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不動産小口化商品は危険?仕組みや注意点を解説

不動産小口化商品は危険?仕組みや注意点を解説

少額から始められる不動産投資として、「不動産小口化商品」が注目を集めています。管理会社に運営を任せられるため初心者も始めやすいのが特徴ですが、実はさまざまなリスクがあります。この記事では、不動産小口化商品の仕組みやリスク、さらには安全に運用するためのポイントまで詳しく解説していきます。
不動産小口化商品は危険?仕組みや注意点を解説

不動産小口化商品とは?

不動産小口化商品について理解するためには、まず基本的な仕組みや種類などを把握することが重要です。商品がどのように運営されているのか、詳しく見ていきましょう。

不動産小口化商品の定義・仕組み

「不動産小口化商品」とは、1つの不動産を複数の投資家が購入し、運営を専門の事業者に委託する仕組みの商品です。運営で得られた賃料収入や売却益などは、出資割合に応じて投資家へ分配されます。

従来の不動産投資では数千万円から億単位の資金が必要でしたが、小口化により数万円から投資を始められるようになりました。

2024年度の不動産投資市場の規模は全体で約2,562兆円となっており、小口化商品で個人投資家が参加することでさらに拡大することが期待されています。

参考:国土交通省「不動産投資市場の現状について

主な契約形態・種類

不動産小口化商品は主に3つの契約形態に分類されます。それぞれ投資家の権利や特徴が異なるため、投資前に理解しておくことが重要です。

 

 

契約形態 不動産の所有権 投資家の収益
匿名組合型 事業者が所有 投資家は出資者として収益が分配される
任意組合型 投資家同士で共有持分を取得 不動産の共有者として収益を分配
賃貸契約型 投資家同士で共有持分を取得。事業者と賃貸借契約を締結 家賃収入など収益として分配

投資の目的や出資額などを考慮して自分に合ったものを選ぶとよいでしょう。

不動産特定共同事業法との関係

不動産小口化商品を語る上で欠かせないのが、「不動産特定共同事業法(不特法)」による規制です。1995年に施行され、複数の投資家から出資を募って不動産を取得し、運用で得た収益を投資家へ分配する事業について定めています。

また、事業者は国土交通大臣または都道府県知事の許可を得なければならず、一定の資本金や財産的要件、人的要件をクリアする必要があります。

法改正も段階的に行われており、2017年の小規模事業制度の創設、2019年のガイドライン策定などにより、事業者の参入範囲の拡大と投資家保護の両立が図られています。不動産クラウドファンディングに関するガイドラインも策定され、インターネット上での取引についても明確な基準が設けられました。

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なぜ不動産小口化商品は「危険」と言われるのか

さまざまなメリットがある不動産小口化商品ですが、「利用するのは危険」という声もあります。代表的なリスクを理解することで、適切な判断ができるようになるでしょう。

元本割れのリスクがある

不動産小口化商品は投資商品である以上、元本保証はありません。賃貸物件は不動産価格の下落や空室率の増加、建物の老朽化などにより、投資元本を下回る可能性があります。

特に、物件の立地や築年数、市場環境の変化によっては、大幅な損失を被るリスクがあるのです。

金融庁の注意喚起では、業者の勧誘・販売行為において不適切と思われる行為について事例を報告しています。不動産小口化商品に限らず、投資では十分な説明を受けずに出資を迫られるケースがあるため注意が必要です。

参考:国土交通省「小口化不動産への投資をかたった詐欺的勧誘等に係る注意喚起

利回りが低くなる傾向がある

不動産小口化商品の利回りは、一般的な不動産投資と比較して低い傾向にあります。これは、運営する事業者の利益や手数料が差し引かれるためです。そのため、表面利回りで5〜8%程度と紹介されていても、各種費用を差し引いた実質利回りは低くなるでしょう。

また、一般的な不動産投資であればローンを活用してレバレッジ効果を狙うことが可能です。しかし、不動産小口化商品は原則としてローンを利用することができません。すべて自己資金での投資となるため、早期に資産形成をすることは難しいといえます。

