不動産投資
賃料査定について解説。査定の方法や現在の相場感や会社選びのポイントも紹介

急な転勤などによって自宅をしばらく空けている間や住まなくなった住宅を賃貸として人に貸すことを検討する場合、賃料はいくらぐらいになるのでしょうか。
住宅・不動産の賃料を査定する方法について紹介します。賃料査定は、現在投資物件を所有しているオーナーも無関係ではありません。適切な賃料相場で貸せているかどうかは、投資運用において非常に重要なポイントです。

目次
物件の賃料を査定する方法を解説
まず、物件賃料を査定する方法や賃料の決まり方について解説します。
賃料の査定方法
賃料を査定する方法は、大きく分けて次の2通りです。
- 机上査定(簡易査定)
- 訪問査定(詳細査定)
机上査定(簡易査定)
机上査定は、現地を訪問しないで物件の情報のみをもとにして、過去の実績や周辺の相場を参考に賃料を査定する方法です。
そのため、メールや電話だけで依頼が完了し、数時間から1日程度で査定額がわかります。
「実際にその価格で貸し出すとは限らないけどとりあえずの参考として知りたい」という場合に利用するとよいでしょう。
訪問査定(詳細査定)
訪問査定は、査定担当者が実際に現地を訪問して物件の設備や内装などを確認したり、近くにある商業施設や学校など周辺環境を調査したりして査定額を算出する方法です。
訪問査定では、建築図面や購入時の売買契約書、重要事項説明書などの参考資料を求められることもあります。
管理費・修繕積立金が記載された書類やリフォーム記録なども準備しておくとよいでしょう。
立会が必要なため、査定担当者との日程調整を行う必要があります。また、現地での調査に約1〜2時間、査定額の連絡があるまで約1週間がかかります。
訪問査定では詳細に調査して査定をするので、現実に近い査定額が提示されます。
査定額の決まり方
精密さに違いはあるものの、机上査定でも訪問査定でも、物件情報をもとに査定額を決めます。査定額を決める具体的な方法について説明します。
類似物件との比較
目的物件と同じような条件の、ほかの賃貸物件の家賃相場を調べて比較、減算・加算して物件の賃料を求めます。
目的物件と同じ地域に建っている、築年数・構造・面積・立地条件などが似ている物件の賃料を、過去の自社の資料やレインズ、不動産ポータルサイトなどから集積し、平均賃料や坪単価を計算します。
さらに、オートロックやカメラ付きインターフォン、Wi-Fi設備などの加算点があれば加算し、高層階でのエレベーターの有無や利用のしやすさ、3点ユニットバスなど人気がない設備があれば減算するなどしておおよその賃料を求めます。
物件のエリアにおける需要を分析
目的物件のあるエリアに暮らしている方の年代、性別、単身・ファミリーの別などを調査して、そのエリアで入居希望者が多く期待できるのかを判断します。
たとえば、以下のような物件なら需要が高いといえるでしょう。
- 男性単身者が多いエリア:1R・1DKの広さで近くにコンビニやファストフード店が多い物件
- 女性単身者が多いエリア:オートロックやカメラ付きインターフォンがある物件
- 子育てファミリー層が多いエリア:遮音性が高く広いバスルームがある
このような分析や判断は査定担当者の主観によることが多いため、担当者の経験も重要です。
レントロールを参考にする
中古物件の場合は、レントロールを参考にして賃料を決めることもあります。
レントロールは、過去の入居者の家賃や敷金、契約期間、入居者の年齢・職業などを記録したものです。
収益から家賃を決める
実質利回りを計算して、求める実質利回りになるように賃料を決める方法です。
需要とかけ離れた賃料であれば入居希望者が集まらないため、類似物件との比較による方法との併用が大切です。
「貸し方」も賃料査定に影響する
賃料は、貸し方によっても影響があります。
たとえば、以下の3つの賃貸方法で比較してみましょう。
- 普通賃貸借契約(普通借家契約)
- 定期賃貸借契約(定期借家契約)
- サブリース
普通賃貸借契約(普通借家契約)
一般的な、入居者が更新を希望すれば賃貸借期間が更新される賃貸借契約の方法です。
オーナーから賃貸借契約を解約するのが難しいため、入居者は安心して借りることができます。そのため、3つの契約方法のうち賃料を最も高く設定しやすい契約です。
定期賃貸借契約(定期借家契約)
賃貸借契約が更新されず、契約期間が最初から決まっている(定期)契約方法です。
一時的な転勤でその時期だけ借りたい方、期間が決まっている転勤や海外出張のため期間を限って自宅を貸し出したい方に需要があります。
この契約の場合、入居希望者が限定されるので賃料も安くなります。
サブリース
サブリースとは、サブリース業者が物件を借り上げ入居者に物件を転貸する契約です。
サブリース業者が家賃保証をしてくれるので空室になっても家賃が入るメリットがあります。ただし、サブリース業者に手数料を支払う必要があるため、その分収益性が下がります。
ファイナンシャル・プランナーによる
みらい収支シミュレーションはこちら
賃料の相場は上がっている?下がっている?
旭化成ホームズのヘーベルメゾン「2023年春、コロナ収束後の家賃は上昇傾向 – 東京
」には、不動産情報サービスのアットホームから発表されたデータをもとに市場分析が紹介されています。同社の分析をもとに関東地方の賃料相場の動向を見ていきましょう。
東京圏-都心も郊外も家賃は上昇基調
物件タイプごとの賃料指数の推移を見てみると、2023年繁忙期(1月~3月)はどのタイプも大幅な回復基調にあるのが特長です。
コロナ禍の影響は薄れてインフレが大きな影響を及ぼしているようです。建築費の高騰は賃料に影響し、分譲マンションの高騰からファミリー層が賃貸物件を選択していることが家賃の上昇の要因になっていると考えられます。
東京23区は全種別で賃料が上昇

