不動産投資
アパート売却相場は何で決まる?相場の調べ方や市場動向の見方を解説

アパートを売却する際、「売却の相場はどのくらいなんだろう?」と悩む方は多いでしょう。
不動産の売却相場は、築年数や立地、物件の構造などさまざまな要因によって大きく変動します。
市場動向をしっかり把握することで、より正確な売却相場を知ることができるかもしれません。アパートの売却相場を決定づける4つの要素と相場の調べ方、計算方法についても詳しく解説しています。
目次
アパート売却の相場に影響を与える4つの要素とは?
アパートをはじめとした不動産の売却相場は、大きく分けて4つの要因により変動します。
相場を決定する要因は以下の通りです。
- 築年数
- 構造
- 立地
- エリア
要因ごとに売却相場について解説していきます。
築年数別のアパート売却の相場
売却相場に影響する1つ目の要素は、「築年数」です。
新築物件の価格は、近年の物価高騰の影響によって上昇しており、中古物件の売却相場も連動して上昇しています。
以下は、国から指定を受けた不動産流通機構である「レインズ(REINS)」が公表している、築年数別の単価のグラフです。

上の表のとおり、築5年以内の物件の坪単価が171.8万円に対し、築5〜10年の物件は132.0万円となっています。
5年経つだけで約1.3倍もの差が生じており、築年数が15年を境に、売却価格が82%まで大きく低下している点もポイントです。
保有している物件の築年数によって売却相場は大きく変動するため、売却予定のある方は事前に計画しておきましょう。
構造別のアパート売却の相場
物件の構造も売却価格に影響を与える要素の一つです。
アパートの場合、木造と軽量鉄骨造で建築された物件が多く、この2つの構造を比較していきましょう。
アパートは、構造により耐用年数(使用できる期間)が異なります。
耐用年数は木造アパートであれば22年、軽量鉄骨造のアパートは27年です。
仮に5,000万円の物件を購入し、10年後に売却する場合は耐用年数を考慮して想定してみました。
| 木造 | 5,000万円÷22年×(22年-10年)=2,727万円 |
|---|---|
| 軽量鉄骨造 | 5,000万円÷27年×(27年-10年)=3,148万円 |
アパートの売却額が建物の構造により変わることが分かります。
同一条件であれば、軽量鉄骨造の物件の方が木造アパートよりも売却相場が高いケースが多いです。
立地別のアパート売却の相場
アパートの売却相場に影響する3つ目の要素は、「駅までの距離(徒歩分数)」です。
物件から最寄り駅までの徒歩分数ごとに価格を比較したデータがあるため、詳しく見ていきましょう。
以下は、首都圏にある物件の価格と駅までの分数の関係をまとめたグラフです。

駅からの徒歩分数が短い(距離が近い)物件は売却相場が高く、徒歩分数が長い(距離が長い)と㎡単価が安くなることが分かるでしょう。
徒歩10分以内の物件は86.13万円/㎡、徒歩21分以上は38.53万円/㎡で約2.2倍の差があります。
そのため、不動産はいかに立地が重要であるかがわかります。
エリア別のアパート売却の相場
最後に、アパートの売却相場に最も影響を与えるのが「物件の所在地」です。
以下は2024年11月における、「東京都」「神奈川県」「大阪府」3府県それぞれの坪単価の平均を比較したものになります。

