投資マンションオーナに役立つコラム
不動産投資をなぜ自分でやらない?不動産投資営業に関する疑問
不動産投資物件の購入をすすめる勧誘電話や提案を受けた際、一度は次のような疑問を持ったことはありませんか。
「投資用のマンションを販売する不動産会社は、自ら不動産投資をすればいいのに?」
他人にすすめるくらい良いことならば、自ら投資をしないのか、不思議ではありませんか。今回はこの疑問について掘り下げてみます。
目次
不動産投資の営業会社はなぜ自分で投資をしないのか
改めて、なぜ不動産会社や営業担当者は自ら不動産投資を行わずに、私たちに営業を行うのかについて考えてみましょう。
実は不動産会社も不動産投資をしている!?
不動産業はたいへん幅の広い事業であり、便宜上区分すると次のような種類があります。
- 不動産賃貸業
- 不動産投資業
- 不動産開発業
- 不動産仲介業
- 不動産管理業
上記の区分は大づかみなものであり、実際には複数の事業を同時に行っている企業が多いです。
不動産投資を提案してくる企業は、投資物件を開発したり、販売したりする事業であり、上の区分に従うと、不動産投資業や不動産開発業に区分されます。
オフィスビルやマンションを開発、もしくは購入し、賃貸で運用したうえで入居率がよくなったところで投資会社や個人の投資家に売却する事業があります。さらに分譲マンションを開発し販売する事業には、投資ではなく実際に住むことを想定するケースと賃貸にだして収益を得ることを想定して行う場合があります。
このうち、投資用マンションとして販売されるのが、収益用物件として開発したマンションです。
不動産開発会社にしても投資会社にしても、販売用の物件を売り切るまでは投資過程であり、その間賃貸収入を得ながら売却活動を行うケースもあります。
このような企業の多くは、実際に自社でも不動産投資をしているケースがあります。複数の物件を数年から数十年単位で所有しておき、必要なタイミングで投資家に販売したり、周辺の建物と同時に新たに再開発し、その不動産を売却したりしているケースもあります。
不動産投資の営業社員も不動産投資をしている!?
投資物件を販売する会社の社員が、自ら不動産投資をしていることも少なくありません。
個人の投資用マンションは購入者が自ら居住することはないので、一般的な住宅ローンは適用されません。投資用物件の購入には「事業性融資」が適用され、住宅ローンよりも審査が厳しく、欲しい不動産があっても融資を受けられないこともあります。
投資用マンションの販売会社は、給与体系が実績主義であることが多く、販売したぶんだけ歩合でもらう部分の割合が高くなります。そのため営業成績が振るわない場合は年収が低く、融資を受けるさいの審査で返済比率の要件を満たせないこともあります。
また、年収が高くとも数年にわたって好成績を維持できていなければ審査は通りにくいといわれています。
このような企業では、定着率が低い傾向も多く見られ、長期に勤務することが少なくなり勤続年数の要件が満たせないケースも多いようです。
一方で、不動産に精通しており、最新の情報にアクセスできる投資用不動産の販売会社の社員、なかでも現金を持つ経営陣や幹部社員は複数の不動産を所有しており、資産形成を行っている人が多いといわれています。
では、なぜ全ての不動産を購入せずに、不動産投資の素人である会社員や公務員に営業電話をかけてくるのでしょうか。いぶかしく思う人もいるでしょう。
この理由は後述します。
投資家は専業大家を目指す
サラリーマン大家のなかには、副業として不動産投資を続けながら、早めのリタイアを目指す人もいます。不動産投資だけで暮らしていけるほどの、専業大家となって、一生大家業をつづけていくことが理想とされています。
そのためには投資物件を増やし、保有資産は数億円、年間家賃収入は数千万円といったレベルを目指す必要があります。
サラリーマンをしながら投資物件を増やすには、不動産販売会社の業務量ではハードルが高いといえます。
よほど営業力があり効率的に仕事をこなせる人以外、ノルマに追われて毎月の受注実績に悩まなければならない営業社員に、投資物件を見つけて検討する時間はほとんどないのではないでしょうか。
副業で大家さんを目指すなら不動産販売会社に勤務するのは得策とはいえないでしょう。
金融機関の融資限度があるため効率のよい経営が求められる
投資物件を販売する不動産会社の経営戦略として必要なことは、物件の仕入れから販売までのサイクルをできるだけ短くする効率のよい販売活動です。
そのため投資物件の販売会社にとっては、次の2つのポイントが重要になっています。
- 金融機関の融資方針
- 営業対象の絞り込み
金融機関は融資先を分散する必要がある
金融機関は取引先の不動産会社に対し「与信枠」を設定しています。つまりA社には限度2億円、B社には10億円など貸付できる限度を設定しており、限度を超えてしまう場合は在庫を売却するようすすめてきます。
