投資マンション基礎知識
不動産投資で初期費用の元を取るには何年かかる?元手を回収できない場合の選択肢
不動産投資は、将来の資産形成や安定収入を目指す人にとって魅力的な選択肢の一つです。しかし、初期費用が高いため、元を取るまでに時間がかかります。不動産投資で成功するためには、適切な物件選びや運用方法が重要ですが、時には想定外の事態に直面することもあります。不動産投資で元を取るまでの期間や元が取れない場合の対処法、失敗する人の特徴などについて詳しく解説します。
目次
不動産投資の初期費用は何年で元をとれるのか
不動産投資には一定額の初期費用がかかります。その初期費用は、何年で元がとれるものなのでしょう。
残念ながら投下した資金、利回り、保有期間によって回収するために必要となる期間は異なるため、明確にいい切ることはできません。しかし、一般的な不動産投資の目安としては5〜10年間の運用で「トータルで利益がでるかどうか」を判断することが大切になります。
不動産投資を考える時に、多くの人は家賃収入に目がいきます。しかし、不動産投資によって得られる利益にはキャッシュフロー(家賃収入・インカムゲイン)とキャピタルゲイン(売却益)の大きく2つがあります。そのためキャッシュフローだけで初期費用の回収を判断することは、投資全体が見えず、大きな判断ミスにつながります。絶対に避けましょう。
不動産投資は初期費用が高い
不動産投資は物件購入に数百~数千万円のお金が必要です。大部分はアパートローンという金融機関による融資でまかないます。
また、物件購入以外にも仲介手数料や登記費用などの諸経費が物件価格の7〜8%かかります。物件購入価格以外にも数百万円単位での初期費用がかかるのです。そうなれば、どうしても初期費用を回収するために数年の期間が必要になるのが一般的です。
頭金なしで全額をローンで支払う(フルローン)が難しい融資情勢の場合、初期費用とは別に1~3割ほどの自己資金が必要になります。仮に物件価格が5,000万円で9割が融資とした場合、初期費用(全額の1割)+自己資金で850万円〜900万円の資金投下が必要になります。
もちろん物件価格が下がれば、初期費用もそれだけ少なくなります。また、勤め先や年収、預金額などによってフルローンでまかなうことができれば、初期費用は大きくかわります。
元を取る回収目安は5~10年
元を取れるかどうかの回収目安は、5~10年を一区切りとするといいでしょう。なぜなら物件購入の初期費用が必要になるため、1〜2年の短期では利益が見込めず、20年や30年先のことを計算するには不確実性が高いからです。
また、不動産を売却する際には譲渡税という税金の支払いが必要です。その税率が切り替わるタイミングとして、5年以上としています。
物件購入から一定の月日がたつと譲渡税は短期から長期に切り替わり、税率が約半分の20%になります。長期譲渡の判断は1月1日の所有者としているため、お正月を6回迎えた年が長期譲渡に切り替わる年になります。
つまり長期譲渡のタイミングの年で売却を検討し、5~10年の運用で「トータルで利益が最大化する」タイミングで売却をすることが理想といえるでしょう。
不動産投資は保有期間の元本返済が資産になる
不動産投資は保有期間の元本返済が資産になります。借入金額の返済が多く進むほど、キャピタルゲイン(売却益)も多く見込めることが一般的です。
しかし「購入価格>売却価格」の幅が大きくなると、売却時の利益を見込むことは難しくなります。そのため元本返済が資産になる考え方としては「売却価格>ローン残債」の状態を前提とすることです。
売却価格とローン残債の差額が毎月の元本返済分の累積となり、含み益の資産と見なすことができます。
不動産投資の元がとれるまでの期間を調べる
不動産投資の元をどのように設定するかで判断基準は異なります。大切なのは投下資金の回収ではなく「売却まで含めたトータルで利益が出たかどうか」で判断することです。投資判断の指標とされている、投下資金の回収期間を求める算出方法と考え方を紹介します。
初期費用回収期間(CCR)とは
初期費用回収期間を判断する指標としては、CCR(自己資本収益率)を使用します。CCRとは投下資金に対してのキャッシュフローの割合を示すもので、自己資金に対する投資効率の指標となります。
つまりCCRが高いほど自己資金の回収効率が高くなります。CCR100%なら1年で自己資金を回収、CCR25%なら4年で自己資金を回収となります。
CCR(自己資本収益率)=(ATCF)税引き後年間手残り÷(E)自己資金
