投資マンション基礎知識
投資において利回り10パーセントはありえないのか。危険性やリスクを紹介

投資における利回り10%は現実的にありえないと疑問視する声もありますが、投資家にとって魅力的な数字であることは確かです。では実際のところ、利回り10%は可能なのでしょうか。
不動産投資の観点から利回り10%という指標を分析し、現実性とリスクについて詳しく解説しています。

目次
利回り10%は現実的に可能なのか?
不動産投資において利回り10%という数字が現実的かどうかを判断するためには、まず利回りという指標の意味や市場における常識的な水準を理解することが重要です。
利回り10%という指標の目安
利回りとは、投資額に対する年間収益の割合を示す指標です。不動産投資における利回り10%とは、物件価格に対して年間家賃収入が10%に相当することを意味します。
例えば、3,000万円の賃貸物件であれば、年間300万円(月額25万円)の家賃収入が得られれば達成したことになります。
表面利回りと実質利回りの違い
利回り10%は数字だけを見ると非常に魅力的ですが、不動産投資では「表面利回り」と「実質利回り」の違いを理解することが不可欠です。
まず、表面利回りは年間の家賃収入を物件価格×100で割り出した数値のことで、グロス利回りとも呼ばれます。物件広告で表示されている利回りの多くは「表面利回り」です。
一方、実質利回りは各種経費を考慮したより現実的な指標です。(年間家賃収入 − 年間諸経費) ÷ (物件価格 + 購入時の諸経費) × 100で求められます。
経費を考慮することもあり、表面利回りと実質利回りには大きな差が生じます。不動産投資をするときは、表面利回りではなく実利回りで何パーセントになるのかを計算してから購入するようにしましょう。
市場平均と比較した場合の常識ライン
現在の日本の不動産投資市場における利回り相場を見ることも大切です。近年の価格高騰に伴い、不動産投資利回り(キャップレート)は長期的な低下傾向が続いています。
一般的な理想の利回りは、新築の一棟アパートは8%程度、新築の一棟マンションは6%程度といわれています。中古物件の場合は、管理費用や修繕費用を踏まえて1〜2%上乗せしておくと、堅実な運営ができるでしょう。
なぜ「利回り10%」はありえないのか
利回り10%が現実的ではない理由として、賃貸経営では想定外の支出が発生することが挙げられます。特に築年数が古い物件では注意が必要です。
古い物件は入居者が集まらず空室になるリスクがあるだけでなく、以下のように維持管理コストの増大が考えられます。
- 外壁や屋根の修繕
- 給湯器や水回り設備の交換
- 原状回復の費用
修繕費は利益を圧迫し、結果として実質利回りが大きく低下する可能性があります。
そのため、高利回りに見える物件でも、修繕費や空室リスクを考慮すれば10%を維持するのは困難なのです。
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利回り10%表示の”カラクリ”を読み解く
投資用の不動産広告でよく見かける「利回り10%」は高収益に思えますが、その多くは表面利回りを基準にした数字です。さらに、見かけ上の利回りが成り立つ要因として多くのリスクが隠れています。
ここでは利回り10%が成立する仕組みと、その裏に潜むリスクについて解説します。
表面利回りの落とし穴
前述したように、不動産業者の広告やWebサイトで掲載している利回りのほとんどは表面利回りです。
実際、表面利回りと実質利回りでどれくらい違いがあるのかを計算しました。
表面利回り(%) 500万円÷5,000万円×100=10.0%
実質利回り(%) (500万円−100万円)÷(5,000万円+300万円)×100=7.5%
このように、表面利回りが10%の物件でも、実質利回りでは7.5%まで低下してしまいます。
また、物件が常に満室の状態であることを想定した、想定利回りで計算していることもあります。賃貸経営では空室が出る可能性もあるため、長中期的に考えることが大切です。
実質利回りを圧迫する要因
実質利回りを算出する際に考慮すべき費用は以下のように多岐にわたります。
- 固定資産税、都市計画税
- 登録免許税
- 不動産取得税
- 修繕費・修繕積立金
- 水道光熱費
- 管理会社への管理委託費
- 火災保険料・地震保険料