与信枠はその会社の信用力ともいえますが、金融機関はできるだけ貸付先を多くし、分散することがリスク回避に必須です。そのため1社に対する与信枠はできるだけ縮小し、取引先を多くしてトータルでの貸付残高を高める傾向があります。
このような理由から不動産会社に対する融資枠は常に圧縮される傾向があります。
つまり、不動産会社では自ずと買える不動産に限界があるのです。そのため、投資用不動産を販売することで手数料や利ざやを稼ぐのです。
給与所得者は有利な条件で融資がおりる
個人に対する不動産投資融資は、金融機関にとって大きな資金需要となっています。社会情勢により融資姿勢の積極性に変化がみられることはありますが、金融機関にとって個人対象の事業性融資は重要な商品といえるでしょう。
貸付対象としては個人事業主よりも給与所得者のほうが収入の安定性が高く、公務員や上場企業などの従業員は審査にとおりやすいとされています。非上場企業や中小企業では正規社員か非正規社員かによって融資の可能性は大きく異なります。
属性が高いと優遇金利が適用される場合や、返済比率が緩くなるなど有利な条件で借入できる可能性が高くなっています。
つまりは、不動産に融資をだす金融機関にとっても不動産会社や不動産会社の社員よりも、返済可能性の高いサラリーマンや公務員に不動産を買って欲しいのです。
また、それは金融機関にとってもリスク分散にもなるのです。
不動産投資に向いた人に営業している
投資用不動産を販売する会社は、ある程度営業する対象を絞っています。電話営業をおこなう場合でも無差別に電話をかけるのではなく、名簿業者からターゲットになりそうな名簿を買取り勧誘することもあるようです。
名簿業者はさまざまなデータから名簿を作成しており、不動産投資に向く名簿の種類には次のような名簿があります。
- 大手企業勤務者
- 公務員
- 不動産投資家
- 投資家
- 医師
属性がよく投資に関心を持ちやすい人に絞った営業戦略が、常道になっているのです。
不動産投資をしている人は出口戦略も考えよう
不動産投資は出口戦略を考えておくことが常識です。ここでは不動産投資用物件として比較的購入しやすい区分マンションについて、出口戦略を考えるうえでのポイントを紹介します。
そもそも出口戦略とは?
出口戦略とはわかりやすくいうと「投資している物件からの撤退」です。つまり投資していた物件を売却し現金化・資金化することです。
投資事業には2つのパターンがあります。
- キャピタルゲインを目的とした投資
- インカムゲインを目的とした投資
現在は、不動産投資といえば多くの場合インカムゲイン(家賃収益)を目的としています。しかし、物件の運用年数が経過するほど家賃の下落や入居率の低下により収益性は悪化します。
収益性の悪い物件を保有しつづけることは、修繕費や固定資産税などの維持管理費用がかさみ、投資目的を失う状態になりかねません。
そのため収益性の悪化をあらかじめ見込みながら、物件取得時の時点において売却計画を立てておくことが出口戦略です。
区分マンションの出口戦略
出口戦略には次の3つの考え方があります。
- 収益物件として売却する
- 自己居住用に変更する
- 建物を解体し土地として売却する
このうち[3]の土地として売却する方法は区分マンションでは採用できず、収益物件として売却するか自己居住用にするかの選択になります。
自己居住用にした場合であっても将来的には、どこかの時点で「売却」を検討する時期がきます。それはマンション全体の建替え時期とのかね合いです。
マンションの建替え時期はおよそ60年といわれており、出口戦略を考える対象物件の築年数は重要なポイントです。建替え時期に近い築古物件の場合は、建替え計画の実現性があるかどうかによって売却のしやすさが変わってきます。
売却時期が築40年以内であれば、建替えの実現性はあまり重要な要素ではありませんが、築50年を過ぎると影響はでてきますので注意が必要です。
不動産投資をやめるならば良い売却先を探そう
投資物件の売却は「手放せればよい」といった考え方は禁物です。できるだけ高く売ることが重要であり、投資の成功失敗は売却によって最終的な答えがでます。
購入時に自己資金を投入していた場合、売却によって投入資金が回収できると売却による収益も投資収益として計算できますが、全額回収できない場合は運用期間中の収益を相殺してトータルの収益額は減少します。
収益物件として売却するには入居済みの状態が望ましいので、オーナーチェンジで売却します。空室の場合は収益物件と実需物件の両方に強い不動産会社に仲介を依頼するようにしましょう。
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