売却までの元がとれるまで推定期間の算出方法
売却までの元がとれるまで推定期間の算出方法はIRR(内部収益率)を指標とします。IRRは売却価格まで含めた「全期間の利回り」を示している指標になります。
IRRがプラスであれば売却までの元がとれており、IRRがマイナスであれば元がとれていない状態になります。
IRRの計算方法は非常に難しいですが、表計算ソフトExcelに入力するだけで簡単に算出できます。入力は簡単でExcelに初期投資費用、1年目キャッシュフロー、2年目キャッシュフロー、…売却までの数値を入力します。IRRを表示させたいセルを選択し「=IRR(投資開始から売却までの期間を選択)」を入力するとIRRが計算され表示されます。
難しいポイントは売却価格の設定です。
数年先にいくらで売れるかは、プロでも間違えるものです。いったんは、現座員の相場で売れる売却価格を設定し、税金などを差し引いた金額を入力しましょう。保有年数に応じてIRRの数値を比較することで、売却までの元がとれる保有期間の算出ができるようになります。
あまりに長期で回収するのは避けるべき理由
あまりに長期で資金回収を試算するのは避けるべきでしょう。理由は長期になるほど予測が難しく、不確実性のリスクが高まるからです。
不動産投資は長期保有をするイメージをお持ちの方も多くいます。実際に、「将来の年金がわり」と言われて投資を始めた人も少なくないようです。
また、長期で保有しないと利益がでない物件もあります。「節税になる」ことを見越して買った人もいるようですが、こうした投資は一般の人が考える投資とは、全く意味が異なります。
どんな言葉で営業トークを受けようが、不動産投資はあくまでも投資です。早めに資金回収した方が、効率が良いのです。
早く回収することは、お金の時間的価値ともいわれ現在の100万円と10年後の100万円ではお金の利用度から現在のほうが価値が高いとされます。
そのため5年後に300万円の利益が見込める物件と、30年後にならないと300万円の利益が見込めない物件では価値が大きく異なるといえるからです。
以上のことからあまりに長期での回収を試算するのは意味がなく、不確実性も高まるため避けるべきでしょう。
不動産投資で早く元を取るコツ
不動産投資で早期に元を取るためには、いくつかのポイントがあります。適切な物件選びから始まり、高い入居率の維持、家賃の適正設定、経費削減などが挙げられます。それぞれについて詳しく見ていきましょう。
適切な物件選び
不動産投資で早期に元を取るためには、適切な物件選びが重要です。需要の高いエリアにある物件や、賃料設定が適正な物件を選ぶことで、高い入居率を維持し、安定した収入を得られます。また、築年数が浅く、設備が充実している物件は、入居者が付きやすく、空室リスクを抑えられます。
また、物件を選ぶ際には、立地や設備だけでなく、周辺の環境や将来的な価値の上昇性なども考慮しましょう。利便性の高い場所や、再開発が予定されているエリアなどは、長期的な視点で見ると有望な投資先となる可能性があります。
高い入居率の維持
物件の入居率を高く維持することは、不動産投資で早く元を取るために欠かせません。そのためには、時代の変化に合わせて入居者のニーズに合った設備や間取りを提供し、適切な募集条件を設定することが大切です。また、入居者とのコミュニケーションを大切にし、満足度を高めることで、長期的な入居につなげましょう。
入居率を高めるためには、物件の魅力を高めることが重要です。定期的なリフォームやメンテナンスを行い、設備や内装を更新することで、入居者の満足度を上げられます。また、インターネット環境の整備や、防犯設備の充実など、入居者のニーズに合わせた付加価値を提供することも効果的です。
家賃の適正設定
家賃設定は、物件の収益に直結する重要なポイントです。周辺相場を調査し、適正な家賃を設定することで、空室リスクを抑えつつ、高い収益を得られます。
家賃設定の際は、物件の立地や設備、築年数などを考慮する必要があります。周辺の類似物件の家賃相場を調べ、適正な水準を見極めましょう。また、入居者の属性や需要の変化にも注目し、柔軟に家賃を調整することが重要です。
管理などを任せている不動産会社や管理会社にも相談し、市場調査などを行い、価格を設定しましょう。
経費削減
不動産投資で元を取るスピードを上げるには、経費削減も重要な要素です。管理会社の選定や、修繕・メンテナンスの計画的な実施により、無駄な出費を抑えましょう。また、節税対策を適切に行うことで、税負担を軽減し、手元に残る収入を増やすことができます。
