 |
▲400万円 |
仕入れ価格 |
3,050万円 |
不動産会社の販売価格が4,000万円の物件の場合、買取価格(不動産会社の仕入価格)がどの程度になるか、シミュレーションしてみましょう。築年数は20年程度とします。
販売価格から、不動産会社の利益と経費が差し引かれて買取価格が決定されます。利益をどの程度と設定するかは不動産会社によって異なりますが、ここでは400万円と見積もります。
次に、不動産会社が販売前に実施するリフォームにかかる費用が差し引かれます。今回はフルリフォームが必要となる想定で、400万円の支出と計算しました。物件の状態などによっては、さらに高額になる場合もあります。
また、不動産会社が支払う税金額も差し引きます。登録免許税、取得税、消費税など各種の税金がこれに該当し、およそ100万円程度と想定されます。
さらに、これ以外の諸経費も発生します。今回は50万円程度と見積もります。
これらを差し引くと、買取価格は3,050万円、販売価格の76%程度と計算できます。
リフォーム費用
それでは、査定時に差し引かれる項目をそれぞれ確認しましょう。
物件の修補の責任が2年間発生するため、物件を買い取った不動産会社が、販売前にしっかりとリフォームを実施する必要があります。部分リフォームで対応しようとしても、リフォームされなかった古い部分が目立ってしまい、買い手の心理に悪影響を及ぼす可能性があるため、基本的にはフルリフォームが行われると考えましょう。築年数によりリフォーム費用は異なりますが、目安としては1㎡あたり1万円と想定しておきましょう。
税金負担
不動産会社には、買い取った物件の登記に係わる登録免許税が課税されます。また、取得税の負担も必要です。さらに、事業としての転売であるため、建物部分には消費税がかかります。
諸経費
不動産会社では一度にいくつも物件を買い取るために仕入れローンを組みます。ローン金利や手数料が発生します。また、所有権移転登記、抵当権設定の司法書士報酬もかかります。その他、保有期間の管理費・修繕積立金など様々な諸経費が発生します。
不動産会社の利益(10%~)
仲介と比較して、買取は不動産リスクが大きくなる傾向にあります。物件が売れ残ってしまったり、保有期間に天変地異が生じたり、景気による価格変動が起こったり、というリスクに備えるため、不動産会社はより多くの利益が確保できるよう、買取価格を決定します。一般的には、販売価格の10%、もしくはそれ以上です。不動産会社として得られる利益が大きくなるほど、当然ながら売主が得られる金額は下がります。
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マンション買取価格の調べ方
不動産会社に直接相談
不動産会社は、エリアや物件の種別などで得意とする領域がそれぞれ異なります。不動産が得意とはしない物件の場合、適正な評価が得られない可能性があります。このため、物件の売却を検討している場合は、ウェブサイトなどで不動産会社の企業研究をしっかりと行い、専門領域を見極めることが大切です。
相談の際は、仲介と買取でそれぞれ価格を提示してもらうように依頼すると良いでしょう。価格の根拠や成約事例の確認も忘れずに行います。
REINS Market Information
全国指定流通機構連絡協議会が運営するウェブサイトで、東日本不動産流通機構、中部圏不動産流通機構、近畿圏不動産流通機構、西日本不動産流通機構が持つ、成約価格や所在地域といった取引情報を検索することができます。このウェブサイトを参照して、おおよその相場を確認することができます。
REINS Market Information
土地総合情報システム
国土交通省が運営するウェブサイトで、取引価格、地価公示・都道府県地価調査の価格情報を検索できます。こちらも、相場を確認する際にぜひ活用したいウェブサイトです。
土地総合情報システム
不動産一括査定サイト
さまざまな企業が一括査定サイトを運営しています。一度に複数の不動産会社に査定を依頼できるのはメリットですが、多数の会社から連絡が来て、やり取りがかえって煩雑になる可能性がある点は注意しておきましょう。各社の価格が大きく異なり、納得感が得られないという場合もあります。
マンションを高額で買い取ってもらうコツ
正確な情報を伝える