購入時は諸経費だけでも物件価格の6〜8%程度を見込む必要がありますが、不動産投資にかかる経費は初期コストだけではありません。物件購入後も定期的に費用がかかることを覚えておきましょう。
地域性・物件特性による偏り
利回り10%を実現している物件の多くは、都心部から離れた地方都市や、築年数の古い物件に集中しています。上記の物件は以下のようなリスクがあるため注意が必要です。
地方都市の物件の場合、人口減少により賃貸需要が低下すると、入居者を見つけるのに時間がかかる傾向があります。さらに、築年数の古い物件の場合は、修繕費用が予想以上に高額になるリスクや、耐震性能の問題により将来的に大規模な改修が必要になる可能性もあります。
契約・保証の落とし穴
高利回りを謳う物件の中には、サブリース契約の仕組みを利用しているケースがあります。
サブリース契約とは、管理会社が投資家から物件を一括で借り上げて、入居者に転貸して賃貸管理する方法を指します。空室リスクを軽減する代わりに、家賃収入の10〜20%を手数料として差し引かれるのが一般的です。
サブリースは契約更新時に家賃が減額される条項が含まれていることも多く、長期的には想定していた利回りを大きく下回る可能性があります。
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利回り10%を安易に追求した場合のリスク
目標として利回り10%を追い求めることは、決して悪いことではありません。しかし、高利回りのリスクを理解することは不動産投資の成功には不可欠です。
一般的に利回りが高い物件で起こりやすいといわれているリスクについて解説します。
空室リスクと収益の変動性
不動産投資において最も大きなリスクとして空室リスクがあります。空室リスクとは、所有している物件に空室が発生し、月々の収入が減少するリスクです。
また、固定資産税や保険、急な修繕費用などが必要となることもあります。これらの支出を差し引くと、ほとんど手元に残らない可能性があるので、常に空室リスクを考えておく必要があります。
修繕リスク・突発的な修理費用
高利回り物件の多くは築年数が古いため、修繕リスクも高くなります。修繕リスクとは、投資不動産を運用する際、将来的に発生する修繕費用のことです。屋根や外壁、配管、電気設備、水回り設備、フローリングやクロスなど、範囲は多岐にわたります。
修繕費用の多くは、建物や設備の経年劣化によるもので、定期的に発生する代表的なリスクは下記の3点が挙げられます。
- 入居者の退去時に必要な原状回復費用
- 給湯器やエアコンなどの設備交換費用
- 外壁塗装や屋根防水などの大規模修繕費用
特に築古物件では予想外の修繕費用が発生するリスクが高くなるため注意しましょう。
資金調達・融資リスク
利回り10%を追求する投資では、借入を活用してより利益率が高い取引を行う、レバレッジをすることがあります。しかし、不動産市場における借り手が負担するコストが上昇したこともまた事実です。
金利が上昇すると借入返済額が増加し、実質的な利回りが低下します。特に変動金利でローンを組んでいる場合、上昇による影響は直接キャッシュフローに反映されるでしょう。
また、築古物件や地方物件への融資は銀行の審査が厳しい傾向にあり、金融機関の借り換えが困難になるリスクもあります。
管理体制・運営リスク
高利回り物件では、適切な管理体制を構築することが特に重要です。しかし、地方の物件では管理会社の選択肢が限られており、質の高い管理サービスを受けられないケースがあります。
また、築古物件は設備の故障頻度が高く、迅速な対応が求められますが、管理会社の対応能力や体制が不十分な場合、入居者の満足度低下や早期退去につながるリスクがあります。
適切な管理会社の選定は、高利回りで成功するために不可欠な要素です。
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不動産投資で利回り10%を狙うための戦略
利回り10%の不動産投資を成功させるには、リスクを理解した上で適切な戦略を立てることが必要です。最後に、利回り10%を実現させるためのポイントを紹介します。
成功率を高めるための条件と要素
利回り10%を現実的に達成するためには、いくつかの条件を満たす必要があります。まず、物件選定において立地の将来性を重視することが不可欠です。