この制約により、不動産仲介で物件を購入して投資した場合と比較すると、不動産小口化商品は収益性で劣る場合があるのです。

中途解約不可または制限がある

多くの不動産小口化商品では、運用期間中の中途解約ができないか、解約に制限があります。急な資金需要に対応できないリスクがあり、流動性の低さが問題となっています。

不動産小口化商品は運用期間が終われば、売却し、その最終損益を投資家に分配する仕組みのため、運用期間は7年から30年と長期にわたることも多く、この期間中は基本的に資金を動かせません。

運用コスト・手数料の負担がかかる

不動産小口化商品では、物件の管理費用、事業者への管理報酬、各種手数料などのコストが投資家の負担となります。

これらのコストが収益を圧迫し、期待したリターンを得られないケースもあるため、投資前にコストを計算しておくことが重要です。

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不動産小口化商品のリスクを分類別に解説

不動産小口化商品のリスクをより体系的に理解するために、主要なリスクを分類して詳しく見ていきましょう。これらのリスクを把握することで、より適切な投資判断が可能になります。

物件売却時の価格変動(価格変動リスク)

不動産価格は経済情勢、金利動向、地域開発、人口動態などの要因により変動します。物件を取得した時点より売却時の価格が下落している場合、投資家は損失を被ることになります。

そのため、立地条件が悪い物件や築年数が古い物件は、価格下落リスクが高くなる可能性があります。

運営会社・事業者の信用力(信用リスク)

不動産小口化商品の運営会社や事業者が経営破綻した場合、投資家の損失につながります。また、販売を行った商品において、当初の募集内容から変更があったにもかかわらず、投資家への説明が不十分だったため行政処分を受けた事例もあります。

事業者の財務状況、過去の実績、コンプライアンス体制などを事前に十分確認することが重要です。新設の事業者や実績が少ない事業者については、より慎重に検討しましょう。

中途売却が難しく、換金性が低い(流動性リスク)

不動産小口化商品は株式や債券と比較すると流動性が著しく低く、投資後に現金化したくても困難な場合が多くあります。そのため、緊急で資金が必要な場面にも対応できないリスクがあるのです。

また、不動産の中途売却が可能な商品であっても、手早く買い手を見つけるために値下げを余儀なくされる可能性もあります。投資前に、資金の換金性について十分確認することが大切です。

物件毀損・劣化・災害リスク

地震、火災、台風などの自然災害により物件が損傷した場合、修繕費用の負担や収益性の悪化が考えられます。また、建物の経年劣化により大規模修繕が必要になった場合、その費用は負担により収益が圧迫される可能性もあります。

一般的な不動産投資と同じく物件の構造、築年数、立地の災害リスクなど、事前に確認しておきましょう。

無限責任リスク/法的責任リスク

任意組合型の不動産小口化商品では、事業で予想以上の損失が発生した場合、出資額を超えた負担を求められることがあります。

また、物件に関する法的問題(建築基準法違反、境界問題、賃貸借契約の問題など)が発生した場合、投資家も法的責任を問われるリスクがあるのです。契約形態と責任範囲について事前に十分確認することが必要です。

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不動産小口化商品のトラブル・事例から学ぶ注意点

不動産小口化商品を利用する場合、どのような点に注意すべきかを具体的に学んでいきましょう。これらの教訓を活かすことで、同様のトラブルを未然に防ぐことができます。

不動産投資詐欺のリスク

国土交通省では、インターネットの普及を背景に不動産に関する「クラウドファンディング」による投資において、被害に遭った(遭いかけた)事例が複数報告されており、注意喚起を行っています。

典型的な事例として報告されているのは「無登録・架空の業者による勧誘」と「投資物件の説明不備」による手口です。

また、事業者が処分を受けても途中解約が不可となっており、換金できなかったケースもあります。少しでも不安な点があるときは安易に決断せずに、第三者に相談してから出資を行いましょう。