情報を小出しにしても、良い査定結果は得られません。手元にある情報は可能な限り開示しましょう。情報の正確性も大切です。不動産会社は、取引をともに進めるパートナーです。正しい情報のやり取りにより信頼関係を築くことができれば、お互いに満足できる結果が得られるはずです。
物件のタイプにより評価される条件は異なる
ファミリータイプの場合は空室のほうが、ワンルームの場合はオーナーチェンジのほうが買い手に評価される傾向が高いと言えます。人気が高ければ、その分買取価格も高くなります。
2社以上から見積もりを取る
1社からの見積もりだけでは、適正な価格であるかを判断することは困難です。複数の会社を必要以上に競わせる必要はありませんが、相場とあまりに離れた金額で売却してしまわないために、相見積もりは有効な手段です。不動産会社には、他社にも査定を依頼するつもりであることを隠す必要はありません。その旨を予め伝えておきましょう。
リフォームは不動産会社が実施
リフォームは、不動産会社が物件を買い取ったあとに実施します。このため、売主がリフォームをする必要はありません。設備交換等も実施せずに売却します。リフォームをしても、物件の買取価格が高くなるわけではないのです。
高く買い取ってもらうために売主ができること
買取に向いているマンション
築年数が経過している
物件が古いと、販売にあたって間取りの変更や大規模リフォーム、設備交換等が必要になります。不動産会社のほうが、こうした対応のノウハウもあり、費用を抑えて実施できる可能性が高いでしょう。どの程度の内装工事を行うかを、物件やエリア、販売金額といった各種の条件から判断する必要もありますが、これも経験豊富な不動産会社のほうが適切な判断ができると考えるべきでしょう。
心理的瑕疵のある物件
買い手に敬遠されがちな物件であるため、仲介よりも買取のほうが売却にかかる期間が短くなる可能性が高いです。修補責任を売主が負う必要もなくなります。価格は、市場価格の70%程度と考えましょう。
売却期日が決まっている物件
財産分与やローン返済の期日などのために、引き渡し日が確定している物件の場合は、成約までの期間が短い買取のほうがよいでしょう。引き渡し日の希望は、査定の際にしっかり伝えておくことが大切です。
買取に向いているケース、いないケース
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高く買い取ってもらえるマンションとは
駅近の好立地
特に都心など多くのマンションがある地域では、立地の良さで他との差別化を図ることが重要です。人口密度が高く賃貸需要も高いエリアであれば、高額での査定を期待できます。
管理体制が良好
築年数が同じでも、管理が行き届いているかどうかで査定額に大きな影響が生じます。「マンションは管理を買う」とも言われ、買い手も重視する条件です。管理組合がしっかりと機能している物件であれば、不動産会社から良い評価を得られる可能性が高まります。
間取りを変更できる
特に築年数が経過した物件の場合、リフォームをどの程度できるかが高額査定の鍵になります。間取りの変更や設備交換の自由度が高いほど、良い評価が得られるでしょう。逆に、形がいびつだったり、設備交換が限定されたりする物件は、リフォームによる付加価値づけが困難であるため、査定額が伸びづらい傾向にあります。
高く買い取るマンションの特徴
買取を依頼する会社によっては結果は大きく変わる
代表取締役伊藤幸弘
マンションの買取金額の査定方法は、周辺の取引価格を比較した「取引事例比較法」を使って算出します。投資マンションの場合は、それに利回りを加えて査定します。
投資物件の場合、買取価格は当社が買い取っていくらで売却できるのか、出口の価格からの逆算によって行うことが一般的です。当社の場合は約10%を仕入れの原価から引いているので、2,000万円の物件であれば、恐らく1,800万円で買い取るという計算です。投資物件の場合は、物件の日当たりや眺望などはあまり価格に影響しません。
ワンルームマンションの場合は、流動性が高いので、場合によっては5%ぐらいの差し引きで買い取るケースもあり、仲介手数料とほとんど変わらないこともあります。
逆に、ファミリータイプのマンションになると、内装に工事費用や諸経費が発生するため、その費用分査定額は安くなる可能性が高いです。また、現在の入居者が後どれくらいで退去するかどうかも逆算します。ファミリータイプは、空室したほうが売れやすいためです。