2023年3月の平均家賃は全面積帯で前年同月を上回っており、特にファミリー向けや大型ファミリー向けの家賃は2022年夏ごろから大きく上昇しています。カップル向けでは、4カ月連続で上昇し、2015年1月以降の最高値となっています。
東京都下は大型ファミリータイプが大きく上昇。その他もやや常用

全タイプで指数は100を超えており、ファミリー向けやカップル向けでは上昇を続けています。
神奈川県はファミリー・カップルタイプが上昇

2023年3月では全面積帯で前年同月を上回っています。
大型ファミリー向けを除いた3タイプが上昇傾向にあり、カップル向け・ファミリー向けは2015年1月以来の最高値を更新しました。
埼玉県はシングルが落ち込むも、その他は上昇傾向

全面積帯で家賃指数は100を超えています。
カップル向け・ファミリー向けは2015年1月以降の最高値を更新しています。
千葉県は全体的に上昇傾向

いずれのタイプも指数は100を超えています。
大型ファミリー、ファミリー、カップルの2023年3月の平均家賃は全面積帯で前年同月比を上回り、2015年1月以降最高値となりました。
賃料査定を依頼する不動産会社選びのポイント
実際に賃料査定を依頼するときに不動産会社を選ぶポイントについて解説します。
賃料査定は複数社に依頼する
賃料査定は担当者の主観によることも多いため、複数社に依頼するのがおすすめです。
賃料査定の依頼時は、入居希望者を募集する仲介業務や賃貸管理を任せられる会社を選定する絶好の機会になります。
査定担当者の対応や査定結果を比較検討して、信頼できる不動産会社を見極めましょう。
不動産会社を選ぶポイント
査定を依頼するときには、以下の点に注意して不動産会社を選びましょう。
- 不動産会社の規模や実績
- 賃貸管理会社としての専門性
不動産会社の規模や実績
会社が大きいからといって信頼できる理由にはなりませんが、規模が大きくなれば扱っている物件数も多いです。そのため、ノウハウの蓄積や担当者の教育、サポート体制の充実が期待できます。
賃貸管理会社としての専門性
不動産会社の営業範囲は広く、売買仲介や建売住宅に主力をおいて賃貸管理にはあまり熱心でない会社もあります。
賃貸査定を依頼するときは、賃貸管理を専門とする会社に依頼しましょう。
査定賃料の根拠を確認しましょう
不動産会社から査定額が提示されたら、その算定根拠をしっかりと確認しましょう。
査定額の根拠の説明は不動産会社によって異なります。中にはとびぬけて高い査定をする業者もいますが、実際にその金額で貸し出しできるとは限らず、高い賃料のためなかなか入居希望者が見つからない事態になりかねません。
賃料査定は物件を貸し出すための賃料を決めるためなのはもちろんですが、今後の入居希望者募集活動を依頼できる信頼できる相手を見つける作業です。査定根拠を丁寧に説明してくれる会社は信頼できる会社だといえるでしょう。
あなたのマンション・アパートの価格が分かる
コラム監修
伊藤 幸弘(いとう ゆきひろ)
株式会社TOCHU(トウチュウ)代表取締役
投資マンション専門家/不動産コンサルタント
プロフィール
2002年より投資用中古ワンルームマンション売買のキャリアをスタート。
20年以上にわたり投資マンション市場に携わり、売主・買主双方のリアルな課題解決を通じて、個人投資家の資産形成をサポートしてきた。
2014年に株式会社東・仲(現:株式会社TOCHU)を設立。
投資用中古ワンルームマンションを中心とした売買仲介・買取事業を展開し、これまでの取扱実績は20,000件以上。
現在、会社には年間7,000件以上の投資マンション売却・不動産投資に関する相談 が寄せられており、多くの投資家の売却戦略や資産運用をサポートしている。
2025年には業界初となる価格透明化サービス 「TOCHU iBuyer」 を展開。
中古投資マンション市場の価格不透明性を解消し、投資家が適正価格で売却できる仕組みづくりを推進している。
「誠実な取引こそが市場の信頼をつくる」という理念のもと、 投資マンション市場の健全な発展を目指して活動している。
専門分野
・投資マンション売却
・投資マンション買取
・オーナーチェンジ物件売却
・不動産投資コンサルティング
メディア掲載・業界実績
投資マンション売却・不動産投資の専門家として、各種メディアや業界媒体で紹介されている。
・NHKにて不動産市場に関する取材
・「住宅新報」にてTOCHU iBuyerが紹介
・「リフォーム産業新聞」にて企業取り組みが掲載
・不動産業界メディア「リビンマガジンBiz」にてサービス紹介
・不動産オーナー向け専門誌「月刊 地主と家主」に書籍が掲載
・ERA LIXIL不動産ショップ全国大会にて成績優秀により複数回受賞。
・不動産業界団体 投資不動産流通協会 の会員として研修・研究活動に参加。
・JAPAN BUILD 「不動産テックEXPO」 のセミナー登壇
不動産取引のデジタル化・透明化に向けた取り組みを発信している。
保有資格
・公認 不動産コンサルティングマスター
・宅地建物取引士
・ファイナンシャル・プランニング技能士
・賃貸不動産経営管理士
・投資不動産取引士
・競売不動産取扱主任者
・日本不動産仲裁機構 認定ADR調停人
著書・実績
『投資ワンルームマンションをはじめて売却する方に必ず読んでほしい成功法則』(クロスメディア・パブリッシング)
『マンション投資IQアップの法則 〜なんとなく投資用マンションを所有している君へ〜』(CHICORA BOOKS)