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不動産小口化商品の安全に運用するためのコツ

これまで解説してきたリスクを踏まえ、安全に活用するポイントを紹介します。不動産会社の選び方と運用方法の工夫により、リスクを最小限に抑えることが可能です。

事業者・運営会社の信頼性を見極める

事業者選びは投資成功の最重要ポイントです。まず、国土交通大臣または都道府県知事の許可を得た正規の事業者であることを確認しましょう。過去の行政処分歴がないかチェックすることも重要です。

事業者の財務状況についても、決算書類や格付け情報があれば参照し、経営の安定性を確認します。設立年数や過去の実績、取り扱い物件の規模や種類なども判断材料となります。

複数の事業者を比較検討し、最も信頼できると判断した事業者を選ぶことが重要です。

物件選定時のチェックポイント

投資する物件を選ぶときは以下の立地条件を確認するとよいでしょう。

  • 駅からの距離
  • 周辺の商業施設
  • 学校、病院などの生活利便性の有無
  • 将来の再開発計画

人口が減少しているエリアや過疎化が進む地域の物件は避けるべきです。さらに、築年数が古い物件は修繕費用の負担が大きくなる可能性があり、新耐震基準を満たしているかも確認すべき項目です。

賃貸需要の安定性を示す稼働率や賃料水準の推移、周辺の競合物件との比較なども重要な判断材料となります。単身者向け、ファミリー向けなど、ターゲットとなる賃借人層の需要動向も調査しておくべきでしょう。

契約書の内容をしっかり確認する

契約書の内容は投資の成否を左右する重要な要素です。特に中途解約の条件、手数料の詳細、収益分配の方法、損失発生時の処理などを詳しく確認します。

投資家の権利と義務、事業者の責任範囲、紛争解決の方法なども重要な項目です。法的な専門知識が必要な場合は、弁護士など専門家に相談することも検討しましょう。

保証制度がある場合は保証の内容や利用条件、保証機関の信頼性なども把握しておくべきでしょう。

広告表現や表示上の文章に注意する

不動産小口化商品では広告の表示方法に注意が必要です。「表面利回り」と「実質利回り」の違いを理解し、諸費用を差し引いた実質的な収益率を確認することが重要です。

また、過去の実績データを根拠とした将来の収益予測についても、市場環境の変化により実際の結果が大きく異なる可能性があることを理解しておくべきです。

商品概要や重要事項の説明が不十分な場合も問題となります。リスクの説明、手数料の詳細、中途解約の条件、事業者の財務状況など、投資判断に必要な情報が十分に開示されているかを確認することが重要です。

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コラム監修

コラム監修

伊藤 幸弘(いとう ゆきひろ)
株式会社TOCHU(トウチュウ)代表取締役
投資マンション専門家/不動産コンサルタント

プロフィール

2002年より投資用中古ワンルームマンション売買のキャリアをスタートし、現場での売主・買主双方のリアルな課題解決を通じて、個人投資家の資産形成支援に従事。
2014年に株式会社東・仲(現:株式会社TOCHU)を立ち上げ、通算の取扱実績は20,000件以上。
2025年からは業界初の価格透明化サービス「TOCHU iBuyer」を展開し、中古投資マンション市場の健全化を推進。
「誠実な取引こそが市場の信頼をつくる」という理念のもと、投資マンションの適正な価値形成を目指して活動している。

保有資格

・公認 不動産コンサルティングマスター
・宅地建物取引士
・ファイナンシャル・プランニング技能士
・賃貸不動産経営管理士
・投資不動産取引士
・競売不動産取扱主任者
・日本不動産仲裁機構 認定ADR調停人

著書・実績

『投資ワンルームマンションをはじめて売却する方に必ず読んでほしい成功法則』(クロスメディア・パブリッシング)

『マンション投資IQアップの法則 〜なんとなく投資用マンションを所有している君へ〜』(CHICORA BOOKS)

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