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不動産所得の青色申告で必要な条件とは?確定申告が必要な方や節税におすすめな理由を解説

不動産所得を得ている方は、確定申告を通じて年間の所得を正しく申告する必要があります。税負担を軽減するなら青色申告がおすすめですが、実際なぜ軽減につながるのか、どのような方に適用されるのかが分からない方も多いです。
不動産所得における青色申告の必要条件やメリット、2025年の申告期限を解説します。
目次
不動産所得の確定申告が必要な方とは?
確定申告は不動産所得を得ているすべての方が行うものではなく、国で定められた一定の基準を超える方が対象です。
具体的に申告対象となるのは、不動産所得を含む給与所得・退職所得以外の所得が、年間20万円を超えている方です。不動産所得とは、家賃収入や駐車場収入などの収入から、必要な経費を差し引いた金額を指します。たとえば、不動産事業で得た収入が100万円で、必要経費が50万円だった場合、所得は50万円となるため確定申告を行う必要があります。
ただし、給与所得・退職所得以外の所得が年間20万円を超えた場合に申告義務が発生するのは、1カ所から給与を受け取っている方に限られます。不動産所得が年間48万円を超えた時点で確定申告が必要です。たとえばフリーランスの所得合計が年間20万円だった場合、基礎控除額の48万円が適用されて課税所得がゼロになるため、所得税はかかりません。
参考:国税庁「No.1370 不動産収入を受け取ったとき(不動産所得)」
参考:国税庁「No.1199 基礎控除」
不動産所得で青色申告に適している方とは?
青色申告とは、確定申告の方法のひとつで、事業から得た一年間の収入と経費を正確に記録し、それに基づいて所得を計算して申告する制度です。不動産事業の場合、不動産を貸し出して得た家賃収入や駐車場収入などから、必要経費を差し引いた金額を一年間の所得として申告します。
青色申告は、白色申告に比べて記帳のルールが複雑で、申告するには事前に税務署への届出が必要です。一見すると手間が多いように見えますが、特別控除が受けられる、赤字を繰り越せるなどのメリットが多くあります。
そのため、節税目的で不動産所得を得ている方や、安定した経営を求める方は青色申告を選ぶのがおすすめです。なお、白色申告は手続きや記帳ルールが簡単な分、特別控除や赤字繰越などは受けられません。
不動産所得の確定申告を青色申告で行うメリット
不動産所得を青色申告で申告することで、次のようなメリットがあります。
- 最大65万円までの青色申告特別控除が受けられる
- 3年間の赤字繰越が可能となる
- 家族に支払った給与を経費に計上できる
- 貸し倒れによる損失を経費に計上できる
1. 最大65万円までの青色申告特別控除が受けられる
青色申告を行った方は、最大65万円までの青色申告特別控除を受けられます。青色申告特別控除とは、基礎控除に加えて適用される、課税所得を大きく減らせる制度です。
青色申告による控除額は、帳簿や提出書類、申告方法に応じて、65万円、55万円、10万円の3段階に分かれています。一方、白色申告の場合は、これらの青色申告特別控除を受けることはできません。
参考:国税庁「e-Tax による申告又は優良な電子帳簿の保存により65 万円の青色申告特別控除を適用しましょう!」
2. 3年間の赤字繰越が可能となる
青色申告を選ぶと、不動産所得で赤字が発生した場合、その赤字を翌年以降3年間にわたって繰り越せます。たとえば、大規模な修繕やリフォームで一時的に支出が増えた場合、その年の赤字を次年度以降の収入から差し引くことで、課税所得を減らせる仕組みです。
前年も青色申告をしている場合、その年の赤字を翌年以降に繰り越す代わりに、その赤字分を前年の所得にさかのぼって適用できるメリットもあります。
参考:国税庁「No.2070 青色申告制度」
3. 家族に支払った給与を経費に計上できる
青色申告者は、青色事業専従者給与制度を適用できるため、不動産事業で家族に支払った給与を経費として計上できます。
参考:国税庁「No.2075 青色事業専従者給与と事業専従者控除」
白色申告でも、配偶者は86万円、15歳以上の親族は50万円まで経費にできます。しかし、青色申告にすれば事業主の所得を超えない限り、仕事の内容などが見合っていれば経費として上限なしで計上が可能です。
家族に給与を支払っている方で青色事業専従者給与制度を使う際は、税務署に「青色事業専従者給与に関する届出書」を提出しましょう。
4. 貸し倒れによる損失を経費に計上できる
貸し倒れによる損失を経費にできるのも、青色申告のメリットです。貸し倒れとは、何らかの事業を営む中で貸し出したお金を回収できず、経営上「損失」として処理することです。
青色申告をしている事業者は、事業を行う上で発生した貸付金などで回収不能となる可能性を見積もり、その損失に備えるための貸倒引当金を設定できます。年末時点で帳簿に記載されている貸金の価額合計額のうち、5.5%以下の金額を貸倒引当金として繰り入れられ、その金額を必要経費として一括評価で計上できます。
白色申告でも貸倒引当金を経費に計上できますが、一括ではなく個別評価でのみ計上が可能です。
不動産所得を青色申告するために事前に提出するもの
確定申告の青色申告で不動産所得を申告するためには、開業届・青色申告承認申請書の提出が必要です。不動産所得の得ている方が青色申告を選ぶ場合は、期限までに開業届・青色申告承認申請書の2つを税務署に提出しましょう。
提出期限は、以下の通りです。
| 開業届 | 事業を開始した日から1カ月以内 |
|---|---|