経費削減のポイントは、計画的な運用と、適切な業者選定です。修繕やメンテナンスは、長期的な視点で計画を立て、優先順位をつけて実施しましょう。また、管理会社や工事業者は、価格だけでなく、質やサービス内容を十分に比較検討して選ぶことが大切です。
不動産投資で元が取れない場合の対処法
不動産投資は、長期的な視点で運用することが基本ですが、思うように元が取れない場合もあります。そのような状況に直面した際は、適切な対処法を講じることが重要です。賃料や募集条件の見直しから、リフォームや用途変更、売却まで、様々な選択肢があります。状況に応じて、最適な方法を選びましょう。
賃料や募集条件の見直し
入居率が低迷し、収益性が悪化している場合には、賃料や募集条件の見直しが必要です。周辺相場と比較して、家賃が高すぎないか、敷金・礼金などの条件が厳しすぎないかを確認しましょう。柔軟に条件を調整することで、入居者の確保につなげましょう。
賃料の見直しには、市場動向や需要の変化を的確に捉えることが重要です。周辺の新築物件の供給状況や、入居者の属性の変化などを分析し、適切な賃料設定を行いましょう。また、敷金・礼金の減額や、フリーレント期間の設定など、入居者の負担を軽減する施策も効果的です。
空室対策を行う
空室が長期化すると、収益に大きな影響を与えます。入居者を確保するための様々な対策を検討し講じましょう。また、物件の魅力を高めるためのリフォームや、設備の充実化も効果的です。
空室対策とは、物件の競争力を高め、同じエリアにある他の物件と差別化することが目的です。入居者のニーズに合わせた間取りや設備の提供、インターネット環境の整備、防犯設備の充実など、付加価値を高める取り組みが求められます。また、適切な広告や情報発信を行い、物件の認知度を高めることも大切です。
リフォーム・リノベーション
物件の築年数が経過し、設備が古くなると、入居者が付きにくくなります。リフォームやリノベーションを行うことで、物件の競争力を高め、入居率の向上につなげましょう。ただし、費用対効果を十分に検討し、適切な範囲で行うことが重要です。
リフォームやリノベーションの際は、入居者のニーズを的確に捉えましょう。単に設備を更新するだけでなく、間取りの変更や、デザイン性の向上など、総合的な視点で物件の魅力を高めましょう。また、工事期間中の収益の減少を最小限に抑えるため、効率的な工事計画を立てることも重要です。
入居者の不人気設備ともいわれている三点ユニットバスや屋外洗濯機置き場のほか、最近では和室なども敬遠されてしまいがちです。こういった古い設備は優先してリフォームをおすすめします。
保有期間を長くする
不動産投資は長期的な運用が基本です。元が取れるまでに時間がかかる場合は、保有期間を長くすることを検討しましょう。ただし、市場動向や物件の状態を定期的にチェックし、適切なタイミングで売却することが大切です。
保有期間を長くする際は、物件の維持管理に注力しましょう。定期的なメンテナンスや修繕を行い、物件の価値を維持・向上させましょう。また、融資の返済計画や、税務上の影響なども考慮し、長期的な視点で資金計画を立てることが重要です。
用途変更
物件の用途を変更することで、新たな需要を取り込むことができます。たとえば、住居用物件を事務所やシェアハウスに変更するなど、柔軟な発想が求められます。ただし、用途変更には法的規制があるため、事前に十分な調査と手続きが必要です。
用途変更を検討する際は、周辺の需要動向を的確に捉えることが重要です。事務所需要の高いエリアでは、オフィス物件への変更が有効かもしれません。また、シェアハウスやコワーキングスペースなど、新しい住まい方や働き方に対応した用途も注目されています。物件の立地や特性を活かした、創造的な用途変更を考えましょう。
また、空室をスペースシェアや荷物預かりのサービスに登録することで、費用をかけずに新しい収益を見込むこともできます。
物件売却
元が取れない状況が長期化し、改善の見込みがない場合は、物件を売却することも選択肢の一つです。売却により、損失を最小限に抑え、新たな投資機会を探すこともできるのです。ただし、売却価格や時期、税務上の影響など、様々な要素を考慮する必要があります。
物件を売却する際は、適切な売却価格の設定が重要です。周辺の取引事例や市場動向を調査し、現実的な価格設定を行いましょう。また、売却時期も重要な要素です。市場の活況期や、物件の価値が高まるタイミングを見計らって売却することで、より高い価格で売却できる可能性があります。