東京都の坪単価の平均額は107.14万円ですので、神奈川県の1.84倍、大阪府の2.14倍と突出して高いことが分かります。
また、同じ都道府県内でも市区町村が異なることで売却価格は大きく異なります。
利便性が良い買い物がしやすいなど、暮らしやすいエリアのほうが不動産の価値は高い傾向です。
保有している物件があるエリアの売却相場を調べると、売却価格の予想が立てやすくなります。
アパート売却相場の計算方法
アパートの売却を考えた際、いきなり売却するのはおすすめできません。
なぜなら、不動産会社によって売却額の計算方法は異なり、売却金額に差が出てしまうからです。
できるだけ査定額が高い不動産会社に売却できるように、複数の業者にアパートの査定依頼をしましょう。
売却金額は3つの計算方法で算出できるので、それぞれ詳しく説明していきます。
| 計算方法 | 原価法 | 収益還元法 | 取引事例比較法 |
|---|---|---|---|
| 概要 | 物件を再建築したときにかかるコストから算出 | 不動産から得られる収益を基に算出 | 周辺の取引事例を基に売却価格を算出 |
| 用いられるケース | 物件の建物部分の価格を算出したいとき | 安定した不動産収入がある物件を所有しているとき | 取引事例が多いエリアに物件があるとき |
原価法
「原価法」とは、建物と建物が建っている土地の試算価格を算定したいときに用いる査定方法です。
原価法で売却価格を求めるときは、最初に現在と同じ物件を建て直すのにかかる費用=再調達原価を割り出します。
次に、残存年数を割り出すために耐用年数から築年数を引いて計算します。
原価法の計算式
物件価格=再調達原価 × 延床面積 ÷ 耐用年数 × 残存年数(耐用年数-築年数)
以下の条件で計算式を利用して実際に計算してみましょう。
- 再調達原価: 15万円/㎡
- 延床面積: 100㎡
- 耐用年数: 22年
- 築年数: 10年
上記の場合、物件価格は818万1,818円となります。
「戸建て住宅の建物部分」や「建物が主体の物件」のように、建物の価格を算出する場合は原価法で計算するケースが多いです。
一方で、土地の価格を算出する際には、あまり適用されません。
収益還元法
不動産から得られる収益をもとに売却価格を求める方法が「収益還元法」です。
収益還元法には、「直接還元法」と「DCF法」の2つあります。
それぞれ詳しく説明します。
直接還元法
直接還元法は、年間の家賃収入を利回りで割って求める方法です。
計算式
試算価格(収益価格)= 1年間の純収益(収益 − 諸経費)÷ 還元利回り
以下の条件で計算式を利用して実際に計算してみましょう。
- 1年間の収益: 3,000,000円
- 1年間の経費: 500,000円
- 還元利回り: 5% (0.05)
上記の場合、試算価格(収益価格)は5000万円となります。
立地が良く人気の物件であれば、入居率が高いため家賃収入も安定している傾向です。
そのため、売却価格は高く算出される傾向にあります。
DCF法
DCF法(ディスカウントキャッシュフロー法)は、購入したアパートが将来生み出す収益から売却時の価値を引いて計算します。
将来的に値上がりが予測される物件であればDCF法の計算はおすすめです。
反対に、家賃の上昇があまり見込めない物件の場合、正しく計算するのが難しいでしょう。
DCF法は、家賃の下落リスクや空室リスクを加味した上で物件価格を求めるため、計算が非常に複雑になる特徴があります。
取引事例比較法
「取引事例比較法」は、周辺の類似物件の取引事例、地域要因や物件特有の状況を総合的に判断し、不動産の売却価格を求める方法です。
人気エリアでは成約件数も多いため、中古マンションやアパートの売却価格を求める際に利用できます。
取引事例比較法の計算式
不動産価格=類似物件の坪単価×面積×補正率
補正率には事情補正や時点修正、標準化補正などが含まれており、多くのデータを集めなければ正しく価格を求めることはできません。
類似物件の取引情報を集め、物件状況を加味して価格補正を行う必要があるので、相応の知識が必要な計算方法です。
アパート売却で見るべき市場動向の3つのポイント
アパートの売却時には市場動向を確認することも重要です。
社会状況や経済状況により売却価格は変動しますが、特に確認すべき指標は3つあります。
アパート売却時に確認すべき市場動向は以下のとおりです。
- 売買価格
- 成約件数
- 季節調整値
それぞれの市場動向について詳しく解説していきます。
アパートの売買価格を確認する
市場動向で確認する1つ目のポイントは、「アパートの売買価格」です。
2022年から急激なインフレや円安により、新築物件の価格が高騰し続けています。
東京都の2020年〜2024年までのアパート売却価格(㎡単価)は以下の通りです。

