
不動産投資
古いアパートはどうするのが正解?相続したくない場合の対応方法も紹介
老朽化が進むと修繕費や法的リスクが発生し、将来的に大きな負担になる可能性があります。
古いアパートの具体的な活用方法から相続時の注意点まで、最適な選択肢をわかりやすく解説しています。
目次
古いアパート活用方法4選
古いアパートの活用方法としては、売却や賃貸経営の継続などさまざまな選択肢があります。
方法ごとにメリットとデメリットがあるため、それぞれの特徴をしっかり理解して、自分に合った方法を選びましょう。
古いアパートの活用方法には、以下の選択肢があります。
- 古いアパートを売却する
- 古いアパートで賃貸経営する
- 駐車場など別の施設にする
- 事務所や店舗へ転用する
それぞれ詳しく見ていきましょう。
古いアパートを売却する
古いアパートを売却することは、現金化する手段として非常にシンプルです。
また、順調に進めば3〜6カ月程度で売却できるので、短期間で現金化したい方におすすめです。
特にアパートの老朽化が進んでいる場合、売却することで維持や管理の負担を軽減できます。
そのため、売却で得た力を他の投資に回したり、生活資金として活用したりすることが可能です。
更地にして売却する
アパートを取り壊して更地にすることで、土地の価値が上がることがあります。
しかし、更地にするには解体費用がかかるほか、入居者がいる場合は立ち退きの手続きが必要になります。
更地にする際はコストや手間を考慮しなければなりません。
賃貸経営を継続する
建物が老朽化していても、リフォームや建て替えをせずに賃貸経営を続けることは可能です。
しかし、維持や管理が難しくなるため、入居者のニーズに合った対応や定期的なメンテナンスは行ったほうがよいでしょう。
また、設備の故障によりトラブルが増える可能性があるので、迅速な対応が求められます。
リフォームして運営する
古いアパートをリフォームすることで、より魅力的な物件へと生まれ変わらせることができるでしょう。
水回りや内装を改修することで入居者の満足度を高め、空室率の低下が期待できます。
また、リフォームは建て替えに比べて初期費用を抑えられる点がメリットです。
ただし、リフォームしたからといって必ずしも空室が埋まるわけではないので、費用が回収できないリスクも考慮する必要があります。
アパートを建て替えて運営する
アパートを建て替えることで新築物件となるため、入居率や家賃収入の向上が期待できます。
ただし、新築物件として競争力を高められる一方、建て替えには多額の費用がかかります。
その後の家賃収入がコストに見合うかどうか、慎重に判断してから行いましょう。
駐車場など別の施設にする
古いアパートを駐車場などの別の施設に変更する方法は、土地の有効活用として注目されています。
メリットとしては、初期投資や維持費が少なく、都市部では安定した収益が見込める点です。
特に、駐車場は管理が比較的簡単で借地権も発生しないため、将来的に土地を売却する際もスムーズです。
デメリットは、住宅用地と比べて固定資産税が高くなるほか、競争が激しい地域では収益が予想よりも少なくなるリスクがあります。
事務所や店舗への転用
商業地の近くにアパートがある場合、事務所や店舗に転用することも1つの方法です。
古いアパートの経営をするよりも、商業施設として運用することで、安定した収益を見込むことができるでしょう。
転用を検討する際には、地域の用途制限や建物の構造に関する確認が必要になるので、専門家への相談をおすすめします。
古いアパートを放置していると起こる問題やリスク
古いアパートを放置しているとさまざまな問題が発生します。
以下は、放置により発生する可能性があるリスクの一覧です。
- 空室率が上がって収益が減少する
- 修繕費用が高額になる
- 老朽化による建物崩壊リスクがある
- 法的リスクがある
- 近隣住民とのトラブルや治安の悪化
それぞれ詳しく解説していきます。
空室率を上げにくくなる
たとえば、築40年以上のアパートは設備や内装が古いため、入居者は住み心地が悪く感じるかもしれません。
また、築年数が浅い物件が多いエリアでは空室が埋まりにくくなり、長い期間空室が続くことも考えられます。
空室が増えると当然収益が減ってしまうため、アパート経営が困難になります。
修繕費が高額になる
古いアパートは定期的な修繕が必要ですが、老朽化が進むと費用が増えていきます。
特に設備や配管の故障など大きなトラブルが起きると、高額な修繕費がかかり、追加投資が必要になります。
そのため、定期的に点検をしたり早めにリフォームしたりすることで、費用を抑えることができるでしょう。