| 青色申告承認申請書 | 青色申告を受けたい年の3月15日まで
1月16日以降に事業を始めた場合は、事業開始日の2カ月以内 |
期限内に提出できない場合は、自動的に白色申告となります。忘れずに提出しましょう。
青色申告特別控除を受けるための条件
青色申告を行う方は、一定の条件を満たすことで最大65万円までの青色申告特別控除が受けられます。以下で詳しく説明します。
事業規模の不動産事業で得た所得であること
55万円、65万円の青色申告特別控除を受ける条件は、事業規模の不動産事業で得た所得であることです。事業規模の不動産事業であると見なされるのは、以下のケースに該当する場合です。
- アパートやマンションの場合:賃貸可能な部屋数が10室以上あること
- 戸建て住宅の場合:賃貸可能な住宅が5棟以上あること
これらの基準を満たす場合、不動産所得は事業規模と見なされ、後述の適用要件通りの提出物をそろえれば最大で65万円の控除が適用されます。一方、事業規模と満たさない場合は、控除額は10万円の控除のみとなります。
参考:国税庁「No.1373 事業としての不動産貸付けとそれ以外の不動産貸付けとの区分」
帳簿を複式簿記で記帳する
帳簿を複式簿記で記帳していなければ、55、65万円の特別控除は受けられません。複式簿記とは、すべての取引を「貸方」と「借方」に分けて記録する会計方法です。
複式簿記の記帳は白色申告の記帳に比べて手間がかかりますが、最近では会計ソフトで効率的に記帳できるようになりました。税金を安くするために行うのはもちろんですが、不動産所得を正確に計算するためにも複式簿記で帳簿を付けましょう。
確定申告書とセットで損益計算書・貸借対照表を提出する
確定申告書と併せて、損益計算書と貸借対照表も提出する必要があります。
損益計算書は、事業の収入と経費を整理し、最終的な利益や損失を明確にする書類です。貸借対照表は、事業の資産や負債などを一覧でまとめ、財務状況を把握するために作る書類を指します。これらの書類は、複式簿記で記帳した内容を基に作成し、確定申告書に添付して税務署に提出します。
期限内に提出する
2024年分(令和6年分)の確定申告の受付期間は、2025年2月17日(月)~3月17日(月)です。必要書類をそろえて、期限内に提出しましょう。
事業規模の不動産事業で得た所得において、ここまでの控除額を増やすための条件を満たしていれば、55万円の青色申告特別控除が適用されます。
e-Taxで電子申告する、または優良な電子帳簿で保存する
前述の55万円の控除の要件を満たしていて、さらにe-Taxで電子申告を行うか、または優良な電子帳簿の保存をすることで、65万円の特別控除が受けられます。
e-Taxはインターネットで税務手続きを行うシステムで、確定申告書などのデータをスマートフォンやパソコンから送信することが可能です。国税庁の「確定申告書等作成コーナー」を利用すれば、データ作成から送信までをスムーズに行えます。
優良な電子帳簿とは、事業の帳簿を電子データで保存する際の要件を満たしたもので、所定の届出が必要です。
参考:国税庁「優良な電子帳簿の要件」
あなたのマンション・アパートの価格が分かる
コラム監修
伊藤 幸弘(いとう ゆきひろ)
株式会社TOCHU(トウチュウ)代表取締役
投資マンション専門家/不動産コンサルタント
プロフィール
2002年より投資用中古ワンルームマンション売買のキャリアをスタート。
20年以上にわたり投資マンション市場に携わり、売主・買主双方のリアルな課題解決を通じて、個人投資家の資産形成をサポートしてきた。
2014年に株式会社東・仲(現:株式会社TOCHU)を設立。
投資用中古ワンルームマンションを中心とした売買仲介・買取事業を展開し、これまでの取扱実績は20,000件以上。
現在、会社には年間7,000件以上の投資マンション売却・不動産投資に関する相談 が寄せられており、多くの投資家の売却戦略や資産運用をサポートしている。
2025年には業界初となる価格透明化サービス 「TOCHU iBuyer」 を展開。
中古投資マンション市場の価格不透明性を解消し、投資家が適正価格で売却できる仕組みづくりを推進している。
「誠実な取引こそが市場の信頼をつくる」という理念のもと、 投資マンション市場の健全な発展を目指して活動している。
専門分野
・投資マンション売却
・投資マンション買取
・オーナーチェンジ物件売却
・不動産投資コンサルティング
メディア掲載・業界実績
投資マンション売却・不動産投資の専門家として、各種メディアや業界媒体で紹介されている。
・NHKにて不動産市場に関する取材
・「住宅新報」にてTOCHU iBuyerが紹介
・「リフォーム産業新聞」にて企業取り組みが掲載
・不動産業界メディア「リビンマガジンBiz」にてサービス紹介
・不動産オーナー向け専門誌「月刊 地主と家主」に書籍が掲載
・ERA LIXIL不動産ショップ全国大会にて成績優秀により複数回受賞。
・不動産業界団体 投資不動産流通協会 の会員として研修・研究活動に参加。
・JAPAN BUILD 「不動産テックEXPO」 のセミナー登壇
不動産取引のデジタル化・透明化に向けた取り組みを発信している。
保有資格
・公認 不動産コンサルティングマスター
・宅地建物取引士
・ファイナンシャル・プランニング技能士
・賃貸不動産経営管理士
・投資不動産取引士
・競売不動産取扱主任者
・日本不動産仲裁機構 認定ADR調停人
著書・実績
『投資ワンルームマンションをはじめて売却する方に必ず読んでほしい成功法則』(クロスメディア・パブリッシング)
『マンション投資IQアップの法則 〜なんとなく投資用マンションを所有している君へ〜』(CHICORA BOOKS)