賃貸物件の場合は「最寄り駅から近い」「鉄道の路線が通勤・通学のために便利」「買い物が便利」など、より立地を重視して選ばれる傾向にあります。
次に、管理体制の充実も重要です。マンション全体の長期修繕計画が策定されているか、十分な修繕積立金が積み立てられているか確認しましょう。適切な管理により、長期的な資産価値の維持と安定した収益の確保が可能になります。
また、競合物件との差別化も重要な要素といえます。空室対策を行う際は近隣にある競合物件を分析し、自分の物件と比較をします。競合と比べて価格設定はどうか、立地の割に価格が安いかなど多角的な視点から確認します。
リスクを正確に把握し、事前に対策を講じることでリスクの軽減や回避につながるのです。
事前にリスク管理・出口戦略を組み込む
不動産投資で利回り10%を実現させるためには、徹底したリスク管理と明確な出口戦略が不可欠です。
例えば、空室になると家賃収入がなくなるため、ローンを組んでいる方は返済が困難となるおそれがあります。そのため、空室を想定した資金計画や対策を事前に立てることが重要です。
さらに、修繕リスクに備えるため事前に費用を計算し、かつ緊急の修繕資金も確保しておくことが重要です。月々の収支を計算し、予期せぬ事態が発生しても資金不足で困ることがないよう不動産投資に取り組みましょう。
結論として、利回り10%は決して「ありえない」数字ではありません。ただし、実現するには適切な準備と戦略が必要になります。表面的な利回りの高さに惑わされることなく、実質利回りや総合的なリスクを考えて、長期的な投資を行いましょう。
あなたのマンション・アパートの価格が分かる
コラム監修
伊藤 幸弘(いとう ゆきひろ)
株式会社TOCHU(トウチュウ)代表取締役
投資マンション専門家/不動産コンサルタント
プロフィール
2002年より投資用中古ワンルームマンション売買のキャリアをスタート。
20年以上にわたり投資マンション市場に携わり、売主・買主双方のリアルな課題解決を通じて、個人投資家の資産形成をサポートしてきた。
2014年に株式会社東・仲(現:株式会社TOCHU)を設立。
投資用中古ワンルームマンションを中心とした売買仲介・買取事業を展開し、これまでの取扱実績は20,000件以上。
現在、会社には年間7,000件以上の投資マンション売却・不動産投資に関する相談 が寄せられており、多くの投資家の売却戦略や資産運用をサポートしている。
2025年には業界初となる価格透明化サービス 「TOCHU iBuyer」 を展開。
中古投資マンション市場の価格不透明性を解消し、投資家が適正価格で売却できる仕組みづくりを推進している。
「誠実な取引こそが市場の信頼をつくる」という理念のもと、 投資マンション市場の健全な発展を目指して活動している。
専門分野
・投資マンション売却
・投資マンション買取
・オーナーチェンジ物件売却
・不動産投資コンサルティング
メディア掲載・業界実績
投資マンション売却・不動産投資の専門家として、各種メディアや業界媒体で紹介されている。
・NHKにて不動産市場に関する取材
・「住宅新報」にてTOCHU iBuyerが紹介
・「リフォーム産業新聞」にて企業取り組みが掲載
・不動産業界メディア「リビンマガジンBiz」にてサービス紹介
・不動産オーナー向け専門誌「月刊 地主と家主」に書籍が掲載
・ERA LIXIL不動産ショップ全国大会にて成績優秀により複数回受賞。
・不動産業界団体 投資不動産流通協会 の会員として研修・研究活動に参加。
・JAPAN BUILD 「不動産テックEXPO」 のセミナー登壇
不動産取引のデジタル化・透明化に向けた取り組みを発信している。
保有資格
・公認 不動産コンサルティングマスター
・宅地建物取引士
・ファイナンシャル・プランニング技能士
・賃貸不動産経営管理士
・投資不動産取引士
・競売不動産取扱主任者
・日本不動産仲裁機構 認定ADR調停人
著書・実績
『投資ワンルームマンションをはじめて売却する方に必ず読んでほしい成功法則』(クロスメディア・パブリッシング)
『マンション投資IQアップの法則 〜なんとなく投資用マンションを所有している君へ〜』(CHICORA BOOKS)



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