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不動産投資で元を回収できない原因
不動産投資で元が取れない原因は様々ですが、大きく分けると物件選びの失敗、資金計画の甘さ、管理の不備、経済状況の変化などが挙げられます。これらの原因を理解し、適切な対策を講じることが、不動産投資の成功につながります。
物件選びの失敗
不動産投資で元が取れない大きな原因の一つは、物件選びの失敗です。立地や設備、築年数など、入居者のニーズに合わない物件を選んでしまうと、空室リスクが高まり、収益が悪化します。適切な物件選びのためには、市場調査や需要分析が欠かせません。
物件選びの際は、単に表面的な数字だけでなく、物件の本質的な価値を見極めることが重要です。周辺の環境や将来的な開発計画、交通アクセスの改善など、中長期的な視点で物件の将来性を評価しましょう。また、物件の築年数や設備の状態、管理状況なども詳しく調査し、適正な価格で購入することが大切です。
資金計画の甘さ
不動産投資では、初期費用だけでなく、運用中の費用も考慮する必要があります。修繕費や管理費、税金など、想定外の出費が発生すると、収支バランスが崩れ、元が取れなくなってしまいます。綿密な資金計画を立て、余裕を持った運用を心がけましょう。
資金計画を立てる際は、物件の取得費用だけでなく、ローンの返済額や金利、修繕費、管理費、税金など、運用中に発生する費用を詳細に見積もることが重要です。また、空室期間や家賃の下落など、収入面でのリスクも考慮し、シミュレーションを行いましょう。余裕を持った資金計画を立て、不測の事態にも対応できる体制を整えることが大切です。
管理の不備
物件の管理を怠ると、設備の故障や建物の劣化が進み、入居者の満足度が下がります。その結果、空室率が上昇し、収益が悪化します。適切な管理体制を整え、定期的なメンテナンスを行うことが重要です。
管理の不備を防ぐためには、信頼できる管理会社を選ぶことが大切です。管理会社の実績や評判、サービス内容などを十分に検討し、物件の特性に合った管理体制を整えましょう。また、オーナー自身も定期的に物件の状況を確認し、入居者とのコミュニケーションを大切にすることが重要です。小さな不具合やトラブルにも早期に対応し、入居者の満足度を高める努力が求められます。
経済状況の変化
不動産市場は経済状況の影響を大きく受けます。景気の悪化や金利の上昇、税制の変更など、外部環境の変化によって、不動産の価値や収益性が変動します。市場動向を注視し、柔軟に対応することが求められます。
そのためには、一時的な市場の変動に一喜一憂するのではなく、物件の本質的な価値や、長期的な需要動向を見極めましょう。また、ポートフォリオを分散し、リスクを分散することも有効です。異なる用途や立地の物件に投資することで、特定の市場の変動による影響を緩和できます。
不動産投資で失敗する人の特徴
不動産投資で失敗する人には、いくつかの共通した特徴があります。知識不足のまま投資を始めてしまったり、計画性に欠けていたり、目先の利益だけを追求したりする傾向があります。また、リスクを十分に理解していないことも、失敗の大きな要因です。
知識不足のまま始めてしまう
不動産投資には専門的な知識が必要です。知識不足のまま始めてしまうと、適切な物件選びや運用ができず、失敗のリスクが高まります。投資の前に、不動産の基礎知識や市場動向、法律や税務の知識を十分に学ぶ必要があります。
不動産投資の知識を身につけるためには、書籍やセミナー、勉強会などを活用しましょう。経験豊富な投資家やアドバイザーから学ぶことも重要です。また、実際の物件を見学したり、現地の市場調査を行ったりすることで、生きた知識を得ることができます。知識を深め、適切な判断力を養うことが、不動産投資の成功につながります。
計画性に欠ける
不動産投資は長期的な視点が重要です。目先の利益だけを追求し、長期的な計画を立てていないと、想定外の事態に対応できなくなります。綿密な事業計画を立て、リスクを想定しながら、柔軟に対応することが求められます。
計画性を高めるためには、投資の目的や期間、リスク許容度などを明確にすることが大切です。そのうえで、資金計画や運用計画を綿密に立て、定期的に見直しを行いましょう。また、市場動向や経済状況の変化にも注意を払い、柔軟に計画を修正する必要があります。計画的な投資を行うことで、リスクを最小限に抑え、安定的な収益を得ることができます。
