投資マンション売却
「サブリースはやめとけ」といわれる理由は?基本的な仕組みや物件を手放す方法も紹介

サブリースは、オーナーが所有するアパートなどの不動産をサブリース会社に貸し出し、サブリース会社が入居者に転貸する賃貸経営の方式です。手間がかからないことや、安定した家賃収入を得られることから、検討する人も多いでしょう。
一方で、過去にはサブリースに関する事件が発生し、社会問題化したこともあり、「サブリースはやめとけ」といわれた人もいるかもしれません。

目次
サブリースの仕組み
サブリースを簡単に説明すると、転貸を主とした賃貸経営の手法です。
サブリース会社に一定期間にわたり貸し出すことで、オーナーは空室リスクを負わずに毎月安定した家賃収入を得られます。
ただし、サブリース会社への手数料がかかるため、家賃収入は満室時の約8割が目安です。
オーナーとしては収入が安定するメリットがあり、サブリース会社としては転貸による収入を得られるメリットがあるため、双方とも利点がある仕組みと考えられています。
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「サブリースはやめとけ」といわれる理由
オーナーとサブリース会社の双方にうまみがあるはずのサブリースですが、「サブリースはやめとけ」というネガティブな言葉を耳にすることもあります。
賃貸経営は、長期間にわたり運用して利益を得るのが基本です。サブリースは長期間の家賃保証により、空室による収益が低下するデメリットを削減するため、2015年頃をピークとして流行しました。
一方で、流行によりサブリース物件が増加するほどトラブルも急増しました。これが「サブリースはやめとけ」といわれる要因と考えられます。
オーナーからの解約が難しい
賃貸借では、「借地借家法」により、貸主より立場の弱い借主の権利が守られます。
サブリースでは、オーナーが貸主、サブリース会社が借主の関係です。そのため、不動産に関する素人でもあるオーナーより、専門的に取り扱うサブリース会社のほうが守られるという逆転現象が発生します。
オーナーが賃貸借契約を解除するには、契約書の約款で定めた期間と正当な事由が求められます。この正当な事由としては、建物の損傷やアスベストの発生、崩壊の危機など住居として使用ができないケースなどが該当します。正当な事由がない場合は、立ち退き料と称される金銭を提供して借主の合意を得ることが必要です。
このように、オーナーがサブリースをやめたいと思っても、契約解除はハードルが高いでしょう。
サブリース会社からの解約は簡単
前述のとおり、借地借家法で借主は保護されるため、サブリース会社からの契約解除を容易に行えます。
サブリースは長期間の契約期間を保証してくれますが、一方でサブリース会社からの契約解除は容易なため、サブリース会社が生殺与奪権を握っているともいえるでしょう。
極端な例としては、アパートの建築費が3億円、毎月の家賃が200万とすると「3億円 ÷ 200万円=150カ月」となり、約12〜13年が損益分岐点です。ところが、たった5年(60カ月)で解約を言い渡されれば、90カ月も不足した状態で空室リスクも抱え込むことになってしまいます。
トラブルが多い
賃貸経営による空室リスクを抑えられるサブリースは、本来メリットの大きい手法です。しかし、トラブルが増加していたにも関わらず法整備の遅れもあり、過去には社会問題化しました。
突然の契約解除や契約解除を匂わせた強引な家賃減額、また原状回復費用の多額請求など、オーナーとサブリース会社との間での訴訟トラブルが増え、「サブリースはやめとけ」といわれるようになったと考えられます。
サブリースが社会問題化した背景
テレビニュースや新聞紙面において大々的に報道されたものとして、2018年頃に発覚した「かぼちゃの馬車事件」や「レオパレス事件」があります。
どちらも悪質性が高く、被害総額も大きいため連日報道されており、記憶に残っている人もいるでしょう。特に、かぼちゃの馬車事件は地方銀行のスルガ銀行も一端を担っていたとして、話題になりました。
かぼちゃの馬車事件
株式会社スマートデイズ社は「30年間家賃保証・利回り8%以上」という、サブリース業界でもかなりの好条件で「かぼちゃの馬車」というブランド名を冠したアパートの建築数を一気に増やしました。
しかし、そもそもの前提としていたオーナーに提案していた「30年間家賃保証・利回り8%以上」を守る意志はなく、入居率などを理由として家賃減額請求の権利をフル活用し、数年で約束を反故にしたのです。
さらに、この事件が悪質なのは、以下のような点です。
- 建築費の50%という多額のキックバックを建築会社から受け取っていた
- キックバックの金額を増やすために、建築費を相場よりはるかに高額にしていた
- オーナーが相場以上の高額な支払いが可能となるよう、スルガ銀行が書類を改ざんするなどにより不当融資を行った
オーナーは、割高な物件を購入するために多額の借金を背負いました。さらに、家賃収入は減額されていくため、赤字になるしかない状況に追い込まれる一方、スマートデイズ社は建築費のキックバックのみで利益を上げていきました。
レオパレス事件
レオパレスもスマートデイズと同様に30年家賃保証をうたいながら、10年以上が経過し入居者が減少した物件は契約を解除し、10年未満の場合は家賃減額を行い、社会問題となりました。
さらに、テレビ東京系列で放送される「ガイアの夜明け」によって、違法建築の実態が露呈するなど、不動産会社としての営業姿勢だけに留まらず、違法建築についても明るみに出た結果、多くの建築物で取り壊しと損害賠償が行われます。
もともとレオパレスは壁が薄いことで有名でしたが、この事件により建築基準法違反を含み、社会の信頼は地に落ちてしまいました。
サブリース新法とは?