表からもわかるように、売買価格は2020年が75.86万円ですが、2024年は107.14万円となっており、約1.41倍まで上昇しています。
不動産の売却価格はいつ変動するか分からないため、小まめに市場動向を確認することが大切です。
物件の成約件数から見極める
市場動向で確認する2つ目のポイントは、「物件の成約件数」です。
東京都における2020年〜2024年の中古アパート(マンション含む)の成約件数は、以下のグラフの通りです。

2024年のデータは11月分までの成約件数ですが、大きく数字が変わることはないでしょう。
2022年には成約件数が19,000件を割っていますが、2023年からは一気に跳ね上がっています。
今後、成約件数や売買価格(㎡単価)がどのような推移をするか分かりませんが、データを確認しながらアパートの売却を考えてもいいかもしれません。
季節調整値で景気の動向を判断する
不動産価格や取引数は季節にも影響を受けています。
季節によって商品の売れ行きに違いが出ることを季節調整値と言います。
季節調整値を考慮することで、よりリスクを抑えて市場の動向を判断できます。
ただし、令和6年11月27日に国土交通省が発表した情報によると、住宅用の不動産価格指数は前月比+2.4%となっています。
そのため、時期的な要因を除いても不動産価格は上昇していると言えます。
あなたのマンション・アパートの価格が分かる
コラム監修
伊藤 幸弘(いとう ゆきひろ)
株式会社TOCHU(トウチュウ)代表取締役
投資マンション専門家/不動産コンサルタント
プロフィール
2002年より投資用中古ワンルームマンション売買のキャリアをスタート。
20年以上にわたり投資マンション市場に携わり、売主・買主双方のリアルな課題解決を通じて、個人投資家の資産形成をサポートしてきた。
2014年に株式会社東・仲(現:株式会社TOCHU)を設立。
投資用中古ワンルームマンションを中心とした売買仲介・買取事業を展開し、これまでの取扱実績は20,000件以上。
現在、会社には年間7,000件以上の投資マンション売却・不動産投資に関する相談 が寄せられており、多くの投資家の売却戦略や資産運用をサポートしている。
2025年には業界初となる価格透明化サービス 「TOCHU iBuyer」 を展開。
中古投資マンション市場の価格不透明性を解消し、投資家が適正価格で売却できる仕組みづくりを推進している。
「誠実な取引こそが市場の信頼をつくる」という理念のもと、 投資マンション市場の健全な発展を目指して活動している。
専門分野
・投資マンション売却
・投資マンション買取
・オーナーチェンジ物件売却
・不動産投資コンサルティング
メディア掲載・業界実績
投資マンション売却・不動産投資の専門家として、各種メディアや業界媒体で紹介されている。
・NHKにて不動産市場に関する取材
・「住宅新報」にてTOCHU iBuyerが紹介
・「リフォーム産業新聞」にて企業取り組みが掲載
・不動産業界メディア「リビンマガジンBiz」にてサービス紹介
・不動産オーナー向け専門誌「月刊 地主と家主」に書籍が掲載
・ERA LIXIL不動産ショップ全国大会にて成績優秀により複数回受賞。
・不動産業界団体 投資不動産流通協会 の会員として研修・研究活動に参加。
・JAPAN BUILD 「不動産テックEXPO」 のセミナー登壇
不動産取引のデジタル化・透明化に向けた取り組みを発信している。
保有資格
・公認 不動産コンサルティングマスター
・宅地建物取引士
・ファイナンシャル・プランニング技能士
・賃貸不動産経営管理士
・投資不動産取引士
・競売不動産取扱主任者
・日本不動産仲裁機構 認定ADR調停人
著書・実績
『投資ワンルームマンションをはじめて売却する方に必ず読んでほしい成功法則』(クロスメディア・パブリッシング)
『マンション投資IQアップの法則 〜なんとなく投資用マンションを所有している君へ〜』(CHICORA BOOKS)