リスクを十分に理解していない
不動産投資にはリスクがつきものです。空室リスクや金利変動リスク、市場リスクなど、様々なリスクがあります。これらのリスクを十分に理解せずに投資を始めてしまうと、想定外の事態に対応できなくなります。リスクを正しく理解し、対策を講じることが重要です。
リスクへの理解を深めるためには、自己の知識とスキルを高めることが大切です。不動産投資に関する書籍やセミナーで学び、経験豊富な投資家から話を聞くことで、リスクへの理解を深められます。
不動産投資は途中で売却する選択もあり
不動産投資で元手を回収できない場合はどのようにすればいいのでしょうか。3つの選択肢をご紹介します。
空室期間を短くし、家賃を上げる努力をする
購入後にできることは、まずは、少しでも空室期間を短くし家賃を上げる努力をすることです。不動産投資は短期では、家賃収入から経費、ローン返済を差し引いた最終手残りがオーナーの利益になる投資構造をしています。
経費やローン返済額を少なくすることは難易度が高く現実的ではありません。そのため募集方法を工夫して少しでも空室期間を短くし家賃を上げる努力をすることが有効になります。
保有期間を長くする
元手を回収するには保有期間を長くすることです。保有期間が長くなると必然的にローン残債も少なくなるため、売却時に元手回収できる可能性が高まります。
ただし物件によっては残存期間や売却のことを考えると、長期保有することがデメリットになる場合もあります。何度も前述したように、リスクも高まります。
そのため保有期間を長くした場合のシミュレーションを行い、長期保有した場合と比較し判断することが大切です。
不動産投資の出口として良い売却先を探そう
不動産投資で出口を確定することは大切です。保有期間が長くなる不動産でも出口を取ることで利益を確定することができるからです。
良い売却先は良い営業スタッフとの出会い次第と言えるでしょう。そのため不動産投資に精通している営業社員との関係構築をすることは大切です。物件を保有しているならば、各社に売却相談を行うことで、保有物件の市場成約価格をイメージすることができるでしょう。
残債との関係で希望売却価格とのかい離がある場合でも、営業社員に声掛けをしておくことは有効です。一定の顧客を抱えている営業社員であれば物件情報を伝えておくことで後から連絡がくることもあるからです。
不動産投資をするならば、長くとも10年で売却するイメージをしておきましょう。また、より売却先を確保しておきましょう。
不動産投資の事例を紹介
自己資金利回り(CCR)を黒字にして成功
サラリーマン大家のAさんは、中古のマンションを購入しました。節税効果などは期待せずに、月額のキャッシュフローを黒字にするように、頭金を多めに自己資金をいれて投資を開始しました。自己資金の利回りを10%以上にできれば問題ないと考えており、家賃でローンを返済する計画です。結局10年間で事業収支は一度もマイナスにはならず、売却して処分しました。家賃収入と売買損益の合計で、年利7%になりました。
投資不動産を売りたくても売れない失敗
郊外に新築アパートを建築したBさんは、全額借入をしており月々の事業収支はギリギリの設定で投資をスタートしました。購入から数年後に退去が増えて、自己資金をローン返済に充当しなければならなくなります。結局、入居者が付いたものの家賃を1割ほど値下げしました。この時からマイナスの収支に転じてしまいます。赤字がローン完済まで続くのは苦しいので売却をしようと考え売却査定をしますが、ローン残5000万円に対して売却できる価格が4000万円になってしまい、1000万円の差額を用意できず売却ができません。残債と売買価格が折合うタイミングまで、自己資金を毎年負担をして運営を続けるしか選択肢がありません。
あなたのマンション・アパートの価格が分かる
コラム監修
伊藤幸弘
資格
宅地建物取引主任者・賃貸不動産経営管理士・FP技能士・公認 不動産コンサルティングマスター・投資不動産取引士・競売不動産取扱主任者・日本不動産仲裁機構ADR調停人
書籍
『投資ワンルームマンションをはじめて売却する方に必ず読んでほしい成功法則』
『マンション投資IQアップの法則 ~なんとなく投資用マンションを所有している君へ~』
プロフィール
2002年から中古投資マンションを専門に取引を行う。
2014年より株式会社TOCHU(とうちゅう)を設立し現在にいたる。