2020年に「賃貸住宅の管理業務等適正化に関する法律」が施行されました。「サブリース新法」とも呼ばれ、国がサブリースによる社会問題化を認識し、法改正を行ったものです。
不当勧誘や誇大広告に対する罰則を定めるとともに、重要事項説明書という書面説明の義務化や一定条件を超えた賃貸住宅管理業者は国土交通省への届け出が義務づけられました。
遅きに失する感はありつつも、悪質な契約に罰則を設けたことは評価されています。
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サブリース物件を手放す方法はある?
サブリース物件は手放すことが難しいとされています。
オーナーからの解約が難しいため、買主からすると一般的な物件よりも低い家賃設定がされているサブリース物件を購入することになります。購入した物件の管理会社を変更できないのもデメリットでしょう。
実際にサブリース契約を締結した物件を手放すには、どうすればよいのでしょうか。
サブリース会社と交渉する
サブリースが原因で手放せないのであれば、サブリースをやめればよいと考えるでしょう。事象となる原因を取り除くことは、単純明確で理屈としては間違いではありません。
前述したとおり、サブリース契約はサブリース会社が借主として借地借家法で保護されているため、簡単に契約解除はできません。
しかし、違約金を支払えば解約ができる可能性もあるため、まずはサブリース会社と交渉してみましょう。
サブリースの継続を前提に価格を下げる
サブリースの解約が難しい場合、契約の継続を前提として、売却方法を工夫してみましょう。
投資物件の手放し方の大原則として、価格を下げればデメリットをメリットが上回ることにつながります。「サブリース契約を締結していますが、こんなにも安くしています」という売り方も選択肢のひとつです。
不動産を所有する期間が長くなれば、税金の負担は増加しますし、資産価格や家賃収入が減る可能性も増えていきます。低い価格では売りたくないからと無理に高い価格設定で売り出しを続けるのではなく、状況に応じて価格設定を見直し、早期売却を目指すのがよいでしょう。
投資物件専門の不動産会社に相談する
サブリース物件のような投資物件を専門的に扱っている不動産会社は、経験と知識が豊富にあるため、まずは相談してみましょう。
具体的に何も決まっていない、知識もないのに話を聞いてもらえるのか、と不安になるかもしれません。むしろ、知識がない人の話もしっかりと聞いてアドバイスをしてくれる不動産会社こそ、大切な資産であるサブリース物件を任せられると判断できます。
投資物件専門の不動産会社に相談すれば、売却する方法、または改善して運用していく方法など、幅広い選択肢が見つかるかもしれません。
あなたのマンション・アパートの価格が分かる
コラム監修
伊藤 幸弘(いとう ゆきひろ)
株式会社TOCHU(トウチュウ)代表取締役
投資マンション専門家/不動産コンサルタント
プロフィール
2002年より投資用中古ワンルームマンション売買のキャリアをスタート。
20年以上にわたり投資マンション市場に携わり、売主・買主双方のリアルな課題解決を通じて、個人投資家の資産形成をサポートしてきた。
2014年に株式会社東・仲(現:株式会社TOCHU)を設立。
投資用中古ワンルームマンションを中心とした売買仲介・買取事業を展開し、これまでの取扱実績は20,000件以上。
現在、会社には年間7,000件以上の投資マンション売却・不動産投資に関する相談 が寄せられており、多くの投資家の売却戦略や資産運用をサポートしている。
2025年には業界初となる価格透明化サービス 「TOCHU iBuyer」 を展開。
中古投資マンション市場の価格不透明性を解消し、投資家が適正価格で売却できる仕組みづくりを推進している。
「誠実な取引こそが市場の信頼をつくる」という理念のもと、 投資マンション市場の健全な発展を目指して活動している。
専門分野
・投資マンション売却
・投資マンション買取
・オーナーチェンジ物件売却
・不動産投資コンサルティング
メディア掲載・業界実績
投資マンション売却・不動産投資の専門家として、各種メディアや業界媒体で紹介されている。
・NHKにて不動産市場に関する取材
・「住宅新報」にてTOCHU iBuyerが紹介
・「リフォーム産業新聞」にて企業取り組みが掲載
・不動産業界メディア「リビンマガジンBiz」にてサービス紹介
・不動産オーナー向け専門誌「月刊 地主と家主」に書籍が掲載
・ERA LIXIL不動産ショップ全国大会にて成績優秀により複数回受賞。
・不動産業界団体 投資不動産流通協会 の会員として研修・研究活動に参加。
・JAPAN BUILD 「不動産テックEXPO」 のセミナー登壇
不動産取引のデジタル化・透明化に向けた取り組みを発信している。
保有資格
・公認 不動産コンサルティングマスター
・宅地建物取引士
・ファイナンシャル・プランニング技能士
・賃貸不動産経営管理士
・投資不動産取引士
・競売不動産取扱主任者
・日本不動産仲裁機構 認定ADR調停人
著書・実績
『投資ワンルームマンションをはじめて売却する方に必ず読んでほしい成功法則』(クロスメディア・パブリッシング)
『マンション投資IQアップの法則 〜なんとなく投資用マンションを所有している君へ〜』(CHICORA BOOKS)