老朽化で建物崩壊のリスクがある
老朽化した建物は、地震や強風などの災害時に倒壊する危険性があります。
長く放置された古いアパートほど、このリスクが更に高まるため、事故を防ぐためには早めの修繕や解体が必要です。
法的リスクがある
日本では、「空家等対策の推進に関する特別措置法」(以下、空き家特措法)という法律があります。
アパートに入居者がおらず、適切に管理されていない場合は「特定空き家」に指定されるかもしれません。
特定空き家に指定されると、行政から指導や勧告が行われ、改善が求められます。
これを無視すると、固定資産税の優遇措置から除外されて税額が大幅に増えるほか、過料や最終的には強制撤去の対象となることがあります。
参考資料:e-Gov 法令検索 | 空家等対策の推進に関する特別措置法
近隣住民とのトラブルや治安の悪化
放置されたアパートは、周囲の住民や地域社会にトラブルを引き起こす原因になります。
空室が増えることで不法侵入やごみの不法投棄が増え、治安が悪化する恐れもあります。
こうした状況が続くと、近隣住民との関係が悪化し、行政から指導や是正勧告を受ける可能性が生じるでしょう。
また、周辺の治安の悪化は物件の価値を下げ、地域全体に悪影響を与えるため、早急な対応が必要です。
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古いアパートを相続する場合の注意点
古いアパートを相続した場合は、相続放棄や売却を含めた最適な選択肢を検討することが大切です。
相続したくない方は、以下のポイントを押さえておきましょう。
- 収益性の確認
- 解体費用と土地活用
- 税金の確認
- 相続放棄の検討
- 売却の検討
1つずつ詳しく解説していきます。
収益性の確認
相続の対象となっているアパートが収益を生むか、賃貸収入が安定しているかを確認しましょう。
空室が多い場合、赤字になる可能性があるため、綿密な収益計画が必要です。
解体費用と土地活用
アパートが老朽化していた場合、解体して土地を活用する選択肢も考えられます。
駐車場として経営するなど、専門家と解体後の利用方法を相談して決めましょう。
税金の確認
不動産を相続した場合は、固定資産税や都市計画税の負担も考慮する必要があります。
住宅用地特例が適用されなくなると税額が増加する場合があるため、税制の変更や条件をしっかりチェックしましょう。
相続放棄の検討
アパートを相続しない場合、相続放棄や財産放棄の手続きを行う必要があります。
相続放棄とは、相続人が相続権を放棄することを指し、被相続人(故人)の財産の一切を受け取らないことです。
相続放棄を行うと、アパートは他の相続人の手に渡ることになります。
相続放棄と財産放棄の違い
相続放棄と財産放棄にはさまざまな違いがあります。
それぞれの意味や特徴を以下に分かりやすくまとめました。
区分 | 相続放棄 | 財産放棄 |
---|---|---|
意味 | 被相続人の財産・借金をすべて引き継がない手続き | 遺産分割協議で自身の割り当てられる遺産を放棄する意思表示 |
法的効力 | 相続人の資格を失い、財産・借金ともに一切引き継がないい | 相続人の地位は維持したままなので、債務を放棄できない |
期限 | 相続開始を知った日から3か月以内 | 特に期限なし |
裁判手続き | 家庭裁判所で申述する | 家庭裁判所での手続きは不要 |
借金への影響 | 一切引き継がない | 放棄した遺産の割合に応じて負担する可能性がある |
その他 | 一度相続を放棄すると原則取り消せない | あくまで意思表示なので、他の相続人が放棄した遺産を将来的に相続することが可能 |
相続放棄は、借金が被相続人の借金が多い場合や資産価値が低い場合に有効です。
財産放棄は、面倒な手続きをしたくない方や相続権の移動を避けたい方に有効です。
売却の検討
アパートの収益性や維持管理に不安がある場合は、売却を検討するのがおすすめです。
売却した場合のメリットは以下のとおりです。
- 相続放棄や財産放棄の手続きを省ける
- 老朽化や空室リスクを回避できる
- 現金化し、他の投資や生活資金に活用できる
売却を進める際は、不動産会社や専門家などのプロに相談して、物件の適正な市場価格を確認することが重要です。
古いアパートを相続した場合、維持管理や税金負担が重いため、賃貸経営が困難な場合もあります。
売却することでリスクを抑え、資産を効率的に活用できるでしょう。

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